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地域のDNAを生かし、街の魅力を若い世代に伝えていく 八幡駅前開発代表取締役・井上龍子さん

(アイキャッチ画像:八幡駅前開発代表取締役・井上龍子さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

父の会社を継いで社長に

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

野口:同じく、西日本新聞社 野口喜久子です。

甲木:野口さん、先週は八幡駅前の歴史について学びましたよね。

野口:そうですね。ヨーロッパの街づくりは、百年後を見据えて造るというのはよく聞きますけど、私たちの地元の八幡でも、そういう視点で早くから造られていたというのは、とても驚きですごく勉強になりました。

甲木:ということで、今週は先週に引き続き、八幡駅前開発社長の井上龍子さんをお招きしてお話を伺います。井上さん、今週もよろしくお願いします。

野口:よろしくお願いします。

井上:よろしくお願いします。

甲木:先週は八幡駅前開発という会社の業務内容で、「ビルマネジメントやエリアマネジメントをしています」というお話を伺ったんですけれども、そもそも井上さんは、なぜこの会社の社長をしているのでしょうか?

井上:自分で考えても不思議なんですけど、気が付いたらこういう立場になっていました。私は北九州出身ですが、大学の時から上京して結婚後も関東に住んでいました。20代半ばで母が亡くなり私は1人っ子なので、父が1人で北九州に住んでいました。ちょうど主人が海外に単身赴任することになり、どれくらいの期間海外へ行くか明確ではなかったので、主人が「孫と一緒に住んだら、お父さんも喜ぶんじゃない?」といってくれて、子供たちを連れて北九州へ帰って来ました。上の子は小学校に入る時で、下の子は一歳半ぐらいの時でした。父が再開発の理事長をしていたことは知っていましたが、再開発事業が始まっていたとき、私は北九州に住んでいなかったので、詳細は全然知りませんでした。

父は再開発事業の理事長をしていたのですが、ビル完成後の管理運営を担うために“八幡駅前開発株式会社”を設立し、初代社長に就任しました。ところがその半年後にくも膜下で倒れてしまいました。今からまさに建物が立ち上がり全体像が見えてきて、具体化していく時期でしたので事務局の方たちも大騒動で大変な状態でした。関係者も慌ただしく動いていらっしゃったので、私も「何かお手伝いできることがあれば、お手伝いしますよ」と、深くは考えずに言ったところ、気が付いてみると、専務になり社長になり、20年も経ってしまいました。

再開発の解決方法を勉強するため、大学院へ

甲木:女性で、ビルマネジメントの会社の社長さんは珍しいですよね。

井上:この市街地再開発というのは、法律ができて以来現在まで事業地区は1000カ所ぐらいあると思います。全国の事業地区を管轄なさっている国の外郭団体、全国市街地再開発協会の方がその中で女性の社長は1人じゃないかとおっしゃっていたので、間違いなくすごく少ない一人であることは確かだと思います。

甲木:でも街づくりは、男女どちらかだけの視点でするものではないですよね。

井上:そうですね。再開発に急に関わるようになり、理屈が分かってないと目の前の課題の解決方法も分からないので、理屈を知りたくて、大学院に行きました。解決方法を調べていたら、やはり再開発のシステム自体がものすごく専門性が高く、大きな事業なので、スペシャリストの方が、このタイプの再開発にはいろんなところで関わっておられます。先週、申し上げたように20年ぐらいかかるところが多く、難しい事業なのでつくるところに一生懸命になってしまい、つくった後のことはあまり意識されず、完成後は民間や第3セクターが引き継ぐ形になります。民間や、第3セクターはつくる分野を担うわけではなく、また、再開発事業の専門家たちは事業後は業務を終えて離れていってしまうため、そこに途切れが生じるんです。建物を建てた後のこともつくる時点から事業の一環として考えないと、やはり利害が相反したり、オペレーションに支障が出たりする部分もあります。つくるときもつくった後も、当然コストが問題になりますが、これをどう調整するかというのが重要だと気付いて、そうした部分を論文で明らかにしました。

若い世代に街の魅力を伝えたい

甲木:これだけ勉強している井上さんですが、チャレンジしてみたいことはありますか?

井上:そうですね。先ほど申し上げたように、せっかく地域のDNAなども研究したので、それを生かしたいですね。私たちのビルはビルだけでは生きられません。どのように地域の中で自分たちが生かされているかということを考え、街の魅力も若い世代の方に伝えていくことができたらいいなと思います。あとは、家族との時間も限られていたので、旅行もしてみたいですし、字を書くことが好きなので、ゆっくり心を落ち着けて書道を再開したいと思っています。

甲木:良いご趣味ですねー。井上さんのこれまでの学びの姿勢を見ていたら、書道もすぐ上達しそうですね。書道も段とか級などあるんでしょうか?

井上:あります。一時期、書道をしておりましたが、ずっと離れているので今書いたらひどいと思います(笑)。

甲木:そんなことはないと思いますけど、今までお仕事と勉強とでお忙しくされてきたので、そういう時間が取れると良いですね。

井上:はい。これからもずっと楽しめるようなものがあるといいなと思って、いろいろイメージしています。

甲木:なるほど。いろいろなお話、ありがとうございます。先週、今週と2回に渡り、八幡駅前開発株式会社の社長、井上龍子さんにお話を伺いました。本当に良いお話をありがとうございます。

野口:ありがとうございました。

井上:ありがとうございました。

 

〇ゲスト:井上龍子(八幡駅前開発株式会社 社長)

〇出演:甲木正子、野口喜久子(西日本新聞社 北九州本社)

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