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菩提樹の花がハーブやお香に? 「ボダイジュまつり」に行ってみた【北九州市小倉北区】

(アイキャッチ画像:長圓寺の菩提樹と住職)

「菩提樹(ボダイジュ)」という言葉からどんなことが思い浮かびますか。幼少期に仏教の幼稚園に通っていた筆者は、「お釈迦様の木」が思い浮かびます。

お話の中でしか知ることのなかった菩提樹の木が北九州にあると聞き、小倉北区鋳物師町にある浄土宗「長圓寺」の菩提樹の花が見頃とのことで訪問しました。

訪問時、境内の菩提樹の開花時期にあわせて企画されているという「ボダイジュまつり」が開催されており、多くの来訪者で賑わっていました。

菩提樹の花はまさに満開に近づくと、花の放つ甘く優しい香りがし、幸せそうな面持ちで菩提樹の木の下に集う人たちの姿もたくさん見られます。今回、菩提樹の木にまつわるあれこれを「長圓寺」住職の吉水友晃さんに伺いました。

菩提樹に関する3つのこぼれ話 日本の菩提樹はボダイジュじゃない?

「菩提樹」は仏教三大聖樹(無憂樹【ムユウジュ】・印度菩提樹・沙羅双樹【サラソウジュ】)の1つで、お釈迦様がその下で悟りを開いたと伝えられている樹木ですが、これはインドボダイジュ(クワ科)を指していて、日本で「菩提樹」と呼ぶものは、シナノキ科の中国原産の落葉高木なのだそう。鎌倉時代に臨済宗の開祖栄西が中国から博多に持ち帰ったと伝えられていて、そこから日本のお寺に広まったとされています。

こぼれ話の1つ目。インドボダイジュは日本の気候ではうまく育たないため、葉の形が似ている本種が持ち込まれたそうです。菩提樹の花言葉は「夫婦愛」「結婚」。葉の形がハート型なところにも、ほっこりします。

こぼれ話の2つ目。取材当時に活動されていた北九州市観光案内ボランティアのガイドによると、福岡県では添田町にある英彦山の宗像神社境内にも生育しているそう(県指定天然記念物)で「細川家との繋がりを考えると長圓寺の菩提樹と同時期に植えられたのでは…」といいます。

こぼれ話3つ目。菩提樹にはハート型の葉とは別に苞葉という葉があり、竹とんぼのような作りになっていて、種を運ぶ仕組みになっているそう。風をとらえてくるくると回りながら飛ぶ姿は愛おしく思います。

長圓寺の菩提樹は推定150年以上 今年で5回目の「ボダイジュまつり」

住職の吉水さんが長圓寺の菩提樹と出逢ったのは、30年ほど前。当時は「菩提樹の木」という認識はなかったそう。盛花の後は花が一斉に落ち、秋の紅葉後には葉が全て落ちることから苦労もあったといいます。

境内の木が「菩提樹の木」ということがわかってから「何かに活かせれば」との思いで、ハーブや香料としての利用を模索。6年前、長圓寺所蔵の「釈迦涅槃図」の修復を機に、涅槃図の1日限定一般公開とあわせて「ボダイジュまつり」を行い、今年で5回目の開催となったそうです。

「ボダイジュまつり」には菩提樹の花が咲く時期に(花まつり)、お釈迦様の悟りに感謝し(成道会)、涅槃図を掲げ遺徳を偲ぶ(涅槃会)というお釈迦様にちなむ3つの仏事を1日で感じていただきたいという思いも込められています。
長圓寺の菩提樹の樹齢は推定150年以上と言われており、吉水さんが菩提樹に出逢った頃と比べると花の数も少なくなってきているそうです。木の下に立つと心が安らぎ、心地よい風とやわらかな花の香りに「ずっとこの木の下に居たい…」と感じました。吉水さんは菩提樹の花でハーブも作られていて、その様子を吉水さんのインスタグラムで公開しています。

菩提樹について語る時の吉水さんのほっと緩んだ笑顔がとても印象的で、菩提樹への愛を感じ取れました。

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