• HOME
  • 記事
  • 暮らし
  • 北九州市発!生ごみを堆肥化「髙倉式コンポスト」 JICA九州で出版記念セミナー実施

北九州市発!生ごみを堆肥化「髙倉式コンポスト」 JICA九州で出版記念セミナー実施

(アイキャッチ画像:記念セミナーの様子)

8月8日、八幡東区にある独立行政法人 国際協力機構九州センター(JICA九州)で、プロジェクトヒストリーシリーズ『高倉式コンポストとJICAの国際協力スラバヤから始まった髙倉式コンポストの歩み』出版記念セミナーが開催されました。

高倉式コンポストとは

開発途上国では、山積みされた生ごみが悪臭を放ち、深刻な環境問題となっています。有機ごみの処理にはいくつかの方法があるそうですが、最も広く実践され安価でできるのが、公園や街路樹の剪定枝葉などを微生物の活動を利用し分解させ堆肥に変える「コンポスト化」です。

「高倉式コンポスト」は、北九州市の企業でコンポストを研究していた髙倉弘二さんが開発した生ごみ堆肥化技術。2004年にJICA専門家としてインドネシア・スラバヤ市で活動中に確立した技術がのちに「高倉式コンポスト」と呼ばれるようになりました。

「高倉式コンポスト」では特定の発酵菌を使用せず、現地で入手できる果物の皮、発酵食品、米ぬか、もみ殻、腐葉土などを使用。有機ごみと混ぜ合わせて自然発酵させることで、短時間で有機分の多くを分解します。

最大の特徴は、コンポストの基礎理論を再現する技術体系とし、現地での技術の適正化が容易になるように工夫していること。資材も現地で安価で入手できるもので、既存の設備を使用して取り組むことができ、現地の実情に応じて使用することで生ごみのリサイクルを完結できます。

今年3月に出版された『高倉式コンポストとJICAの国際協力 スラバヤから始まった高倉式コンポストの歩み』(著・髙倉弘二)では、これまでの開発秘話を知ることができます。

JICA九州で記念セミナーを開催

「高倉式コンポスト出版記念セミナー」の前半では、髙倉さんが「高倉式コンポスト」について解説。

コンポスト化のために生ごみをかき混ぜる工程など、言葉の通じない現地の人たちに技術を浸透させるために自作の歌を歌って気持ちを合わせていったことなど笑いを交えながら説明しました。

後半は、取り組みに協力している関係者が参加し、パネルディスカッションを実施。

JICA九州センター専任参事・富安誠司さん、公益財団法人日本シェアリングネイチャー協会専務理事・三好直子さん、高倉環境研究代表・髙倉弘ニさん、株式会社ecommit向井候太さん、JICA地球環境部審議役・田村えり子さん

コンポスト化に必要な発酵床づくりについて、日本やインドネシアでは米ぬかやもみ殻を使用しますが、中南米では手に入らないため、とうもろこしの芯を砕いて使用するなど現地に合った代替品を探したそう。

その試行錯誤の結果、研修員受け入れ事業や青年海外協力隊、草の根技術協力事業などJICAのさまざまな事業を通して「高倉式コンポスト」は世界に浸透し、今も継承されていったそうです。

最後に髙倉さんは、高倉式コンポストについて「北九州市の関係者や海外の方、JICA本部などさまざまな方のサポートも含めて、一言で言えば『協働』。 同じ目線で同じ考えでもって取り組んでいった結果出来上がった技術」と話しました。

現在、北九州市の市民センターなどで、市民を対象とした「地域生ごみコンポスト化講座」を行っているとのこと。また、髙倉さんを講師に招いた「生ごみコンポストアドバイザー養成講座」も実施予定とのことです。

高倉式コンポストの詳細は、JICA九州・高倉式コンポスト技術(タカクラ・メソッド)紹介ページで確認できます。

※2023年8月18日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

関連記事一覧