「北九州都市圏域」知ってる? 魅力的な『食&自然』の18市町が連携する理由

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九州の一番てっぺんのエリアが「北九州都市圏域」と呼ばれていることを知っていますか。

北九州市と近隣の17市町(直方市、行橋市、豊前市、中間市、宮若市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町、小竹町、鞍手町、香春町、苅田町、みやこ町、吉富町、上毛町、築上町)の合計18市町が連携し、形成している「北九州都市圏域」。総人口は約137万人、総面積1467平方キロメートルという数字は、ともに福岡県の約30%を占めているといいます。

玄界灘・響灘、周防灘、それらをつなぐ関門海峡に囲まれたエリアで、海の幸に恵まれています。また、中央を福智山系が貫き、一級河川の遠賀川を有するなど、豊かな自然環境の中で育まれた大地の幸もたくさんあり、遊ぶ場所・見る場所・食べる場所が数多く揃う魅力あふれるエリアでもあります。

北九州都市圏域にはおいしいものがいっぱい

北九州都市圏域は、植物プランクトンが豊富な豊前海で育まれる大粒で濃厚な味わいのブランド牡蠣「豊前海一粒かき」をはじめ、濃厚なうま味と甘みがたまらない「豊前本ガニ」と呼ばれるワタリガニ、プリプリの歯ごたえとふくよかな甘みが特長の「関門海峡たこ」、上品な味わいを楽しめる白身魚「ハモ」、玄界灘、響灘の荒波育ちの身は透明でコリコリとした食感の「ヤリイカ」、脂がたっぷりのった上質な味わいの「サワラ」など、海の幸が豊富です。

海の幸以外にも、地元で大切に育てられた「小倉牛」や「宮若牛」、日豊本線沿線の市町の中でも上質の鹿や猪が獲れることから近年じわじわと人気上昇中の京築エリア(苅田町・行橋市・みやこ町・築上町・豊前市・吉富町・上毛町)の「ジビエ」といったお肉類から、「若松水切りトマト」「水巻のでかにんにく」など地名がついた野菜、京築地域での栽培が盛んな「スイートコーン」、小竹町などで栽培される黒大豆「クロダマル」といった野菜類・穀類まで、さまざまな食材が揃います。

また、福岡県内でフルーツと聞くと、県南部での生産が盛んだと思い浮かべる人も多いかと思いますが、実は北九州都市圏域でも「いちじく」「柿」「いちご」「びわ」「ゆず」「レモン」「ぶどう」などバラエティーに富んだフルーツが栽培されており、フルーツ狩りが楽しめるものもあるほどです。

これら北九州都市圏域のおいしいものを使った食を楽しめるカフェやレストラン、ベーカリー、スイーツショップ、生産者が丹精込めて育ててきた新鮮な食材を購入できる直売所なども、北九州都市圏域にはたくさんあります。

北九州都市圏域には美しい自然もいっぱい

福岡県北東部に広がる日本有数のカルスト台地「平尾台」や、2022年に日本新三大夜景都市の全国1位に認定された北九州市の「皿倉山」からの夜景、ひしゃくの形をした北斗七星があたかも水平線の水をくんでいるような姿を見ることができる岡垣町の「北斗の水くみ」、「農村景観百選」に選ばれている苅田町の「等覚寺地区の棚田」など、北九州都市圏域でしか見ることができない自然景勝地も数多く、この自然を見るためにわざわざ足を運ぶという人もいるほどです。

北九州都市圏域内であれば、どこも日帰りで出かけることができるので、近場のお出かけスポットを探しているのであれば、海も山も川もあり、四季折々の花も楽しめる北九州都市圏域内の中で候補地を探すことが可能です。

また、宮若市の「脇田温泉」など入浴が楽しめる場所もあるので、1泊してゆっくり満喫するという過ごし方も考えられます。

18市町一丸となって地域の課題解決 連携すると暮らしやすくなる?

実は18市町が連携することで、北九州都市圏域内で生活する私たちも暮らしやすくなっているのですが、なかなか「私たちの暮らしにどう関わっているのか」、いまいちイメージできないですよね。

そもそもこのエリアに暮らす私たちの生活をより良くするためにスタートした制度、それが「北九州都市圏域」なのです。

そこで「北九州都市圏域」によってどのように暮らしやすくなっているのかなどについて、北九州市立大学の教授で、地域戦略研究所 副所長・地域社会部門長を務める南博先生に教えてもらいました。南先生は地域経済・地域社会の活性化に関する都市政策について詳しく、「北九州都市圏域」にも長く関わってきた専門家です。

「北九州都市圏域に属する18市町は『人口減少や少子高齢化への対応』『若い世代の定着促進』『首都圏・福岡市への転出超過への対応』など共通の課題を持っていたことから、市町の枠を超えて圏域一体となって課題を解決していこうと2015年12月に北九州市が連携中枢都市宣言を行い、2016年度から連携中枢都市圏『北九州都市圏域』として市町が連携してさまざまな取り組みをしています」と南先生。

元々、北九州市の東部と京築エリア・香春町は「豊前の国」、北九州市の西部と遠賀・中間や直方・鞍手方面のエリアは「筑前の国」として、江戸時代以前からつながりを持っていたと言います。

「北九州都市圏域」と呼ばれるずっと前から深い関わりを持つこの地域の18市町がそれぞれの特長を生かし、一体になって補い合うことで、一定の人口規模を維持できれば、地域の経済維持や公共サービスの維持にもつながるのだそう。

例えば分かりやすいところで言うと、北九州市民にはおなじみの「こども文化パスポート事業」もその一つ。夏休み中にパスポートを提示することでさまざまな施設に無料または割引で入れるなどの特典があり、お出かけに活用しているという人も多い「こども文化パスポート」ですが、実は北九州市以外の他エリアにも対象となっている施設があり、「北九州都市圏域」に属する中間市・芦屋町・水巻町・岡垣町・遠賀町・直方市・宮若市・行橋市の施設も対象になっています。

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北九州都市圏域内で私たちが「こども文化パスポート」を利用することで、人の動きがエリア内に生まれて施設の利用者が増え、さらには訪れた人がその土地でごはんを食べたり特産品を買ったりしたら、経済成長にもつながるのだと言います。

ほかにも図書館の相互利用ができるなど、あまり広く知られてはいないのですが、私たち市民の暮らしが豊かになるような取り組みも行われているそう。

「北九州都市圏域の17市町から北九州市内へ通勤・通学している人も多くいますし、その逆もあります。東九州自動車道が開通したことで行き来もさらに便利になりました。特に今はコロナ禍ということもあって、遠方に足を運ぶということよりも、地域の人が地域の中で流動できるような仕組みづくりが大切だなと考えています。北九州市内から日帰りで行くことができるような比較的行きやすい北九州都市圏域内のエリアを訪問して、市町の個性あふれるおいしいものを食べたり買ったり、観光スポットを訪れたりして、その市町のファンになってほしいんですよね。1度行ったら終わりではなく、その市町への関心・関係を長く持ってもらえるのが理想。同様に圏域外の人々にも北九州都市圏域のファンになってもらう取り組みが進むと、その先には『移住』ということも見えてくるのかもしれません」と南先生は話します。

北九州都市圏域の「これまで」と「これから」

北九州都市圏域がスタートした2016年度からこれまで、具体的にどういったことが行われたかというと、創業支援事業北九州空港物流拠点化推進事業などが挙げられます。また、大規模イベント等の開催・支援として九州最大級のポップカルチャーのイベントである北九州ポップカルチャーフェスティバル(KPF)で関連イベントを実施したという事例もあります。

コロナ前の2017・2018年の2年間は北九州都市圏域連携事業として、東京・浅草の「まるごとにっぽん」に出店。日本各地の伝統工芸品やご当地のグルメなどが揃う商業施設で、「北九州都市圏域」各市町の特色ある商品を販売し、首都圏に向けて圏域のプロモーションを行ったと言います。

県内においては、イオンなどの商業施設で「北九州都市圏域」のフェアを行い、福岡都市圏などへプロモーションすることで交流人口の増加を図っています。県内に向けたプロモーションは継続しており、今年10月7日~10日にも県内でフェアが行われる予定とのことです。

圏域では引き続き若い世代の定着促進や首都圏および福岡市への転出超過が課題となっていることから、これらの課題解決に向け、引き続き移住定住等の取り組みが推進される予定です。また、2050年までに圏域でのゼロカーボンを目指して、具体的取り組みの柱に「脱炭素社会の実現を目指す取組」が追加され、これから具体的な取り組みが行われます。

新型コロナウイルス感染症の影響により、東京一極集中から地方分散への流れが生じようとしていることからアフターコロナを見据え、定住移住等の取り組みも強化されます。さらにSDGsの視点を追加し、SDGsを推進することで一体的に圏域の事業を進められていくようになっています。

北九州都市圏域が盛り上がれば盛り上がるほど経済発展につながり、プラスの分は住民へ還元されます。そうなれば私たちの選択肢の幅も広がり、生活の幅も広がっていくはずです。

「北九州都市圏域」ホームページでもさまざまな情報が紹介されていますが、今後、北九州ノコトでもお出かけの参考にしてもらえるよう「北九州都市圏域」の各市町の魅力も発信していきます。お楽しみに。

※2022年9月30日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

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