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三角形のビルに絶妙にフィットした<一本桜>について探ってみた【北九州市小倉北区】

(アイキャッチ画像:ビルのカタチに絶妙にフィットした一本桜)

日中の気温も上がり、ぽかぽか過ごしやすくなってきましたね。北九州市では市内の桜(ソメイヨシノ)の開花が3月26日に発表されました。

今年は過去5年間で最も遅い開花とのことですが、市内各地では桜関連のイベントもあり春の訪れを感じます。

今回は、筆者が毎年気になっている一本の桜(以下「一本桜」)のことを追ってみました。

九州画材が入店するビルのカタチに絶妙にフィットした一本桜

小倉駅から徒歩5分ほどにある「九州画材」が入店する3階建のビル(北九州市小倉北区京町3-12-26)の前に、筆者が気になっている桜は鎮座しています。ビルは桜の木の高さと同じくらいで、三角形のユニークな形をしています。2階や3階の窓からちょうど桜が見えるような絶妙な形なので、近くを通るたびにずっと気になっていました。

(写真は2023年4月3日撮影)

毎年、通りを華やかにしてくれていて、存在感のあるこの一本桜の種類は「ソメイヨシノ」。向かいには西鉄インやRakuten STAYなどのホテルがあり、部屋から見えるこの光景はきっと美しいことでしょう!

(写真は2023年4月3日撮影)

近くにある米町公園には2本の桜の木があるので、この道沿いでは合わせて3本の桜の木があるということになります。本数は少ないながらも角度によって、まるで並木道のような光景が楽しめます。

「九州画材」の人に一本桜について聞いてみた

このビルの1階に入店している九州画材が、現在の地に移転して21年。一本桜を間近で見守り続けている九州画材の店主や店員さんに話を聞いてみました。

この木はもともと以前の地主さん(故人)が所有していたもの。2003年、以前の地主さんはビル建設にあたり、「桜の木をこれからも大切にしたい」との想いでビルをこの形にしたのだそう。1階は九州画材、自身は上の階を住まいにしていたので、当時から桜にまつわる地主さんのエピソードに触れる機会があったということです。

(2023年4月3日撮影)

伺ったエピソードの中で「昔、ここの道は桜の並木どおりだった」ということに驚きました!昔は桜並木だったけど、開発で伐採されてしまったとのこと……寂しい気持ちはよぎりましたが、その地主さんが大切に残してくれた桜の木がこうして現代にも残っている、これはとてもすごい事だと思いました。

一本桜は樹齢90年!欠かさないメンテナンス

さらにお話を聞くと、この桜は“樹齢90年”とのこと!地主さんの思いを大切に継承し繋いでくれている人がいるからこそ、時代を越えて私たちも一本桜に励まされたり和ませてもらえたりするのですね。

暮らしの中で桜が視界に入る贅沢な空間は貴重だと感じ、その大切に思う気持ちを共有していきたいと思いました。

木の花を咲かせるにはメンテナンスは欠かせないそうです。地主さん亡き後は、現在の所有者であるオーナーさんが、樹木のメンテナンスを専門の人にお願いしているとのこと。

一本桜は通りにかかっているため、通行の妨げにならないように剪定してもらったり、幹に花が咲くと栄養を取られてしまうので、上まで栄養が行かなくなるという理由から適度に切ってもらったりする必要があるそうです。この可愛らしい花を見たら、切ることに葛藤があるのではないかと想像しました。

また、桜が散るとビルに入居する皆さんで協力し掃除をしているとのこと!私たちが景観を楽しませてもらえるのは、健全な管理があってこそなのですね。

<いにしえの街並み>を思いながら歩いてみた

気になっていた「昔、ここは桜並木道だった」という言葉。樹齢90年ということは、何かその時の名残があるのではないかと思い一本桜を背にして、砂津方面へ歩いてみました。


横断歩道を渡った先にはタイムパーキングやオフィスビルなどが両サイドにあります。何か名残は無いものかと隈なく確認していきます。

途中、公衆電話ボックスを見つけ、あまりの懐かしさにうっかり目的を忘れる場面も。

結局、名残のカケラも無いまま通りが終わりました。期待どおりにはいかず残念ですが、仕方がありません。

あらためて九州画材の人に、桜並木道の名残は無かったことを伝えると「ここの1本だけが残っている」とのことでした。そして、米町公園の2本の桜と合わさって並木道に見えたことを話すと、その2本の木は移植されたものということを教えてくれました。

令和6年版こくらさくらまっぷ」も配布されており、どこかお気に入りの桜の景色に出会えるといいですね。

※2024年4月9日現在の情報です

(ライター・しまだじゅんこ)

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