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自己資金6000円で創業? 合同会社ポルト代表・菊池勇太さん

(アイキャッチ画像:菊池勇太さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

500万円の融資を受けるために見せた口座残高がまさかの6000円?

甲木:先週は、てるちゃんのお話で盛り上がりましたね。

梁:インパクトが強すぎて。

甲木:でも、本当は(菊池さんは)立派な青年だっていうことがわかってくれた?

梁:よくわかりました。

甲木:それでは先週に引き続き、門司港でゲストハウスの経営などをされている合同会社ポルト代表 菊池勇太さんをゲストにお招きしお話を伺います。よろしくお願いします。

菊池:よろしくお願いします。

甲木:先週は、福岡で勤めていた会社を辞めて、そこからたまたま門司港に空き家があるよということで、ポルトのゲストハウス経営に乗り出したというお話をお聞きました。29歳の時ですよね?

菊池:そうですね。

甲木:その若さで2つの会社を経営して、しかも古民家のリノベーションって仰っていたので、お金とかすごく大変だったんじゃないですか?

菊池:大変というか、そもそも僕はあまりお金とか持ったことがなくて。社会人になったら多少なりとも貯金とかするじゃないですか。それで、会社を立ち上げる時、1人30万ずつ出資して資本金100万円の会を設立しようということで僕も30万円出して。その2ヶ月後ぐらいに、門司港の会社を立ち上げることになったので、当然お金がなくて。物件の改修をしないといけないのでお金がかかるんだろうなと思いながら、とりあえず会社を作るんですけど、借金ができるかわからないので、借りる前に銀行に相談させてくださいという話から実はスタートしました。その時、日本政策金融公庫さんにお金を借りる際に、口座を見せないといけなくて。口座にいくらあるか、この人は大丈夫なのか与信をするんですが、前日に自分の貯金口座を確認したら6100円しかなくて。

甲木・梁:(笑い)

菊池:「あれ?思ってたより少ない…」と思って。10万ぐらいはあると思ったんですけどね。(笑)

甲木:全然違う。(笑)

菊池:お見せする口座が6000円台と思っていなかったのですが、もう仕方がないと。(笑)

甲木:小学生より少ないですよ。

菊池:本当に自分でびっくりしました。大の大人が500万円の融資を受けに行く時に、6102円の口座残高でいけるのかなと思いながら。

甲木:いけないでしょう。

菊池:融資担当の方も、見たことない口座の金額なので笑ってくださって。(笑)

梁:借りれて良かったですね。

菊池:そうですね。僕も本当にびっくりしました。

甲木:先週のてるよさんに続きじゃないですが、今度はお金のない若者にも希望を与えている。

菊池:お金はなくても何とかなりますよね。あんまり怖さはないというか、心配はしてない感じですね。

バナナジュースは愛と元気の象徴

甲木:実は(菊池さんが)小さい時、ご病気をされて。

菊池:そうですね。「てるちゃんのバナナジュース」の話にも繋がるんですけど。門司港だからバナナージユースを始めたという経緯もありますが、門司港だからバナナというよりは、僕が小学校4年生に「スティーヴンス・ジョンソン症候群」を発症しまして。免疫関係のアレルギーで粘膜に炎症を起こす病気で、難病指定されているんですけど。僕は、ちょこちょこ病気になっては、口の中に口内炎がかなりできて炎症して、水とかがしみるんですよね。

甲木:水がしみる…。

菊池:牛乳とかぬるっとしたものは痛みがなかったので、何を飲ませるのが1番良いのかということで、当時うちのてるよがバナナジュースを作って飲ませてくれてたんです。僕の中で、バナナジュースを飲むと元気になるイメージがずっとありまして。てるよがバナナジュースを出すお店があったら、みんなが元気になって良いなと思っていたところもあって、それでお店を開業したというのもあります。

梁:めっちゃ良い話じゃないですか。

甲木:お母さんの愛情だったんですね。

菊池:僕がそういった病気をしてた時に、自分の体が元気な状態で長く生きているというのは普通のことかもしれないですけど、僕にとっては普通に感じないような感覚だったので、あまり怖いものはないなと。病気になることの恐怖に比べれば借金ぐらい。猪木じゃないですけど、元気あれば何でもできる。そういう気持ちで仕事をしてるので、事業を起こすことや新しいこと始めることに抵抗感がないっていうのはありますね。

てるちゃんは高齢者の、僕は若い世代の希望の星に

甲木:でも、本当だったらそこまで冒険しなくても、今あるビジネスを安定路線に持っていけばそこそこ幸せな暮らしってできるけど、菊池さんがおっしゃっていたのは、雇用の場を作りたいとか文化的なものを町に残したいとか、自分の成功のためだけじゃないような気がするんですよね。菊池さんは何のために働いているのか。

菊池:そうですね。それで言うと嬉しかったのは、さっき(甲木さんが)「希望を作っている」とおっしゃってくれたのはすごく意識していて。門司港を代表する企業家というと、出光佐三さんが頭に浮かぶと思います。当時は、石油がなかったから、油をみんなに行き届くように安く流通させるんだと、暮らしを発展させようとされました。現代では、物質的にはすごく豊かでも、生活の中でそんなに豊かさを感じていない人が多い。同年代の子達を見てても、生活の中に希望を見出せないんだろうなと思うんですよね。そういった社会で、必要な物はやっぱり希望だろうなと。だから、自分の母親には高齢者の希望の星に、僕は若い世代の希望の星じゃないですけど、こんな人間でも一生懸命頑張れば、社会を変えられるんだということを見せてみたい。

門司港は日本で一番早く発展して、一番早く衰退した街

菊池:あと、門司港という街は、日本で一番早く発展し、一番早く衰退しているといっても過言ではないくらい、高齢化率も高く、産業の衰退も激しいエリアなので、そんな街でもこれぐらいのことができて、こういった幸せに暮らせる仕組みが作れるんだということを、僕自身証明したいというのがあります。それが、いろんな地域や人に希望を与えるような形になるんじゃないかなと。そういうモチベーションで頑張ってますね。

甲木:本当に32歳と思えない。

梁:今日、前向きな菊池さんのお話を聞いて、すごく元気をもらいました。希望を頂いたなと。でも、この希望は回り回っててるちゃんからもらってるんだろうなと。あと、ゲストハウスに泊りに行こうかなと思います。

菊池:はい!是非是非、来て頂けたらと思います。

 

〇ゲスト:菊池勇太さん(合同会社ポルト代表)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)

(西日本新聞社北九州本社)

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