
地元の味と人情が息づく名店<寿司処 和さび>のランチに行ってみた【北九州市小倉北区】
(アイキャッチ画像:「寿司処 和さび」ランチメニューの一例)
昼間の小倉北区鍛治町の繁華街は、夜とは少し違った静けさがあります。その中を歩いていると「寿司処 和さび」の前で、ランチメニューが掲示してあるのを見つけました。
外からは中があまり見えず、一瞬敷居を高く感じましたが、引き戸を開けると大将の気さくな声が迎えてくれます。
「いらっしゃい、そこの席にどうぞー」という大将の笑顔と声に、初めてでもすぐに緊張が和らぎます。
一歩踏み込むと、心ほどける空間へ
「寿司処 和さび」の店内は、イチョウの木を使ったカウンター12席と小上がりの4人席が3つ。落ち着いた空間でゆったりと食事が楽しめそうです。
大将の日髙睦男さんに聞いたところ、同店の開業は22年前。大将の奥さんが勤めていた不動産会社の社長からの縁で、この場所に開店したそうです。
繁華街のど真ん中で、家賃も高く、常連もいないという不安からスタート。ですが、不動産会社の社長からの粋な紹介と人のつながりで、開店後2、3年は支えられたといいます。
地元の魚介を使用した<すしランチ>!夜はおでんとの絶妙な融合
この日のランチは、鯛・サバ・ヒラマサ・タコ・イカの握り5貫に、いなり寿司3個、そして冷そうめんがついて1000円(税込)。
そうめんの出汁は大将の手作りで、まろやかで奥深い味わい。握りは日によって変わり、冬場はそうめんではなくは塩ちゃんこになるなど、季節感も大切にしています。
注目すべきは寿司だけではありません。
夜になると一年を通じて提供される「おでん」も人気メニューのひとつ。誰かが注文すると周囲の客も注文するという、不思議な連鎖が生まれるそうです。
メニューは柔軟に対応してくれるので、「何でも出ますよ」という心意気もまた魅力です。
「和さび」の名の由来 北九州の恵みに感謝して
店名「和さび」は、和食の“和”とネタケースで目にとまった“本わさび”から生まれた造語。当時の電話帳を確認しても、同名が一つもなかったといいます。
そして、「寿司処 和さび」の書体や看板、店内に飾られてる絵は、店を始める時にお世話になった社長の奥さんのお母さんが描いたもの。
大将は、もともと福岡で修行を積んだ後、八幡で腕を磨きこの地に店を構えました。「北九州は、玄界灘・日本海・周防灘の三方を海に囲まれていて、魚の種類が本当に豊富」と北九州の魅力を語ります。
実際、マグロ以外はすべて地元の魚を使用しており、鮮度と味の違いが明らかなのだとか。
22年間この店に通い続け、「体の動く限りは店を続けたい」と大将。将来、もしこの場所を離れることがあっても、やはり家の近くでお店を開きたいそうです。
「お客さんが辞めさせてくれないのでは?」と尋ねると、大将は大きく笑いました。その笑顔からは、地域の人々に深く親しまれている様子が伝わってきました。