「北九州の音楽博物館をつくる」 N9S ROCK MUSEUMプロジェクトが始動
(画像提供:N9S ROCK MUSEUM)
新型コロナにより大きな影響を受けているライブハウス。北九州市内では緊急事態宣言が解かれた現在も、ライブハウスに対して6月18日までの休業要請が出ています。19日から元通りの営業ができるのかどうかも分からない中、あるプロジェクトが立ち上がりました。
N9S ROCK MUSEUMとは
緊急事態宣言真っただ中の4月下旬、北九州市内の音楽業界に携わってきた田中裕一さんと下川徹也さんはこんなやりとりをしたそうです。
「北九州市のライブハウスやスタジオの支援で、自分たちにできることはないか」。
その後、有志で集まった他4人のメンバーと幾度も話し合いを重ね、北九州のライブ ハウス・スタジオへの支援活動を主に行うこと、北九州の音楽博物館をつくることを目指すプロジェクト「N9S ROCK MUSEUM」を発足しました。
オンラインの”音楽博物館”
『N9S』は、「N(North=北)9(九)S(State=州)」からきているそうです。ライブハウスのスタッフ、楽器店役員、現・元バンドマンなど音楽に携わってきた経歴を持つ6人の有志が集まりプロジェクトを運営しています。
北九州という地で音楽を奏でた人たちの歴史を振り返れる、博物館のようなウェブサイトを作りたいという下川さん。「あの日あの時、ライブハウスで聴いた音楽を全て詰め込んだ場所を作ることで、たくさんの人に懐かしんだり楽しんだりしてほしい」と語ります。
当初は支援のためだけに動き始めたプロジェクトでしたが、その輪は瞬く間に広がりたくさんの協力者が集まったといいます。
音源を購入で支援
「N9S ROCK MUSEUM」プロジェクトでは、6月5日から支援の受け付けを開始しました。
支援は1000円から可能です。オリジナルの「ステッカー」を購入し、購入後にメールで送られてくる「支援フォルダURL」にアクセスすると、支援のリターンとしてフォルダ内の楽曲が一定期間聞き放題になる仕組みです。
音源を提供したアーティストは6月9日時点で202組。現在は、第1弾アーティストとして40組の楽曲が楽しめます。今後は、月に1回のペースで第2弾、第3弾と順次楽曲が追加販売される予定です。支援するタイミングで収録楽曲は異なるので「都度支援して全ての楽曲を聴く」「お気に入りのバンドや気になるバンドが追加されたら支援する」「全部が出揃ってからまとめて支援する」など、支援方法もさまざまです。
フォルダへのアクセス期間はそれぞれ約半年間で、現在受け付けている第1弾は11月30日までの公開となっています。
支援先は、市内にある10か所のライブハウスと8か所の音楽スタジオです。集まった支援金は、決済手数料やステッカー送料などの諸経費を差し引いた金額を、支援者が選択した各支援先に納付されます。支援先が選択されなかった支援金は、全支援先へ均等に分割納付されます。
70年代から振り返る「北九州の音楽」
「N9S ROCK MUSEUM」のサイト上では今後、1970年代から現代まで、時代ごとに活躍していたバンドやライブハウスを振り返る「北九ロックの歴史」を紹介するページが公開される予定だそうです。
また、北九州の音楽シーンで活躍していた人、裏方で支えていた人のコラムやインタビュー記事も、6月下旬に公開を控えています。
“北九州の音楽”を絶やさないために
10代から60代まで幅広い年齢層の方が、このプロジェクトのために動いているそうです。
下川さんは「支援のため楽曲提供を依頼したいバンドが500組ほど挙がっている。連絡の取れないバンドもあるが、連絡をとるために人から人へとつないでくれている。支援のためでもあるが、単純に楽しんでくれている人もいてうれしい。音楽は無力じゃない」と、北九州の音楽の力について語りました。
コロナ禍だからこそ実現した、これからの“北九州の音楽シーン”に欠かせないウェブサイトになることを期待しています。
(北九州ノコト・大畠あずさ)
※6月9日に電話にて取材を行いました。