県内初・北九州唯一の「ラウンドアバウト」 中央にある像の歴史とは?

JR八幡駅から皿倉山に向かう国際通りの途中にある「尾倉ロータリー」を知っていますか?

「ラウンドアバウト」と呼ばれる環状交差点で、八幡のランドマーク的存在です。

ラウンドアバウトとは

ラウンドアバウトは道路交通法の改正により、2014年から日本での運用が始まりました。信号機などの交通制御を受けず、通行速度が抑制されるため、安全にスムーズな通行ができる道路として、国内で少しずつ増えています。

ラウンドアバウトは、中央の通行できない区域を3本以上の道路が介し接続された一車線の道路です。一時停止位置や信号機がなく、時計回りに通行します。

通り方は、まず右側からくる車に注意しつつ、道路の左側に寄って徐行しながらラウンドアバウトに進入します。環状内を先に走行している車が優先されるため、妨害にならないよう気をつけましょう。時計回りに回っていき、自分が進みたい方向の道路へと抜けていきます。

市内唯一のラウンドアバウト

アラウンドアバウトの標識 画像提供:写真AC

尾倉ロータリーは2車線の円形交差点でしたが、2017年3月に福岡県内で初のラウンドアバウトになりました。

昔からこの場所を知っている人は「車線が減った」くらいの印象かもしれませんが、ラウンドアバウト化に伴い交通ルールが変更しています。

北九州市内のラウンドアバウトはここが唯一で、県内でも2か所しかありません。

太平洋戦争での悲劇から75年

尾倉ロータリーの周辺には病院や図書館が並んでいますが、その昔は丘陵地だったといいます。

「小伊藤山」と呼ばれており、太平洋戦争が始まると、辺りにはたくさんの防空壕が築造されました。1945年8月8日に米空軍から受けた焼夷弾による攻撃の際には、防空壕に避難していた人々は火煙に包まれ、300人ほどの人が窒息死したと言われています。

戦後の戦災復興区画整理事業の一環で、追悼の意を込め「小伊藤山公園」を造り、園内に慰霊塔が建ちました。

また、「東洋の工場としての八幡の復興」と「世界の平和」を祈念するシンボルとして「復興平和記念像」も建てられました。記念像は円形交差点だったころから今も変わらず、ラウンドアバウトの中心部に立っています。

尾倉ロータリー 画像提供:写真AC

近くを通る際は、歴史を辿りながら、市内にひとつしかない「ラウンドアバウト」を堪能してくださいね。ただし、交通ルールはしっかり守りましょう。

(北九州ノコト・大畠あずさ)

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