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北九州市立港が丘小学校で「能楽出前授業」実施 小学生150人が文化に触れる【北九州市門司区】<PR>

(アイキャッチ画像:「能楽出前授業」)

「能楽で地域活性実行委員会」は、北九州商工会議所を中心に能楽を用いた地域活性化の活動に力を入れています。その取り組みの一つとして、市内の小学校・中学校を対象とした「能楽出前授業」を実施しています。

昨年12月5日には、北九州市立港が丘小学校の4~6年生(約150人)を対象に「能楽出前授業」が行われました。

伝統芸能である能楽の地元演目「和布刈」 シビックプライドの醸成につなげる

「能楽出前授業」は、「能楽を通じて、子どもの心の中に郷土に誇りを持ち、地元に残りたい、地元にいつか帰りたいという気持ちを育み、シビックプライド(地域に対する市民の誇りや愛着)の醸成につながっていくと考えること」を目的としています。

具体的には、伝統芸能である能楽の地元演目「和布刈」を広め、地域活性化に取り組んでいます。

港が丘小学校での開催は、今回で3回目。子どもたちが揃ったところで、「和布刈」の演目で謡っているセリフ「謡(うたい)」のプリントが配布され、先生からのはじまりの挨拶のあとすぐ「和布刈」を実演しました。

10分程の演目中、みんな熱心に舞台に目を向けていましたが、特に4年生は初めての鑑賞とあって、真剣な表情から少し緊張が伝わってきたのが印象的でした。

進行は、シテ(能における主役のこと)として出演した石黒実都さん。能の解説だけでなく、演目の「和布刈」について子どもたちが理解しやすい簡単な言葉での説明もありました。

演目の「和布刈」は、北九州市門司区にある「和布刈神社」で古くから伝わる豊作を願う農耕儀礼の一つ、予祝儀礼「和布刈神事」の内容です。神事は、毎年旧暦の元旦に行われ、松明(たいまつ)・手桶・鎌を持って海に入り、わかめを刈り採って神前に供えます。この様子は、福岡県の無形民俗文化財にも指定されています。戦前は拝観できませんでしたが、現在では実際に観ることもできるそうです。

子どもたちも興味津々 囃子(はやし)で使用する楽器を紹介

説明・解説の後、能で音楽を奏でる囃子(はやし)の4人の楽器が登場しました。

太鼓、大鼓、小鼓、笛、1つ1つの楽器を鳴らしながら、どのように打つか、違う音を出すにはどこを打つとよいかなどの詳しい説明があり、子どもたちは興味津々です。

休憩中には、先ほど紹介された4つの楽器を子どもたちが触り、鳴らし方を教えてもらっていました。

また、能の面(おもて)を見せてもらいながら話を聞くなど、舞台の周囲にたくさん集まって楽しそうな笑い声があふれます。

2グループに分かれて謡(うたい)と型を体験 二度目の鑑賞では表情に変化も

休憩後、子どもたちが2つのグループに分かれて集まりました。シテ方の相手役である「ワキ」として出演された御厨誠吾さんも加わり、解説を行います。

謡(うたい)と型に分けて練習し、演目「和布刈」を実際に体験。謡と型は、同じ意味を表しています。謡ったあとすぐに型を行うことで、どこを表現しているかを理解しながら動くことができます。

真剣に解説を聞いて、神主が松明を持った動きや、謡を真似しながら行います。途中まで緊張していた子どもたちの声や動きも徐々に大きくなっていきます。

練習をした後は、実際に太鼓、大鼓、小鼓が入り、グループごとに交代で実践。「神主松明振り立てて」と大きな声が体育館に響きます。型も練習した通りに大きく動いていました。2グループが顔を合わせて、笑顔が溢れる場面も。

解説と体験をした上でもう一度「和布刈」の実演を鑑賞します。

「和布刈」が何をしている場面なのかを理解し、演者の動きを知った上での鑑賞は、最初と同じはずなのに小さな声で口ずさんだり、時にはニッコリとする場面もあったりと、最初とは違った見方ができたようでした。

その後は、質問や感想の時間。楽器に関する質問など、時間が足りないくらいたくさんの手が挙がっていました。

中でも、「能の曲はどのくらい練習したらできるようになりますか」という質問に、「能の曲は全部で200曲くらいあります。どれかを毎日毎日していないとみんなの前ではできるようになりませんよね。毎日お稽古、練習します。できるようになったからといって、明日できるとは限らないので、日々練習しています」と回答され、子どもたちが大きく頷いていた場面はとても印象的でした。

「伝統文化を通し、地域の一員としての心を育てたい」

授業終了後、進行担当のシテ方・石黒実都さんは、「子どもたちは、とても楽しんでいるようなので、ずっとこういうことを続けられたらと思います。ご当地の和布刈のことにも能にも触れられる。『松明ふりたてて』と北九州の子が鼻歌で歌ってくれることを目指しています」と、これからも活動の推進に力を入れたいという意気込みを話していました。

港が丘小学校の企救岳教頭先生は、「今回の能楽で体験した「和布刈」は、子どもたちにとってなじみ深い地元の題材であり、このような伝統文化を通して、子どもたちの「地域の一員」なんだという心を育て、そうした体験を重ねることで「シビックプライド」を醸成していきたい。伝統文化に、子どもたちが「触れる・学べる」場が、もっと増えるといいと思っています」と、今後も能楽出前授業を実施していきたい意向を示していました。

※2024年1月12日現在の情報です

(提供:新ケミカル商事

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