「ビッグバンプラ座」宇宙旅行の続きをここからまた始めたい 【北九州市八幡東区】

(アイキャッチ画像:かつてのスペースワールドの様子/筆者撮影)

まだ記憶に新しい2018年1月1日。2017年の大晦日からのカウントダウンで年も明けたあとの午前2時。スペースワールドはたくさんの人たちに惜しまれながらも、閉園という終わりを迎えました。

あれから早5年。跡地には「THE OUTLETS KITAKYUSHU(ジ アウトレット北九州)」が建設され、すっかり変わってしまった景色たち。目新しい商業施設ができたおかげで、北九州が活気に溢れるのは喜ばしいことですが、まだどこか悲しくもあり、寂しくもあるのは地元民なら仕方のないこと。

でも、そんなモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしてくれるような、新たな挑戦に立ち向かう人たちが、実はすぐそばにいたんです。

その名も「ビッグバンプラ座」。この名前、どこか聞き覚えがありませんか?

今回はそんな謎多きビックバンプラ座の正体を、代表のふなとさんからこっそり教えてもらうことができたので、皆さんにもこっそり共有しちゃいますね。

そこにあることが当たり前だった北九州のシンボル的存在「スペースワールド」

スペースワールドは、かつて福岡県北九州市八幡東区に存在していた「宇宙」をテーマにした遊園地。

地元の人からは「スペワ」の愛称で親しまれ、1990年春から2018年元旦まで実に27年もの間、多くの人を楽しませてくれました。

3歳の頃から30年近く戸畑で育った筆者にとっても、スペースワールドは思い出のありすぎる場所で、小学生の頃は学校が終わると年間パスポートを握りしめて、その足でスペワの入場ゲートまで向かったものです。

今となってはなんて贅沢な話。

正式名称を知らなくても、「タイタン」や「ヴィーナス」「ザ・ターン」の名前だけは覚えてる!という人も多いはず。

華やかなステージが繰り広げられた「BIG BANG PLAZA」

だけどスペースワールドの人気の秘密って、絶叫系の乗り物が多くあるからとか、そういう理由だけでもないんです。

個性的なキャラクターたちとのグリーティングや、華やかなステージなどのエンターテインメントショーにも力を入れていたことは、開園当初からの有名な話。

その中でも代表的な場所だったのが「BIG BANG PLAZA」。

綺麗に飾り付けられたステージで、メインマスコットキャラクター「ラッキーラビット」&ラッキーのガールフレンド「ヴィッキーラビット」とキャストたちがオリジナルバンドの演奏にのって歌やダンスを繰り広げる様子が、今でも筆者の脳裏に焼きついています。

当時から活躍していたキャストたちが志をともに大集結

今回お話を聞かせてくれたふなとさんも、まさにスペースワールドで活躍していたキャストの一員でした。

「スペワは私を初めてダンサーとして受け入れてくれた場所なんです。ここでキャストとして本当に素敵な経験をさせてもらいました。だから今度は私が感謝の気持ちを込めて、大好きなスペワと、ここで出会ってくれたみんなに恩返しがしたいと思ったんです」と彼女は言います。

そんな1人のキャストの志は後期メンバーを中心にキャストたちの共感を呼び、人から人へと繋がって、ダンサー、アクター、ミュージシャンら元スペースワールドの演者13人が集結。さらに八幡東区にあるダンススタジオ「DancingClub Polaris」の8人を新しい仲間に加え、「ビッグバンプラ座」という形になりました。

そして記念すべき第1回公演の舞台に選ばれたのが、スペースワールド跡地の目と鼻の先にある、枝光本町商店街アイアンシアター。またこんなところでも、なにかご縁を感じずにはいられないのです。

だけど全てが順風満帆だったわけではありません。準備一つするにも、問題は山積みだったとふなとさんは言います。

「でも何か問題に直面するたびに、ダンサーとして働かせてもらっていた当時はどれだけ恵まれていたのかと、また違った感情も生まれてくるんです。ステージ一つを作り上げるために、一体どれだけの人の努力がそこにあったのかと痛感しました」。

「ビッグバンプラ座」のメンバーはみんなスペワに関わってきた人たちですが、全員が今でも北九州に残っているわけではありません。スペースワールド閉園後は、県外に出たメンバーも多いと言います。

全国各地に散らばるメンバーの中で、集まれるところは各自で集まって、オンラインも活用しつつなんとか練習をしてきましたが、実際にリアルで全員集合できるのは、本番前のリハーサルのみ。

それでも誰一人として、常に明るくポジティブな気持ちは忘れません。

元スペワの演者たちですが、スペースワールドを知らない人にも興味を持ってほしいし、誰もが楽しめるステージにしたい!という熱い思いも聞かせてくれました。

一度きりじゃない、夢の続きを北九州から届けたい

「ビッグバンプラ座が、エンターテイメントを通してたくさんの人たちが繋がる事のできる、あたたかい居場所のような存在になってくれるといいなって思うんです。それはメンバーだけじゃなく、地元の方々にもどんどん輪の中に入ってもらって、これからみんなで作り上げていきたいんです。スペワを知っている方にも、これから知ってくださる方にも、私の大好きなスペワでの思い出はずっと共有していきたいし、それと同時に”人と人とが繋がりあえる魅力”も、もっともっと広めていけたらいいなって思います」。

ふなとさんからの最後のメッセージは、とても力強いものでした。

そんな彼女たちの取り組みには心を打たれた人も多いようで、2月12日に発売されたチケットは販売開始からわずか10分で完売。

どれだけたくさんの人が今でもスペースワールドのことを恋しく思っているのか、という証明にもなりました。

一北九州市民として、一スペワファンとして、「ビッグバンプラ座」が継続して活動を続けられるように、筆者もできる限りのエールを送りたいと思います。

活動やイベントについての最新情報は「ビッグバンプラ座」公式インスタグラムで確認できます。

■日時/4月2日 (日)第1部=13:30から 第2部=16:30から ※全2回公演、第1部・第2部ともに同演目
■場所/枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市八幡東区枝光本町8-26)

※チケットは完売しています
※2023年3月30日現在の情報です

(ライター・Kanae N.)

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