
【城野遺跡公園】1800年前の貴重な<方形周溝墓>復元展示 歴史を感じられる公園(北九州市小倉南区)
(アイキャッチ画像:城野遺跡公園にある「方形周溝墓の復元展示」)
1700を超える公園がある北九州市。
若松区の響灘緑地/グリンパークや小倉北区の山田緑地など“シンボル公園”と位置付けられた大きな公園から、街中にある身近な小さな公園まで多様な公園が存在します。
今回紹介するのは、JR城野駅の裏手に位置する「城野遺跡公園」。北九州市の貴重な遺跡である「城野遺跡」のうち、特に重要とされる方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)の周辺を整備してつくられた公園です。

貴重な文化財である「城野遺跡」
城野遺跡は、今から1800年くらい前の弥生時代の終わりごろの遺跡です。
ここでは、九州で最大規模という当時のリーダーらのお墓「方形周溝墓」や、水晶などを加工した作業場「玉作り工房」の跡が発見されています。
その遺跡の重要さが評価され、令和2年3月に福岡県の史跡に指定されました。
貴重な文化財である「城野遺跡」を広く周知し、活用を図るため、遺跡の重要な部分である「方形周溝墓」の周辺の970平方メートルが「城野遺跡公園」として整備されたといいます。
方形周溝墓の復元展示
公園の一番奥は、地面も真新しくきれいに整備され、四方をチェーンで囲った中に方形周溝墓の復元展示がされていました。

遺跡では、南北約24メートル東西約16メートルの周溝内に小児用の箱式石棺が2基設置されており、公園には、石材を3D計測して、軽量コンクリートで精巧に復元したレプリカを展示しています。

いずれの石棺にも赤色顔料が厚く塗られ、そのうちの1基には線模様画が描かれていたそうで、レプリカも赤く塗られていました。

箱式石棺については平成26年2月に移築保存を実施し、平成28年11月より北九州市立埋蔵文化財センターで移築展示を行っているそうです。
人々がこの地で生活をした様々な痕跡
城野遺跡では、他にも40基以上の竪穴住居や貯蔵穴・土坑墓・方形に区画された溝など、人々がこの地で生活をした様々な痕跡が残されていました。
公園には、その説明が書かれた看板が設置されています。

平面が方形でベッドと呼ばれる一段高い部分を持つ竪穴住居が多く発見され、この竪穴住居のうち2基については、九州で2例目となる玉作り工房であったと考えられています。
この玉作り工房からは、管玉などの完成品のほかに、水晶や碧玉などの原石や未製品、失敗品の破片が出土しています。
また、玉の穴をあけるための鉄の錐、磨いてかたちを整えるための砥石が確認されており、玉作りの過程を知るうえで貴重な資料となっているそうです。
城野遺跡と関係が深いと考えられる遺跡が書かれた<青銅製の方位盤>
遺跡公園中段にある東屋の横に何か丸く光るものを見つけ、近づいてみることに。

城野遺跡と西日本の主要な弥生遺跡の位置関係を示す「青銅製の方位盤」が設置されていました。

奈良県にある「纏向遺跡(まきむくいせき)」や佐賀県の「吉野ヶ里遺跡」といった著名な遺跡、「西谷墳墓群(にしだにふんぼぐん)」や「楯築遺跡(たてつきいせき)」といった特徴的な墓を有する遺跡など、城野遺跡と関係が深いと考えられる遺跡が書かれています。
