• HOME
  • 記事
  • おでかけ
  • 北九州市民の『記憶』を演劇で後世に 「Re:北九州の記憶」東京でも初上演

北九州市民の『記憶』を演劇で後世に 「Re:北九州の記憶」東京でも初上演

(アイキャッチ画像:製作発表会見出席者の皆さん)

北九州芸術劇場+市民共同創作劇「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」(内藤裕敬脚本・構成・演出)が、2月23日~26日、北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区室町)で上演されます。

北九州市制50周年の2012(平成24)年度にスタートし、10年間にわたり実施されてきた「Re:北九州の記憶」。11回目を迎える今回は、その集大成としてこれまでに生まれた89作の戯曲をモチーフに、北九州芸術劇場のこけら落とし公演「大砲の家」の演出を手掛けるなど、同劇場と関わりの深い内藤裕敬さん(南河内万歳一座)が新作を執筆。北九州だけでなく、東京でも初めて上演されることになりました。

「Re:北九州の記憶」とは

「Re:北九州の記憶」は、いつかは消え去ってしまう『個人の記憶』を後世へ継承していくことを目的に、北九州に暮らしてきた高齢者の人々に地域の若手劇作家がインタビューを行い、聞いた話を元に物語をつくるというもの。

劇作家が執筆した戯曲は、より良い作品づくりに繋げるため、戯曲講座で繰り返しブラッシュアップされ、演劇公演として上演するための台本へ。完成した台本で役者とともに稽古が行われ、北九州芸術劇場 小劇場で演劇作品として毎年上演されています。

これまでの10年間で73人にインタビューが行われ、子ども時代や青春時代のこと、初恋、仕事、結婚、別離など、個人の記憶の中にのみ存在したさまざまなエピソードを元に89作品が生まれ、オムニバス形式で上演してきました。

89作品から絞り込んだ要素に新しいものを書き加え、1本の新しい作品へ

1月31日に行われた制作発表会には、脚本・構成・演出の内藤裕敬さん(南河内万歳一座)をはじめ、今回の出演者、これまでに脚本を手掛けてきた若手劇作家らが出席。

新作の構想や創作にかける思いについて尋ねられた内藤さんは、「これまでに89作品が生まれましたが、思いのほか傑作が多い。その傑作の中でも興味深い作品を僕の個人的な判断で12~13編をチョイスしました。それらが絡み合いながら1本の作品へと仕上げられそうな要素をさらにピックアップ。半分くらいの6作品に絞ったものをうまく構成しながら、僕が新しく書く部分で1本にまとめていこうというのが今回の作業です。僕が書く部分も完璧にオリジナルで書くのではなくて、作品としてチョイスしなかったものの中にあるエッセンスをいただいて新しい部分を書き加えることで、全体をまとめてなおかつ新しく面白く、そして昔はよかったなというノスタルジーにひたって終わりではなく、現代性が担保できるような作品にしたいなと思っています」とのこと。

今回描かれるのは、戦後まもなくの頃から徐々に現代に向かっていく北九州市。今のところは若戸大橋ができる頃までの物語とのこと。ただし、それだと過去の出来事ばかりがつづられてしまうため、「ご存命の方が過去をどういう風に受け止めていまにいるのか、みたいなことをエピソードの間に挟みながら、現代という視点を置きつつ若戸大橋ができるまでを書いていく」と言います。

また、「君といつまでも」というタイトルについては、「人の個人史というのはその方が亡くなれば消えてしまう。おびただしい数の記憶が取り返しがつかないことになっているわけですが、そういうものの一つ一つが街の中では生きているんだなと実感することがあります。昔とはスパッと縁を切った現在がここにありますということはありえない。『君といつまでも』という感じで暮らしているなという気がするんですよ。作品全体をご覧になって『君』とはどの『君』かというのはお客さんが自由に楽しんでいただけると嬉しい」と話してくれました。

福岡で活動する俳優中心の座組 南河内万歳一座の荒谷清水さんが客演

出演は福岡で活動する俳優が中心となりますが、北九州芸術劇場のこけら落とし公演「大砲の家」にも出演した荒谷清水さん(南河内万歳一座)が客演として出演。

今回の出演にあたり、荒谷さんは「開館当時からお世話になっていまして、20年前にひと月滞在させてもらってここにいる寺田(剛史)くんや有門(正太郎)くんと一緒に芝居作りというとても贅沢で刺激的な時間を過ごさせてもらった。今回20年ぶりにひと月滞在して芝居作りさせてもらえるということで、すごく楽しみにしています。今回は一緒にやったことのないメンバーと芝居ができるのがとても楽しみです。僕だけ関西人なので『あいつだけ変なやつ混じっている』とこっちの人に思われないように、しっかりこっちのおいしいものを食べつつ、まちの空気をいっぱい吸って舞台に立てればと思っております」とコメントしました。

東京公演は3月3日~5日、東京芸術劇場シアターイースト

なお、「君といつまでも~Re:北九州の記憶~」東京公演は、3月3日~5日、東京芸術劇場シアターイースト(東京都豊島区西池袋)で行われます。

詳細は北九州芸術劇場ホームページで見ることができます。

※2023年2月20日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

関連記事一覧