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北九州市内の国公立大学 定員の3分の1以上が『学校推薦型』に【大学入試最前線】

(アイキャッチ画像はイメージ<写真AC提供>)

2022年4月に高校に入学した生徒から新学習指導要領に基づく授業を受けることになり、2025年度入試から新課程に合わせた内容へと大幅に変更されます。

もちろん、2025年度入試だけでなく、現在の大学受験もいま受験生を持つ親世代の時代とは大きく変化しており、一般選抜から学校推薦型選抜・総合型選抜へと変わりつつあります。

北九州市にある大学2校、北九州市立大学と九州工業大学でも今年の推薦による入学者が北九州市立大学が36.4%、九州工業大学が32.1%となっているという現状を踏まえ、今回は刻々と変わっていく驚きの入試最前線を紹介します。

学力以外にマルチな能力が求められる今の推薦入試

「『偏差値時代終幕の足音 推薦・総合型が過半に』。これは今年8月15日の日本経済新聞に掲載された記事のタイトルです」と、八幡西区折尾の塾予備校「大学受験のTG」代表を務める櫻井進嗣さん。「一般入試が当たり前」「推薦合格者はズルい」といった考えは昔の話で、今の推薦入試は、従来の大学受験教科である英語・国語・数学・物理・化学・生物・社会などに加えて、書類選考、小論文、口頭試問、面接、プレゼンテーション、グループディスカッション、大学共通テスト、実技試験などが複数課され、学力以外にマルチな能力が求められていると言います。

推薦などで新年を待たずに合格を決める「年内入試」が主流になり、今年3月の推薦による全国の大学入学者は50.3%と初めて過半数を超えたとのこと。受験生の親世代からすれば、学校推薦型・総合型選抜が拡大していることに驚くかもしれません。

しかし、こうした流れはさらに広がる方向だと櫻井さん。「早稲田大学は今後推薦入試枠を6割に引き上げると公表しました。実際、今年の入学定員に占める一般入試の比率は56%となっており、年々減少しています。慶應義塾大学も57%に減らしました。明治大学は系列校の拡充に動き出し、29年に卒業生の7割が同大学に入れる体制を目指しています」と言います。

もちろん私立大学だけでなく、国公立大学も変わるそうで、国立大学協会は全体として学校推薦型・総合型選抜の合格者が占める割合を現行の推薦3割から『入学定員の5割を超えない範囲にする』ことを掲げたとのこと。

こうした背景には、少子化から一気に多くの受験生をふるいにかける試験が意味をなさなくなったとも言われているそうです。

行きたい大学に進むには時代に合わせて対応することが必要

18歳人口の減少、大学の入学定員の増加で、受験生にとっては追い風の状況になっているとはいえ、自分が本当に行きたい大学に進むためには、時代に合わせて対応していくことが大事です。

卒業生の実に30%以上が学校推薦型・総合型選抜で第1志望校に合格しているという「大学受験のTG」では、英語・数学・物理・化学・生物・国語・社会といった科目は専門講師による直接指導を行ったり、小論文・面接指導・総合型選抜入試資料作成を行ったりと、一般選抜だけでなく、学校推薦型・総合型選抜に合わせた指導も実施しているそう。

「北九州市立大学と九州工業大学などでも学校推薦型の入学者が増えてきていますが、北九州市の他の大学でも同じように学校推薦型・総合型選抜での入学者が今後さらに増えていくと予想されます」。

来年推薦を目指している高校2年生へのアドバイスとして、今のうちから定期テストを頑張るのはもちろん、「3年生の4月からしっかり小論文の勉強をする」「英語資格は2年生のうちに取っておくようにする」「志望校のオープンキャンパスには必ず参加する」といった3点も意識して行動してほしいと言います。

また、学校推薦型・総合型選抜だと年内に合格が決まってしまうことがほとんどですが、英検やTOEIC、大学入学後のプレイスメントテスト、大学数学、大学物理など、『次』へ向けて早めに勉強に取り掛かることができるのも利点の一つ。実際、「大学受験のTG」の卒業生の中には推薦での合格が決まった後も勉強を続け、高校卒業を待たずにTOEIC650点を取って大学の単位の要件をクリアした生徒もいたそう。

親世代の入試観が通用しないこれからの大学入試、親子で最新情報を収集し、対策していく必要がありそうです。

◆取材協力:「大学受験のTG(北九州市八幡西区折尾3-1-14)

※2022年11月11日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

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