
<リト@葉っぱ切り絵展>邸宅ギャラリー「旧安川邸」に行ってみた【北九州市戸畑区】
(アイキャッチ画像:旧安川邸展示会の様子)
北九州市戸畑区の歴史的建造物である旧安川邸で現在、「リト@葉っぱ切り絵展 at 旧安川邸 〜葉っぱに集ういきものたち〜」が開催されています。
SNSで気になっていたこの展示が、邸宅そのものを舞台に行われていると知り、さっそく足を運んできました。
邸宅へ向かう道のりは非日常の入口
小倉から199号線と271号線を使って戸畑方面へ進むと、「一枝」交差点を左折した先に、深い緑に囲まれた旧安川邸があります。
車で少し奥へ進むと広めのコインパーキング。歩いても気持ち良さそうな、街の喧騒から切り離された静かな空気が流れる場所です。
受付棟を通り抜けると、和と洋が調和した建築様式の建物が目の前に。今回の展示はこの邸宅が会場ということで、期待が膨らみます。

玄関で靴を脱ぎ、旧家ならではの“ミシミシ”という床の音を感じながら進むと、館内正面には展示の大きなパネルが迎えてくれました。

まず左手の小部屋には、作家・リトさんが「葉っぱ切り絵」を始める前の作品が展示されており、制作の試行錯誤や葛藤が伝わってきます。

椅子に座って観られる動画もあり、作家の世界観を深く知ることができました。

畳の大座敷で息を呑む精密さ!
いよいよ和風建築の大座敷の展示スペースへ。畳の広間には、『葉っぱの切り絵 いきものずかん』に掲載された作品がパネルとともにずらりと並びます。

葉っぱを使ったアートだと知っていても、実物は想像をはるかに超える繊細さ。小さな葉の中に、目を凝らさずには見えないほど細かい切り抜きが施されています。

特に印象的だったのはパネルにもなっていた「その夢、いらないならボクが食べちゃうよ?」という作品。うさぎの涙まで表現されていると聞き、思わず展示パネルに顔を近づけてしまいました。

今回は全体で40点以上の作品が展示されているとのことで、大座敷だけでも大満足のボリュームです。
庭園全体が展示空間!モビールを探す体験も
大座敷を見終わると、スタンプラリー用マップが置いてありました。今回の展示会は、庭園も含めた“旧安川邸ぐるっと回ろう”という構成になっていると知ります。

玄関で再び靴を履き、外へ出てマップを見ながら歩くと「リトの小径」と書かれた看板が見えました。

その先には、切り絵を使った10個のモビールが点在。

新緑の風の中、ゆらゆらと回る小さな作品を探しながら歩く時間は、まるで森の中の宝探しです。

時折視界に入る旧安川邸の日本家屋と庭園が、より一層非日常的な雰囲気をつくり出していました。

その後は、日本で2番目に古い鉄筋コンクリート建築という南蔵へ。ここには、福岡県をテーマにした作品など、<旅する葉っぱシリーズ>の切り絵が展示されています。

スタンプを押したら、最後は鐵の記憶モニュメントへ。安川家の歴史と日本の近代化を象徴するモニュメントの前で、ラストのスタンプを押せばコンプリートです。

邸宅全体を巡りながら作品と場所の魅力を味わえる、まさに“邸宅ギャラリー”という名にふさわしい展示構成でした。

最後にゆっくりと、皮と餡に煎茶の炭を練り込んだ「茶論饅頭」とお茶をいただきながら、邸宅ギャラリーの時間を愉しみました。
邸宅が物語を育てる展示
静かな邸内でじっくり作品に向き合い、庭園で風に揺れるモビールを探し歩く──。
旧安川邸という歴史的建造物と、リトさんの葉っぱ切り絵が重なり合う興味深い展示会でした。
「リト@葉っぱ切り絵展 〜葉っぱに集ういきものたち〜」は2025年12月15日まで開催。観覧は無料ですが、入館料は必要になります。
今後の展示会にもまた足を運んでみたいです。
詳しくは旧安川邸ホームページから見ることができます。
※2025年11月22日時点の情報です
(ライター・一色多香子)
