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あなたが“今”求める1杯を淹れてくれるコーヒースタンド「Parts Of Life」

朝の通勤時間。小倉駅を背にしてみかげ通りを南に向かって歩いていると、旦過交番前の交差点手前あたりから仄かにコーヒーの香りが漂ってくる。その香りに背中をおされるように横断歩道をわたり、足取りにも力が戻るのを感じる。

コーヒースタンド「Parts Of Life(パーツ オブ ライフ) 」は店主の吉松さんが厳選した数種類のコーヒー豆を揃え、その人の好みに合わせた豆や抽出方法、挽き方をアレンジし、こだわりの一杯を提供している。王道のコーヒーの他にもラテ系のメニューも充実。コーヒーが苦手な人も気軽に来店できるようにシェイクや自家製のレモネードも販売しているそうだ。

緊急事態宣言発令中の2月にオープン4周年を迎えた同店。様々な人たちのために毎日コーヒーを淹れてきた歴史を、店主である吉松さんから聞くことができた。

コーヒー嫌いだった店主を変えた1杯

これまで様々な仕事をしてきた店主の吉松さん。学校を卒業し、はじめに就いた職はメーカーでの海外営業職。そこで海外の文化にふれ、いつかは海外で生活をしてみたいと思うようになり、その後会社を退職。単身でオーストラリアへワーキングホリデービザを取得し、1年間、言語や文化の違う国へと旅に出たそうだ。

コーヒーの世界へとのめり込んだのはその先のことであった。帰国後にはマーケティング会社に勤め、そこで飲食店・カフェの開業講座を受け持っていた。その際に実務家を講師として招き、参加者へレクチャーすることがあったそう。当時の吉松さんはコーヒーの苦味がどうも口に合わず、「コーヒーを飲めないのにカフェの開業講座をするなんて」と感じていたそうだが、その講師から出されたフルーティーで飲み口のやさしいコーヒーに驚き、コーヒーに対しての印象が180度変わったと言う。

気がついたら1年でカフェを開業

今まで苦手と感じていたコーヒーに対しての興味が一気に加速し、勉強を進めていくにつれてコーヒーの魅力に引き込まれた吉松さん。そこからは展開が早く、自身でカフェを開こうと決めて「よし、まずは仕事をやめよう」とそれまで勤めていた会社を退社。気がつけば、コーヒーにのめり込んだ1年後には店をオープンさせたそうだ。

それまでは一般的なサラリーマンとして会社に所属し仕事をしてきた人がいきなりカフェの経営者になることについて不安はなかったのか尋ねてみたところ、「やろうかどうしようか悩んだらまずはやってみることにしています。成功や失敗することを考える前に、自分のやりたいことを大切にして動かないと後で後悔すると思うんです」と語る。その口調には力強さが滲み出ている。

やってみた先の「どうにかなる。どうにかする」という感覚を持てたことは見知らぬ海外の土地へ踏み出した経験が大きかったそうだ。

コミュニティーが醸成される場へと

この4年間で多くのファンを獲得してきた吉松さん。カフェを居心地のいい、そして楽しい空間にしていくためによく心掛けていることがあるという。それは、その場に居合わせた人と人とを繋ぐこと。

吉松さん曰く、それぞれ別々で来店した客と客が繋がることで、一気にその空間が広く使われるのだそう。客と店主との二方向のやりとりに留まらず、客と客、そこに店主が加わることで、ひとりで来店し着いたその一脚の席以外の空間をも使えるという感覚をあじわえるかもしれない。そこには開放感があり、見た目以上に広い空間へと変わるだろう。

そのように人と人とを繋ぐことを意識して営業を続けていると、いつの間にか常連と言われる人たち同士で旅行へ行ったり、飲み会が行われたりと、コミュニティーが出来上がってきたという。中には店で出会った人同士で交際をスタートさせたカップルもいるそうだ。

ただコーヒーを淹れて提供するのが仕事ではなく、その場に来る人たちの繋がりを生み出し、ここにしかない体験を提供していることが、皆から愛される理由なのかもしれない。

「ここで出会って、結婚するまでに至るような出来事があってくれると嬉しいですね。そういう新たな出会いのきっかけをどんどんつくっていくことを考えながらコーヒーを淹れていこうと思います」と今後の抱負を語ってくれた。

店名 Parts Of Life
住所 北九州市小倉北区魚町3-1-11
営業時間 火〜木・日曜 8:30~18:30 金曜日8:30~23:00 土曜日11:00~23:00
店休日 月曜
電話番号 TEL 090-9794-2343

(北九州ノコト・西方俊宏)

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