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希少な水生昆虫が「山田緑地」で63年ぶりに再発見 NPO法人北九州・魚部【北九州市小倉北区】

(アイキャッチ画像:ハガマルヒメドロムシ)

全国的にもきわめて希少な水生昆虫「ハガマルヒメドロムシ」がNPO法人北九州・魚部により、北九州市立山田緑地(北九州市小倉北区山田町)で63年ぶりに再発見されました。

山田緑地の通称『ガマの池』で「ハガマルヒメドロムシ」1個体を採集確認

NPO法人北九州・魚部は北九州市立山田緑地と協働し、2015年度から緑地内で水生昆虫調査を続けてきました。その調査成果はイベントなどで展示や観察会に活かしてきたと言います。

今回、2022年度調査を10月8日に実施したところ、通称『ガマの池』で「ハガマルヒメドロムシ」を1個体採集したとのこと。ヒメドロムシは本来、河川や沢など流水に生息していますが、今回の発見地は止水的環境であり、周辺から飛来するなどしたと推測されると言います。

「ハガマルヒメドロムシ」は、1955年・1959年の「小倉」産の個体をもとに新種記載された水生昆虫の仲間であるヒメドロムシの一種。その後は1970年に若杉山で記録されたのみで記録が途絶えていましたが、2000年代に夜須町(現・筑前町) で再発見されました。

現在の福岡県内で安定して生息が確認されているのは1カ所のみといわれ、福岡県RDBでは絶滅危惧IB類とされています。また、全国でもきわめて希少な種で、福岡県以外では鳥取県、島根県、広島県、山口県の4県で記録があるのみ。環境省RL2020でも絶滅危惧IB類とされているそうです(以上、福岡県RDB2014 記述を参考)。

北九州市の発展に伴い、絶滅したかもしれないと思われた

北九州市、特に小倉地区(紫川水系)にとても縁のある生き物ではありますが、タイプ標本にある「小倉」がどこを指すかも不明で、その後の小倉地区や紫川中下流域の発展に伴う環境悪化の状況を考えると見つけることはできないだろうと考えられていました。

NPO法人北九州・魚部によると、「今回再発見した山田緑地は福岡県内の既知産地(筑前町や筑紫野市)とは全く離れた場所であり、状況から考えて付近に生息しているとしか考えられない。つまり、1960年代以降の北九州市の発展に伴い、絶滅したかもしれないと思われたタイプ産地『小倉』の本種がひそかに生き残っていたことになる。今回の発見でハガマルヒメドロムシはひっそりと、しかし強かに、サスティナブルに命をつないでいたことがわかった。これは北九州市や山田緑地の自然が豊かさを残していることの証拠でもあると思われる。今後はハガマルヒメドロムシがどこを主生息地としているのか、調査研究を進めていきたい」とのことです。

※2022年10月30日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

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