【北九州の仕事】お客様の大切な時間を最高の記念日に/千草ホテル
特集「北九州の仕事」は、北九州市内の企業に、仕事内容や働く人の想い、職場環境などについて聞き、北九州市で働きたいと考えている人にどういった職場で働きたいか、ヒントを探してもらうためのシリーズです。初回となる今回は、今年創業104年を迎えた千草ホテルで、運営と全社サービスを統括する井上忍支配人に話を聞きました。
1世紀以上にわたり、“おもてなし”の心を大切にしてきた老舗ホテル
ー千草ホテルの歴史や理念について教えてください
大正3(1914)年に「料亭千草」として誕生し、昭和18(1943)年に現在の「千草ホテル」が開設されました。それ以降はホテル・式場運営を中⼼としつつも、グループ施設など幅広く事業を展開しています。「食の千草」とも呼ばれ、料亭時代から受け継いできたおもてなしの心を大切に、おいしいお料理と心地よい空間を提供しています。
千草ホテルは「Anniversary Hotel ~大切な一日を、最高の記念日に~」をコンセプトに、お客様の大切な時間を最高の記念日にするため、一組一組のお客様に笑顔で向き合うことを使命とする「アニバーサリー・デザイン・カンパニー」です。
「記念日」は、お宮参りや初節句、誕生日、入学・卒業、結婚記念日、長寿のお祝いなど、人生の節目節目にやってくる、はっきり分かる記念日だけでなく、そのお客様にとっての何気ない大切な時間も記念日だと考え、どんな時でも心地よく過ごしていただきたいという想いを全スタッフが共有し、仕事をしています。
当ホテルの強みは、ホテル事業はもちろん、ブライダル・式場運営・貸衣裳・美容・装花・写真&映像といった事業も自社で一括して幅広く展開しているという点です。それぞれに専門のスタッフがいるので、柔軟にお客様の要望に応えられるということが我々の強みだと考えています。
ー現在の従業員数と仕事内容について
現在は正社員が70人弱、アルバイトスタッフが70人以上在籍しています。自社アルバイトスタッフ(宴会サービス)を多く抱えているのは、ホテル業界でも珍しいのではないでしょうか。
ホテルだけでいうと募集職種としては「接客・営業」「調理」「クリエイティブ」「経理・管理」「バックヤード」といった部門がありますが、積極的に採用を行っているのは「接客」「調理」の部門となっています。
特に資格や経験が必要ということはなく、「お客様の大切な時間を最高の記念日にしたい」という想いに共感できる人であれば大丈夫です。未経験からでも、1世紀以上にわたり千草ホテルが受け継いできた「おもてなし」を身につけることが可能です。
また、正社員の場合、以前は部門ごとに仕事をきっちり分けていましたが、最近は忙しい時期には他部署の仕事も手伝ってもらい、他の人たちがどういったことをやっているのかということも知ってもらうための取り組みも行っています。
経験の有無よりも「お客様の大切な時間を最高の記念日にする」との想いへの共感
ー未経験でも大丈夫ということですが、老舗ホテルで働くのはハードルが高く感じます。どういった教育体制を整えていますか?
正社員・アルバイト問わず、しっかりと研修に時間をかけ、基礎を一から丁寧に教えるようにしています。
例えば、未経験者が一番集まる「接客」の料飲サービススタッフ社員の場合は、トレーニングに約1カ月の時間をかけて育てています。まず、座学で「お客様の大切な時間を最高の記念日にする」など当ホテルで働く全員のスタッフが共有する理念などについて学ぶことから始まり、トレイの持ち方、お辞儀の仕方など基礎訓練を繰り返し行い、本人がある程度自信を持てるような段階になって初めてお客様の前で接客します。
最初は失敗することもありますが、その経験は“成長”へとつながります。ミスがあった場合はスタッフ全員で共有し、「こういったミスの場合はこういった対応をすればいい」など、スタッフ一人ひとりの引き出しを増やしてあげることが大切だと考えています。さまざまな情報をインプットしていくことが、各自の自信や笑顔につながっていくからです。
また、和室で料理やドリンクの提供を行う際は、着物で接客をしますので、スタッフは自分で着物が着られるようにならないといけません。そのため、研修として、女将・若女将のもと、着付けや和室のマナーなどもしっかり学ぶことができるのも特長の一つではないでしょうか。