八幡東区・東田エリアにテーマパーク出現?/コンピューターサイエンス研究所社長・林秀美さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
実証実験「どこでもテーマパーク」
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
横山:西日本新聞社の横山智徳です。
甲木:先日の東田(八幡東区東田)での体験は楽しかったですね。
横山:楽しかったですね!
甲木:VRとかの体験って中々できないですよね。
横山:僕も初めてでした。ファンファン北九州でいろいろな体験をしてきましたが、今回は別格でしたね。
甲木:ということで本日のゲストをお呼びしましょう。「どこでもテーマパーク」という名前の実証実験を私たちに体験させてくださった、コンピューターサイエンス研究所社長の林秀美さんです。よろしくお願いします。
林:こんにちは。よろしくお願いします。
甲木:はい。「どこでもテーマパーク」とは皆さんにはなじみのない言葉なんですけど、これが林さんの会社と、久留米工業大学が中心となった国の実証実験ということなんですね?
林:はい。その他にNTTドコモ九州支社さんとか、三菱総合研究所さんとか、ゼンリンデータコムさん、そして北九州市も入って行いました。
横山:そうそうたる顔ぶれという感じですね。
VRとMR、2つのアトラクション
甲木:その実証実験の中身について教えていただけますか?
林:はい。東田はスペースワールドが撤退した後ちょっと寂しくなって、イオンやアウトレット、新しい科学館などでにぎわいはまた復活するとは思いますが、元々は世界遺産である官営八幡製鉄所がありながら、なかなか人が来てくれなかったんです。そんな場所で世界遺産を紹介したり、いのちのたび博物館に関連して、恐竜を新しい技術を使って再現したりする試みを国の補助をいただきながら始めた、ということです。
それで、アトラクションを二つ用意しました。一つが自動運転の一人乗りのモビリティで走行して、最後に世界遺産の官営八幡製鉄所を紹介する「鉄の道世界遺産VRガイディングツアー」。そしてもう一つが「デジタル恐竜パーク」と言いまして、これはVRではなくてMR、ミックス・ド・リアリティ、日本語で言うと複合現実と言うんですが、実際の景色を見ながら、そこに太古からの恐竜がタイムスリップして出てくるというものです。イオンやいのちのたび博物館とか、公園などの周辺を人や車が動いている実際の街の景色の中に、動く恐竜が登場する場面を見るアトラクションです。
甲木:MRと言うんですね。
林:はい。「鉄の道…」で見ていただいた昔の官営八幡製鉄所の様子、あれはVR、バーチャルリアリティと言います。
甲木:あの、溶鉱炉に落ちていく感じの、ああ、なるほど。MRとVRは違うものだったんですね。体験して今やっとわかりました。VRの方は、本当に街の中に実際に恐竜が現われた、しかも公園の中を走行しているから恐竜が木の陰から出てきたり、向こうには恐竜に全然気づかずに散歩している人が見えたり、あと遠くにはマンションが見えるので、恐竜がマンションを襲うんじゃないか、と思えるような迫力でした。すごくリアルな感じですよね。
横山:あれはすごかったです。
林:これは世界でも多分初めてだと思います。自動運転のモビリティというあたかもテーマパークのライドもののような体験をしながら、目の前には実寸大の恐竜が現われる。一番大きなディプロドクスという恐竜は全長27mですから、27mの実際の大きさが見上げるような眺めで出てくるという感じですね。
甲木:だからゴーグルをつけたまま首を上に向けないといけなかったんですよね。それと、歩いている恐竜の動き、筋肉の盛り上がり方なんかもすごくリアルでした。
林:実は、いのちのたび博物館のドクターでもある学芸員の方と百回くらいやりとりして、「実際に学術的に問題がないものでないと駄目だ」と言うダメ出しをたくさんいただきました。「子どもたちは恐竜のことはよく知っているだからウソはつけないんだ。裏切ってはいけないんだ」ということで、そこが一番大変でしたね。
注目される可能性
甲木:なるほど。実際にその実証実験にはお子さまを含め何人くらいが体験されたんですか?
林:はい。今回は「鉄の道」と「デジタル恐竜パーク」と合わせて1500人くらいの応募がありました。特にデジタル恐竜パークは皆さん関心が高くて1000人以上の応募がありましたが、夕方以降の暗くなった時間に見るというMRの特性上、実際に参加できたのは300人程度でした。
甲木:それでも300人が参加できたんですね?
林:はい。鉄の道の方は約250名の参加ができました。体験された方々は一様に楽しかった、すごかった、おもしろかったという感想で、国に出した報告の結果も、非常に良い評価になったのではと思います。
甲木:なるほど。スペースワールドという大きな遊園地はなくなったけど、どこでもテーマパークと言うくらいだから、ちょっとした公園の敷地などがあると、それで十分アトラクションになるということですね?
林:そうです。この東田というエリアだけではなくて、他に世界遺産とかありながらなかなか集客が難しいところでも、こういったものを使えばテーマパークになりうるのではないかということで、いろいろなところから問い合わせや注目をいただいています。ただ難しいのは時間的制約や、設備にかかるコストもあるので、これから事業化を検討するにあたりどうやってコストを賄い、出来るだけ安く体験していただけるかということが課題として残っています。
甲木:はい。ありがとうございます。次回はテーマパーク以外に、林さんの会社が手がけておられる社会実験や、林さんがこれまでされてきたことにも迫ってまいりたいと思います。林さん、ありがとうございました。
林:ありがとうございました。
横山:ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
〇ゲスト:林秀美さん(コンピューターサイエンス研究所社長)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
(西日本新聞北九州本社)