北九州イスラム文化交流センター「イード・アル・フィトル」に参加してみた【北九州市若松区】
3月22日から4月21日までは、イスラム教で最も重要な行事である、ラマダンの時期でした。これは、日の出から日没までの間、ムスリムの義務の一つ「断食(サウム)」として、飲食を絶つことが行われます。
「北九州イスラム文化交流センター(KICC)」では、週末ごとに食事会が開かれていました。これは「イフタール」と呼ばれ、日没後初の食事のことを指します。1人でも実施できますが、モスクなどで集会にて行われる日没後のイフタールは友情を深め、信仰心と絆を強め合う大切な機会と言います。
今回筆者は「グランドイフタール」、バングラデシュ人による「イフタール」、「イードアルフィトル」の3つの行事に参加させてもらいました。
お世話になっている地域の人らを招く「グランドイフタール」
4月8日にKICCで行われたのは「グランドイフタール」。
通常のイフタールより、参加者が多く、お世話になっている地域や関係各所の人たちを招いた場で、ともに食事を摂りました。
初めて食べるバングラデシュ料理に舌鼓「イフタール」
また、バングラデシュの友人から「国の料理をKICCに持って行くから食べに来て」とお誘いを受け、4月16日、バングラデシュ人によるイフタールへ行って来ました。
テーブルの上に並んだ、バングラデシュ料理。サモサに似たおかず。「雨が降ると食べたくなるんだ」というご飯。ゆで卵を素揚げして、スパイスをかけたおかず。初めて食べるものばかりでしたが、どれも美味しかったです。
ラマダンの終了を祝う大祭「イード・アル・フィトル」
「イード・アル・フィトル」とはイスラム教の祝日でラマダンの終了を祝う大祭です。
待ちに待ったラマダン明け。「イード(祝宴)・ムバラク(おめでとう)」の挨拶が交わされ、イード・アル・フィトルと呼ばれるパーティーが行われる日です。日本在住のムスリム(イスラム教徒)の友人たちの様子を毎年のようにSNSで見ていていつか参加してみたいと思っていました。
イード・アル・フィトルは4月22日に行われましたが、KICCでは前日から参加人数の発表があり、刻一刻と増えて行く数。200人が300人になり、当日は400人に。
イード・アル・フィトルの大祭は、最初に皆さんと一緒にイードの礼拝の後に、フトバ(説教)が行われます。イード・フトバとはイードの礼拝の一部であり、礼拝の後に、イマーム(集団で礼拝〈サラート〉をする際の導師)からの説教を聞かなければなりません。
今回のフトバのテーマは、イードの祈りの後にしても、ラマダン月のように、コーランとショラワットを読み、悪行を避けて、より多くの礼拝・祈りで家やモスクを輝かせ続けましょう、とのことでした。
ありがたいことに、今年のKICC/モスクは400人以上の礼拝者でいっぱいでした。インドネシアが最も多く、バングラデシュ、エジプト、モロッコから集まり、イードを準備し、お互いを許し合い、一緒に食事をし、冗談を言い合い、みんな幸せそうでした。
北九州のKICC/モスクでは、礼拝後、豪華なメニューを一緒に食べたり、インドネシア民族パダン料理のチキンカレーなどを想像しただけで400人分用意したり、ビュッフェを食べたり、まっすぐ家に帰らないで、お互いを知り、みんなが友達のように感じたりしました。
北九州近郊をはじめ、山口県や熊本県などで遠くから参加した多国籍のムスリムたちが勢揃い。あちこちで歓談が行われ、記念撮影があり、笑いが絶えない会場でした。
何より私がすごいと思ったのは、400人もの人たちが集まったにも関わらず、本当にKICCの前に行くまで、賑わいに、気づかなかったこと。解散後、主催者が警察に確認しても1件のクレームもなかったというのも納得です。
これからも1年1年を積み重ねて
イベントも終盤に近づいた頃、「やっと1年が迎えられたね。1年1年積み重ねていこうね」。KICCの設立前から支えてくれている日本人ムスリマさんが、賑やかな様子を見つめながら呟いていました。
長い時間、たくさんの人たちの苦労と地域や周囲の人たちの支えがあり、KICCが発足し、やっと過ぎたこの1年。
KICCがあることを当たり前だと思わず、大切に育てて行かなければという決意を感じました。
※2023年5月16日現在の情報です
(ライター・Hanako Sakura)