【ファンファン北九州#08】京都郡在住の作家 町田その子さん<後編>
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
作家、町田その子さんにアプローチ 家事の合間に執筆?執筆の合間に家事?
甲木:先週に引き続き、京都郡在住の作家 町田その子さんをゲストにお話を伺います。前回、「コンビニ兄弟」(新潮社)の話で非常に盛り上がったんですけれども、今回は、作家としての町田さんにアプローチしていきたいと思います。よろしくお願いいたします!
町田:よろしくお願いします。
甲木:西日本新聞の記事で、町田さんは、ご自宅で家事の合間に執筆をなさっていると読んだんですけれども、何か思いついたらパソコンに向かってる感じですか?
町田:そうですね。キッチンのダイニングテーブルに、常にパソコンを立ち上げた状態で。家事の合間に書いているというよりは、書いている合間に家事をしている感じです。
甲木・横山:(笑い)
甲木:でもそうなると、四六時中仕事な感じで、ワークライフバランスが保てないような感じがしますけど…。
町田:やっぱり仕事の方に重きがいっているので、家の中はちょっと悲惨ですね…。(笑)
甲木:そうなんですか!?(笑) いや、記事にもありましたけど、洗濯物を干し忘れたって。
町田:あります!あります!しょっちゅうありますね!(笑) 洗濯物を回して、その間に茶碗を洗おうとかしているときに「あ!今書ける!」と思ってパソコンの前に座って、気づけば「あ!お昼だ。ご飯食べよう!」ってそのまま洗濯物のこと忘れちゃって…。
横山:あぁぁぁー!
町田:なので、夜、洗濯機覗いたら「あれ!?」みたいな。(笑)
甲木・横山:(笑い)
横山:それ、うちのかみさんもありますけどね。そんなこと言ったら怒られるか。(笑)
町田:なので、夏場とかは「わぁ、くさっ!」ってなります。あとは、解凍したお肉を忘れたりとか。家族が「今日夕飯さみしいね」「本当だねー」って。翌朝とか数日後、レンジを開けたらちょっと腐ったお肉を見つけて…。「あー!あのときの…」っていうことがよくあります。(笑)
甲木:解凍していたことすら忘れてたわけですね。(笑)
町田:そうなんですよ。よくあります。
頭の中でパズルのピースを見つけてます
甲木:閃いたら書かれるとおっしゃいましたけど、そういうのってふっと降りてくるものなんですか?
町田:いえ、常日頃、締め切り前とかずっと考えている状態なんですよね。自分の頭の中で、書いているシーンをこねくり回すというより、パズルのピースをはめている感じです。閃いたときは、カチッとはまるピースを見つけた!っていう感じなんです。
甲木:1回あたりに書く文章量ってどんなものなんですか?
町田:やっぱり調子の良い時と悪い時がありまして。調子の悪い時は、全く1文字も書けないどころかちょっとマイナス…。前書いたところも気に喰わなくて、全部消しちゃったりとか…。調子が良い時は3万文字とか。
甲木・横山:3万文字!?
甲木:本で何ページくらい?
町田:「コンビニ兄弟」で13万文字くらいなんですよね。なので、たぶん短編1話分くらい。本当に調子の良い時は、短編1話がその日だけで書けちゃったりするんです。
横山:一気に書けちゃう!?
町田:そうなんですよ。書けない時は、3日経っても、1週間経っても書けなくて。ただ、ずっと台所の隅に座ってたりします。「どうしよう…」って。(笑)
作家としての喜びは?下関で見つけた嬉しかったできごと
甲木:作家としてキャリアを順調に重ねられている町田さんですけども、喜びを感じる瞬間ってどんな時なんですか?
町田:本の宣伝をしようと思ってTwitterを始めまして。あんまり発言することもないんですけど、やっぱり直接DMとかで感想を送ってくれるとすごく嬉しいですね。自分が書いたものが、本当に誰かに届くっていうことがすごく嬉しいです。
横山:何か下関でも嬉しいことが?
町田:そうなんです!この間、下関に取材がてら行ったら、「コンビニ兄弟」の地図をポップで作ってくださった書店員さんがいて。「たぶんコンビニはここら辺」とか「このシーンはここ!」とか。すごく嬉しくて!そんなふうに、自分が書いた物語を現実に変えてくれる人がいるんだなって思うと本当に嬉しいです!
都会へのあこがれとオシャレな恋愛
甲木:これも、うちの新聞記事にありましたけど、昔は都会に憧れていたとか。ちょっと地元コンプレックスじゃないですけど。
町田:そうなんですよ。今は好きなんですよ!ただやっぱり、東京とか大阪とかにすごく憧れがあって。あと、都会に行かないとオシャレな恋愛できないって思ってたんですよね。本当に。(笑)
甲木・横山:(笑い)
甲木:氷室冴子さんの小説に出てくるみたいな?
町田:なんですかね、そこはちょっとこじらせてて。(笑) 男の人にフラれた夜に、バーに行って一人でカクテルを飲むとか、そういうベタなことがやりたくて!京都郡じゃできないんですよ。バーがないから。(笑)
甲木:トレンディードラマにはならないわけですね。(笑)
町田:そうなんですよ。あと、よく都会の人ってダイエットがつらいって言って、1駅分歩くとか言うじゃないですか。京都郡で1駅分歩いてたら、どんだけかかるんだよ!って思うので。(笑)
甲木:行き倒れる。(笑)
町田:そういうので、ちょっと都会に行きたかったんですよ。
私って都会で住める生き物じゃない。嫌いって言ってゴメンなさい
甲木:でも、今は地元大好きっておっしゃいましたし、「コンビニ兄弟」も地元が舞台でしょ。何かご自分の中で地元いいなって思う瞬間が?
町田:そうですね。私、結局「都会に出たい!」って言いながら出たことがなくて。最近では、都会に行くと疲れちゃって。梅田で迷ったり、新宿駅で迷ったり。そういうことをして、「あー、私は都会に住める生き物じゃないんだなぁ」って思って。そこで、改めて地元に帰ってくると、やっぱりすごく過ごしやすいんですよね。みんな優しいですし。特に、今回は門司港を舞台にしたということで、すごく応援してくださって。本当に福岡の人って優しいなぁ、熱があるなぁって。「今まで嫌いって言ってごめん」って思いますね。(笑)
次のテーマは・・・問題提起になれば
甲木:そんな町田さん、今後書いてみたいテーマってどういうのがありますか?
町田:そうですね。来年を目指して書いてるのが、親の介護をテーマに考えています。
甲木:コロナで世の中もいろいろ変わりましたし、今後、町田さんがお書きになる介護のテーマというのも、多くの読者に共感を呼ぶんじゃないんですかね。
町田:そうですね。あと、問題提起になればいいなと思います。「こうじゃないんじゃないかな。私だったらこうするのにな」って考えるきっかけになればいいなって。そういうものを、自分でも悩みながら書けていけたらいいなって思います。
〇ゲスト:町田その子さん(福岡県京都郡在住の作家)
新潮社ホームページはこちら→ https://www.shinchosha.co.jp/writer/6015/
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
〇Twitter 横山:https://twitter.com/tomonori76 梁:https://twitter.com/kyoshoryo
〇ファンファン北九州へのメッセージはこちら→ fanfun.kitakyushu@nishinippon-np.jp
ファンファン北九州は、毎週木曜10時47分~57分、クロスFMほかPodcastやSpotifyで放送中!
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(西日本新聞社北九州本社)