約2分の非日常 渡船から見る”大つり橋の元祖”「若戸大橋」
(画像提供:写真AC)
洞海湾にかかる深紅の「若戸大橋」。戸畑区と若松区をつなぐ全長627メートルの大つり橋です。
関門橋や本州四国連絡橋、レインボーブリッジ、明石海峡大橋など、全国にあるつり橋の“お手本”となったと言われています。
若戸大橋はもうすぐ還暦
若戸大橋ができる以前は、人と荷物を運ぶ手段が小さな渡船のみだったそう。1930年には73名が命を落とす大惨事もあり、当時は橋の建設が待ち望まれていたといいます。
調査や研究に2年半をかけ、1958年に建設工事が開始。62年に若戸大橋は完成となりました。もうすぐ60歳です。
建設当時はアジアにこうした大型のつり橋が無かったことから「東洋一の夢の吊橋」と呼ばれ、「アジアの大つり橋の元祖」だった若戸大橋。
つり橋のかけ方は、若松側と戸畑側の両方から橋を造り、最後に中央でつなぐ手法でした。橋の振動実験には36台のトラックを使用したそうです。
過去には展望台も
若戸大橋には1987年まで、人や自転車が通れる歩道、展望台やエレベーターもありました。
片側一車線だったこともあり、渋滞対策のため歩道や展望台、エレベーターは撤去され、4車線の車両専用橋となりました。
それでも若戸大橋の渋滞は解消されなかったことと、災害などで不通になった際の迂回路を確保するため2012年に完成したのが「若戸トンネル」です。
渡船に乗って橋の大きさを実感
若戸大橋(2.1キロ)と若戸トンネル(2.3キロ)の通行料は2018年12月から無料となり、車での外出がこれまで以上に気軽になりました。
徒歩で戸畑、若松を行き来する場合は、市営の若戸渡船に乗船することもできます。若戸渡船は昔、「ポンポン船」とも呼ばれていたそうです。
向こう岸までの移動時間はほんの2、3分ですが、水しぶきをあげて走る渡船に乗るのはちょっぴり旅行気分を味わえます。若戸大橋のすぐ近くを通るので、橋の大きさが実感できます。
若戸大橋は毎晩、夜10時までライトアップされていて、夜間の赤く光り輝く雄姿を眺めるのもオススメ。この赤色は「カドミウムレッド」と呼ばれ、アメリカ西海岸のゴールデンゲートブリッジとほぼ同じ色なんだそう。
若松のレトロな建物
若松側の渡船乗り場近くは絶好の撮影ポイント。近くにある「上野ビル」や「北九州旧古河鉱業若松ビル」などのレトロな洋館は、構成文化財として認定されており、絵になる建物です。
おしゃれなレトロ洋館「石炭会館」の中には、おいしいクロワッサンのお店「三日月屋」があります。ラスク付きのソフトクリームも人気メニュー。近くにはレトロな雰囲気で利用できるおしゃれなカフェもあります。洞海湾や対岸の皿倉山をみながらのんびりと寛ぐにはとてもいいところです。
戸畑の公園でゆっくりした時間を
戸畑側の「都島展望公園」は、2016年に完成したばかりのスポーツ・レクリエーション等が楽しめる公園です。老朽化した浅生球場(同区)を移転するという形で建設された場所で、海辺のベンチで遠目に若戸大橋を眺めることができます。
山手に2分ほど登った場所では、若戸大橋、高塔山、皿倉山が見渡せる夜景スポットとしても人気の高い場所です。
映画の撮影も
若戸大橋は、映画やドラマの舞台として使用されています。
1979年に公開された、桃井かおりさん主演の映画「神様のくれた赤ん坊」では、片側一車線や歩道やエレベーター入り口など、今はもう見ることができない若戸大橋が映っています。
最近では、2019年公開の「ママレード・ボーイ」で、若戸大橋や上野海運ビルが撮影場所として使用されました。
今年は秋の花火に
毎年7月中旬には30万人を超える来場者が集う「若松みなと祭り」が開催されています。
開催中日に実施する「くきのうみ花火の祭典」は、洞海湾のど真ん中から花火があがることで知られ、北九州市を代表する花火大会のひとつ。若戸大橋にかかる「ナイアガラ」は大勢の人を魅了する美しさです。
2020年は、新型コロナの感染拡大防止の観点から延期が発表され、10月3日に開催予定となっています(6月16日時点)。
若戸大橋周辺は、1日中楽しめる観光スポットとしておすすめしたい場所です。
デートや家族のおでかけ先として小さな旅にでかけませんか?
(北九州ノコト編集部)