
市民に愛されて半世紀! 店内に池がある「喫茶 やなぎ亭」に行ってみた【北九州市門司区】
(アイキャッチ画像:「喫茶 やなぎ亭」外観)
北九州市内の各所には、創業から半世紀を迎える魅力的な飲食店が点在しています。
中でも、筆者が魅了され続けて30年以上経つのが、JR門司駅から徒歩5分ほどの場所にある「喫茶 やなぎ亭」。
やなぎ亭の2代目店主・角田(かくだ)淳一さんに、話を聞いてみました。
創業は1978年 和食中心の喫茶からスタート
「喫茶 やなぎ亭」は1978年に角田さんの叔父が創業。当初はうどんや焼きそば、ミニ懐石など、和食を中心とした喫茶として展開し、内装は趣のある和を基調にとしたギャラリーのようだったといいます。
今から31年前に角田さんが店を引き継いだ際、思い切って洋食に変更。パスタやハンバーグなどを扱い、現在のタイルを使ったレトロ調な店構えにリニューアルしました。
このタイルの装飾は、なんと角田さんと家族で手作りしたのだそう。
現在は奥様とパートさんの3人で店を切り盛りしています。時代が移り変わっても、美味しい料理と癒しの空間への思いは、創業当初から変わりません。
ちなみに、角田さんの両親は1960年から、同じ柳町(やなぎ亭から徒歩3分)で「喫茶カド」 を営んでいます。

やなぎ亭とカドは言わば姉妹店で、両店とも柳町を明るく彩る喫茶店です。
子どもも大人も喜ぶ“水の演出”
やなぎ亭の入り口の扉の向こうには、ふと微笑みたくなる様子が目の前に広がります。
入店すると、すぐ小さな石の橋が現れます。
実はここ、以前は「川」が流れていました。というのも、この橋の左手には小さな「池」があって、橋を渡って右手にも同じくらいの「池」があります。

そして、この2つの池をつないで川が流れており、そこに橋が架かっているのです。

なぜ、店内に「池」や「川」があるのか──。
角田さんに理由を聞いてみると、大昔の柳町周辺はレンコン畑で、この辺りには井戸水があったのだとか。その「水」を活かして、このような楽しい発想を思いついたということでした。
しかし、川を流し始めて1年程で、地盤沈下を防ぐために井戸水が廃止に。現在は、風情を大切にして、形はそのまま、川の水は流さずに2つの池に水を張っているそうです。
「子どもたち、やっぱり水は喜びますね」と、角田さんが目を細めながらいいます。
筆者もそれを聞いて、子どもたちのほほ笑ましい光景が目に浮かびます。そして、この池の水のせせらぎ音は心地よく、大人も癒されます。