仕事は難しいけど、まわりをハッピーにできる/極東ファディ株式会社取締役・吉水請子さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
「空白の12年」からの社会人スタート
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
井上:同じく、西日本新聞社の井上圭司です。
甲木:今回も引き続き、極東ファディの取締役吉水請子さんをお迎えして、お話しを伺います。吉水さん、よろしくお願いします
吉水:よろしくお願いします。
井上:よろしくお願いします。
甲木:前回は吉水さんがあのファディの取締役としてご活躍されているお話しをお聞きしたんですけど、その最後に吉水さんが「空白の12年」という非常に気になるフレーズをおっしゃいました。この空白の12年って一体何なんでしょうか?
吉水:えー?話すんですか?
甲木:(笑)でも、ここが、吉水さんという人で知るために、とっても大事なお話だと思うんですよね。
吉水:はい、そうかもですね。…東京の大学を出てまあ、就職活動で自分のなりたい職業にうまく就けず、そのまま小倉にある実家に帰ってきちゃったんですね。それで空白の12年を作っちゃったという…。
甲木:「12年もですか⁉」という感じですよね?
吉水:普通耐えられないですよね?何かしますよね?
甲木:…つまり、家事手伝いを12年?
吉水:はい。家事手伝いを12年。家庭教師のアルバイトをしたりとかはありましたけど、基本的に社会人デビューすることもなく、無為な日々を送っていました。それで、私のその無為な日々のライフスタイルがだんだんと終末を迎えつつあるなと感じまして、もうどうしていいか分からないまま、ハローワークに行きました。本当に社会とあまりつながっていないので、職安とハローワークが同じものだってこともよくわかっていなくて、「しょくあんって餡子みたいで美味しそう」って…。
井上:えー?その「あん」ですか?
甲木:(笑)このお嬢様の能天気ぶり…。
吉水:それで、ハローワークって職安なんだと思いながら出かけて行って、そして「ここは私のような者にも仕事を紹介してくれる所なんですか?」とお尋ねしたら、女性の方が「そうですよ」と優しく言ってくださって、そこの求人票の中にファディコールセンターっていうのがあったので、そこから応募しました。
甲木:ファディにハローワークから入っているんですよね?
吉水:34歳のときにですね。
甲木:そこから今のキャリアまでって、壮絶だと想像できますよね?さきほどの話し、吉水さんが12年、家にいらっしゃる間に、世の中では職安がハローワークに名称を変えたよとかいろいろ言いたいところはあるのですけど、やっぱり、ハローワークを訪ねたことはよかったと思いますよ。そして受け付けた方が優しかったことも。
吉水:そうですね。コールセンターに応募したんですけど、実際にふたを開けたら、本社の玄関のところで受付というか、お客様をお迎えしてお茶を出すみたいな、それといわゆる庶務とかの仕事だったんです。
甲木:社会人デビューしたばかりの時期としては、その仕事はそんなに、難しくなく…?
吉水:難しかった~。…今と同じくらい難しかった。
甲木:え、そうなんですか?今、経営を考える仕事と同じくらいに?
吉水:不思議なんですけど、どんな仕事もちゃんとやろうとしたらものすごく難しいと思うんです。ただ、たまたま受付でお茶を出す仕事をやり始めたときは、私はもうただ嬉しくて嬉しくて。すごく私の誇りだったですね。その仕事は。
そして大学院へ
甲木:そして大学院にも行かれましたよね?何歳のときでしたっけ?
吉水:34歳で入社して38歳で総合職になって、40歳で大学院に行ったんですね。北九州市立大学のK2BSに。
甲木:大学院に行こう、というきっかけは?
吉水:「総合職になりませんか?」と言っていただけて、2年くらい経って、少しはなんとなくいろんなことができるようになってきたと思っていたんですけど、やはり自分の中でも12年の空白を作ってしまったことに対しては負い目があって、それをどうやって埋めていけばいいのだろうといつも思っていました。それでMBA取得を目指すことで失った12年の時間をぐるぐるっと高速回転させて取り戻すことができるのではないかと思い、思い切って入学してみたんです。
甲木:でも、やっぱり働きながら大学院で学ぶって相当大変だと思うんですよね。その課題も多いし。あまり寝てなかったんじゃないですか?
吉水:あー。でもこれがまたですね、全然大変じゃなかったんですね(笑)
井上:ええー?あれ?
甲木:私が聞くところでは、北九大のK2BSに行った人は結構大変だった、大変だったっておっしゃってるんですけど…。
吉水:なんかですね、課題とかに、それなりに社会人がこなすには大変なものもあったんですけど、金曜日になったら、「嬉しい!朝までレポートが書ける」みたいな…
井上:ええーっ!
甲木:学ぶ喜び、でしょうか?
吉水:はい。楽しかったですね。
後輩に伝えたいこと
甲木:吉水さんはですね、まあ、もともと能力の高い方だったんでしょうけれども、その12年の空白がありながらも、こうやってしっかりお仕事でキャリアを積まれて、やっぱこの世の中にはあまりいないロールモデルなので、女性のキャリアアップセミナーとかあちこちで引っ張りだこで、講師をお引き受けになっていらっしゃいますよね。後輩女性に一番伝えたいことってなんでしょうか?
吉水:長所短所もいろいろありますけど、上司を助けるとか部下を助けるとかっていう時に、自分のできることしかできないから、どんどんそれを使って周りをハッピーにしていくっていうことだと思うんですね。自分にできることで貢献する。私は店頭に立ったことがないけど、販売部門を牽引していかなくてはいけない時に「店頭に立ったことがない人をいったい誰が受け入れる?」みたいなことがあるじゃないですか。でもその時に、やっぱりみんなが苦手にしていることがあるんですよ。そこを徹底的に助ける。そうやってその組織の結果をなんか出してくることができたのかなって。それで初めて受け入れられるというところもあったしですね。
甲木:そのアドバイスは本当に、キャリアセミナーとかでなさっても皆さんにすごく刺さるでしょうね。
吉水:やってみます。
甲木:絶対そうだと思いますよ。…前回から2回にわたり、極東ファディ取締役の吉水請子さんにお話を伺いました。吉水さん、どうもありがとうございました。
吉水:ありがとうございました。
井上:ありがとうございました。
〇ゲスト:吉水請子さん(極東ファディ株式会社取締役)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、井上圭司(同)
(西日本新聞北九州本社)