そして再建へ『皆さまと一緒につくる 皆さまの映画館』/小倉昭和館株式会社代表取締役社長・館主 樋口智巳さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
完成は北九州国際映画祭のある2023年12月を目指す
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
梁:同じく、西日本新聞社の梁京燮です。
甲木:梁さん、先週は久しぶりに樋口さんがここに来て下さって良かったですね。
梁:そうですね。嬉しかったです。
甲木:元気なお声を聞けて。
梁:本当ですよ。今回は前回に引き続き再建の話が聞けるということで。
甲木:それでは早速お招きしましょう。今週は先週に引き続き、小倉昭和館株式会社 代表取締役社長・館主、樋口智巳さんをお招きしてお話を伺います。樋口さん、よろしくお願いします。
梁:よろしくお願いします。
樋口:よろしくお願いします。
甲木:先週は辛い火災の思い出とかも振り返って頂いたんですけれども、多くの人に背中を押されて樋口さんが再建を決意した、それから地主さんのご理解を得ていよいよ昭和館を建てます、と言うところまでお話を伺ったんですけれども、今日はもっと具体的に、再建計画を聞かせて頂きたいと思います。その概要なんですけど、まず完成時期がいつでしょうか?
樋口:今年の12月です。北九州国際映画祭を目指してるんです。
甲木:国際映画祭で会場となるということでしょうか?
樋口:もちろんそうして下さいますよね(笑)
甲木:ですよね。だって街のシンボルですからね。
コンパクトで、使い勝手のよい映画館に
甲木:それでは、12月の完成を目指して着工はもう間もなくでしょうか?
樋口:4月半ばには着工予定です。
甲木:なるほどですね。広さとか座席数とか、前の映画館と比べてどのようになりますか?
樋口:とてもコンパクトになります。もともと昭和館は、1号館・2号館で150坪あったんですけども、それが100坪になります。そして2クリーンあったものが1スクリーンになります。そして、座席数が一号館がだいたい270席、二号館が96席ありました。それが134席になります。
甲木:それでは、かなり座席数は少なくなりますね。しかも今までは、1号館と2号館で別のものを観れたんですけども、今回は1スクリーンということなんですね。それでロビーはどのようになるんですか?
樋口:今回の大きな違いはですね、以前はチケット売り場が外にあって、すぐ横の入り口から入った所にもぎりがあったんですけど、新しい昭和館は中になります。劇場のいよいよ入り口にもぎりがあり、ロビーが広いんです。一般の方が映画を観ないでも、ロビーだけお使い頂けるようにしようということです。
甲木:無料で使えるということですか?
樋口:はい。そのためにお手洗いの多目的トイレも入れて、バリアフリーです。
甲木:それでは旦過市場にお買い物に来た方が、ちょっとお手洗い貸してとか、ロビーで涼ませてとかありですか?
樋口:もちろんです。
甲木:人であふれそうな感じもしますが。無料休憩所みたいになっちゃいますね。
樋口:今回の火災で、居場所がないことのつらさを、自分でも感じたんですね。火災が8月でしたから暑い中、瓦礫の所に行っても、ちょっと日陰を探したり、座ることもできず、また瓦礫の中をいろいろ探し物をしても、手を洗う場所なかったり、そういう経験をしたので、やはり地域の皆様にとって居場所になりたいという気持ちが強かったんです。それで旦過市場の方もお仕事を辞められた方、お店を辞められた方もいらっしゃいますから、そういう方たちが戻って来られた時に、旦過市場さんとか買い物されて、ちょっと座って誰かと話す場所だとか、そういう所を作りたいと思いました。
甲木:なるほど。
樋口:そして昭和館の二本立てというのはテーマがありますので、これを今、観て頂きたいという昭和館からのメッセージでもあるんです。ただ今回は1スクリーンしかないので、かけたい映画もいっぱいありますから、ちょっと形態を変えようと思ってます。メインは二本立てですけれども、北九州まで入ってこない良い映画がたくさんあるんですよ。ミニシアター系のような映画を早く封切りして、朝1回とか夕方1回、それを入れると、遠くまで行かなくて済むから、そういうふうに映画館のスタイルを変えようかと思っています。
甲木:なるほど。東京とか福岡でしか上映してない秀作を、見ることができるというのも昭和館の魅力ですからね。私もぜひかけてほしい映画あるので、後でこっそり言います(笑)
リリーさんが応援団長!
甲木:昭和館の再建計画は着々と進んでおりますけれども、やはりそれには莫大な資金がかかるわけですが、建物は家主さんが立てて下さるとしても、映写機とかスクリーンとか、座席とか音響装置とか、全部特殊なものだから、かなりの資金になりますね。
樋口:東京へ行って、そういう関係の方ともお目にかかってきました。すごく大変だなと思いながら、東京に息子がいて、その子が経理とかを見てくれて話してると、私やっぱり出来ないって思っちゃうぐらいで、小倉に居ると皆さんが応援してくれるから、気持ちが盛り上がって、「いけるいける」とか、「いい座席にしたいね」とか思うんですけど、東京に居る息子が冷静だから、「ちょっとね」とか言われると、「じゃあ私、どうしたらいいの?」とか言って、最後は息子に切れてる私がいる感じです。
甲木:そういう昭和館を、応援したいという方のために、現金口座も先週紹介させて頂ましたけれども、クラウドファンディングも立ち上がったんですよね。
樋口:はい、市場の方々にも背中を押して頂いて、「早く動きなさいよ」と言って頂いたのと、映画界の方々がたくさん後押しをして下さって、何かやるんだったら力になりたいと言って下さる方が多くて、今回のクラウドファンディングは、リリーフランキーさんが応援団長になって下さいます。
甲木:心強いですよねー。
樋口:もう、怖いくらい心強いです(笑)
甲木:再建の準備でお忙しい中、先週、今週と2回に渡ってお越しくださいまして、ありがとうござました。
樋口:本当にいつも応援して頂いて、ありがとうございます。
甲木:とんでもないです。みんな大好きな昭和館なので。
梁:やっぱり地域に根ざした映画館っていうそのフレーズというのは、すごくかっこいいというか、昭和館らしいなと思います。
甲木:他に無い唯一無二ですからね。
樋口:今回の新昭和館と以前の昭和館との大きな違いは、0から始めて皆様と一緒に作って頂く映画館だということです。私にとっても想いが異なります。今までの昭和館は、祖父が作り、父が守ってきた映画館、その歴史は繋いで行きますけれども、今回の新昭和館は皆様と一緒に作って頂く映画館、皆様の映画館だと思っています。
甲木:だから“復興の夢を一緒に”ということなんですね。
梁:素晴らしいですね。
甲木:先週、今週、2回に渡って、小倉昭和館株式会社 代取締役・館主、樋口智巳さん、どうもありがとうございました。
梁:ありがとうございました。
樋口:ありがとうございました。
〇ゲスト:樋口智巳さん(小倉昭和館株式会社代表取締役社長・館主)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)
(西日本新聞北九州本社)