ヘイケボタルを1年中飼育「北九州市ほたる館」 開館20周年記念展を開催中
2002(平成14)年にオープンした「北九州市ほたる館」が、今年4月に開館20周年を迎えました。
「北九州市ほたる館」は、ヘイケボタル、二ホンイシガメ、カヤネズミほか、約60種類の生き物たちが暮らし、ホタルなどの水辺の生き物や水辺環境について楽しく学習できる施設。ヘイケボタルを1年中飼育して羽化させていることでも知られています。
そのため、1年中ホタルの生体を見ることができ、ホタルや水辺の生き物と水辺環境について楽しく学べる施設として、市民から愛されています。
北九州市におけるホタル保護の歴史
高度経済成長期時代の1955(昭和30)年頃、全国的に公害問題や都市化の影響により、環境の悪化が目立つように。北九州市でも同様にホタルが生息する川の汚染や環境改変により、次々とホタルが姿を消していきました。
その状況を改善すべく、1965(昭和40)年頃から、中村光男さん(元・富野中教諭→元・菅生中教諭)、山岡誠さん(元・小倉高教諭)がそれぞれ学校のクラブ活動などで、ホタルの飼育を開始。
1979(昭和54)年6月、北九州市の新々五ヵ年計画案作成において、北九州市のホタルの里づくり構想を山岡さんが提案。同年12月に、中村さんと山岡さんが山岡研究室で飼育したゲンジボタルの幼虫100匹が、現在ほたる館が経っている場所の横を流れる小熊野川へ実験的に放流されました。
1980(昭和55)年5月、前年に小熊野川へ放流したホタル20匹が飛んだことが北九州市のホタル保護の歴史の始まりとなりました。
それから40年以上にわたり、北九州市では市民の皆さんによってホタルを守る活動が続けられています。
ホタルの復活を記念し誕生した「北九州市ほたる館」
ホタルの復活を記念し、小熊野川のそばに設立されたのが「北九州市ほたる館」です。元々この地にあった旧保育所を改装し、水辺を愛する人々の交流・情報発信の場としても活用できる施設となるべく、誕生しました
2階建ての施設の1階では、いろいろな水辺の生き物を展示し、水辺の自然環境を楽しみながら学習することができます。1階から2階へ続く階段には、施設の階段の壁には、ホタルに関するいろいろなパネルや写真などを展示。2階は、「ほたる生態学習室」があるほか、人々の交流・情報発信の場としても活用できます。
【1階】「展示室」「ほたる研究室」ほか
1階には、「展示室」「ほたる研究室」「地域交流室」「飼育作業室」などがあり、「展示室」「ほたる研究室」を見学できます。
「展示室」には、北九州市の公害克服の歴史や水辺環境についてのパネルなどを展示。ほたるマップの模型や、ハチの巣や鳥類などの標本を展示するコーナー、外国産の水辺の生き物を展示するコーナーなどもあります。
「ほたる研究室」では、水辺の生き物約60種類を自然に近い環境で展示。
北九州市の河川と池沼の環境を再現した4メートル大型生態水槽などで、生き物本来の生活の様子を観察できます。
【2階】「ほたる生態学習室」「研修室」ほか
2階は、人々の交流・情報発信の場としても活用できる施設になっています。
「ほたる生態学習室」では、代表的なホタルの生息環境について学習することができ、ゲンジボタルの大型模型をはじめ、日本・世界のさまざまな種類のホタルの写真、『ホタルの一生を観察できるホタル飼育水槽』を展示。
クイズ形式で楽しみながらホタルについて学ぶこともできます。
また、顕微鏡を使って、ホタルの卵・幼虫を拡大して観察することもできます。
「資料・作業室」は、ホタルや水辺環境に関する資料を保管する場所。「研修室」は1年中ボタルの光を昼間見ることができる全国的にも珍しい場所。昼夜逆転させてヘイケボタルの成虫の光を展示しているから可能なんだそう。観察できる成虫の数は毎日変化するため、「北九州市ほたる館」ホームページ(リンクは下記)で確認できるとのことです。
さまざまな野草を栽培する「野草展示テラス」では、日本在来種の「ニホンミツバチ」が飼育されています。
【屋外】「実験水路・せせらぎ水路」ほか
屋外では、いろいろな生きものが住む小さな小川を目指して整備された「実験水路・せせらぎ水路」などを見ることができます。水田型ビオトープとなっており、いろいろな生き物を観察できます。自然なせせらぎを再現した人工水路で、水辺環境を体験できます。
開館20周年記念展「未来につなぐ北九州市のホタル」
現在、同施設では開館20周年記念展「未来につなぐ北九州市のホタル」を開催中です。
北九州市のホタルやほたる館の歴史に関する資料を特別公開し、北九州市のホタル保護についての歩みやほたる館の歴史について振り返ります。2023年3月31日まで。観覧料は無料です。
施設の詳細やイベント情報などは「北九州市ほたる館」ホームページで見ることができます。
■住所/北九州市小倉北区熊谷2-5-1
■営業時間/9:00~17:00
■休館日/毎週火曜・年末年始(火曜が祝日の場合はその翌日)
■入館料/無料
■駐車場/10台
※2022年6月2日現在の情報です
(北九州ノコト編集部)