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【小倉北区】無添加にこだわる「ぬか炊き」 ぬか床講習会も「味処 矢野」

(アイキャッチ画像:鯖のぬか炊き定食)

北九州の郷土料理の「ぬか炊き」。地元の名物として他の地域からこの地へ訪れた人たちに紹介する機会が多い割に、日常的に食べているかと問われると実はそうでもないという地元民も少なくないのではないでしょうか。

昔はそれぞれの家庭に糠床があり、当たり前のように食卓にぬか炊きも並んでいたようですが、現在では糠床を持つ家庭も減りつつあるなど、北九州独自の食文化も変化してきています。

今回は、そんな北九州の伝統食である「ぬか炊き」を継承していこうとするお店「味処 矢野」を紹介します。

バランスのとれた味付け 口の中いっぱいに広がるさまざまな香り

「味処 矢野」は夫婦で切り盛りしている小さなお店。元々は漁師だった大将がその日に釣ってきた海鮮を中心に提供する定食屋さんとして人気店でした。

月日は流れ大将も高齢になり、早朝から自ら漁船を出して店で料理をすることが難しくなったため、現在は海鮮丼1種(1,100円)と3種のぬか炊き定食(800~1,000円)を提供するというスタイルで営業しています。

今回注文したのは、「鯖のぬか炊き定食」(800円)と単品の「手羽元のぬか炊き」(写真下、600円)。

運ばれてきたぬか炊きを見ると、今までいろいろなお店で見てきたぬか炊きに比べ、色が薄い印象で香りも違うように感じます。普段目にするぬか炊きはもう少し濃い茶色で、ぬかと醤油や酒が混ざり合った香りが特徴ですが、ここのぬか炊きは一般的なものと比べるとその装いは白く、ぬかはヨーグルトのような香りがします。

実際に食べてみると鯖は青魚独特の臭みは一切感じられず、リンゴのようなフルーティーさと酸味があり、「これがぬか味噌の乳酸菌か」と感じることができます。手羽元は、箸で身がほぐれていくほどのやわらかさ。

色が薄いからといって味が染み込んでいないというわけではなく、濃すぎず、薄すぎず、バランスの取れた味付けで、さまざまな香りが口の中いっぱいに広がるのが『矢野流』のぬか炊きの特徴です。

化学調味料・保存料不使用 完全無添加にこだわる「ぬか炊き」

現在、同店で提供されているぬか炊き定食の原材料は有機大豆・有機麦・塩・国産の甜菜糖・ぬか味噌のみで、化学調味料や保存料といった添加物を一切使用していないというこだわり。

「材料は良くても味がそれに追いついていなかったら意味がない。余分なものは足さない、引かない。心も身体もよろこぶものを出したい。小倉名物のぬかだき文化が廃れぬよう、味質向上に孤軍奮闘10数年努力惜しまず頑張っています」と女将は語ります。

ぬか床に並々ならぬこだわりを持つ女将は店を切り盛りする傍ら、ぬか床の講習会などを行い、北九州の文化を次世代に継承しようと活動したり、ジャズシンガーとしてライブを行ったりと、さまざまな場で活動をするバイタリティーに溢れた人物でもあります。女将が心も身体も元気なのは『ぬか』の力かもしれませんね。

「味処 矢野」ホームページで、ぬか炊きやぬか床の通信販売も行っているとのことです。

■住所/北九州市小倉北区浅野2-4-25
■営業時間/11:00~15:00
■定休日/日曜

※2022年3月5日現在の情報です

(北九州ノコト編集部)

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