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異業種との交流を続ける神職 高見神社・禰宜(ねぎ)波多野光隆さん【北九州】

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

小学生の頃、神主さんの装束でお参りする人にお祓い

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

野口:同じく、西日本新聞社 野口喜久子です。

甲木:野口さん、先週は神職の方を始めてお迎えして、神社のお話をいろいろ聞きましたね。

野口:そうですね。本当に先進的な取り組みをたくさんされていらっしゃって、素晴らしいなと思って拝聴していました。

甲木:そうですね。それではゲストをお呼びしましょう。先週に引き続き八幡東区高見にあります、高見神社 禰宜 波多野光隆さんをお迎えしてお話を伺います。波多野さん、よろしくお願いします。

野口:よろしくお願いします。

波多野:よろしくお願いします。

甲木:先週は、波多野さんが神社らしからぬ取り組みをしているというお話を伺いました。境内で落語会とかファッションショーをしたり、多言語で神社アバターを開発していらっしゃったりですね。今日はもう少し波多野さんのお人柄に迫ってみたいと思います。そもそも神職に付かれたのは、やはりお家が代々神社だったからなんでしょうか?

波多野:そうですね。私の祖父も父も神職でして、それで神社で生まれたということもありますので、大きなきっかけになっていると思います。

甲木:子どもの頃から、いずれ継ぐということを意識してたんですか?

波多野:そうですね。小学生の頃、神主さんが着てるような子ども用の装束を作ってもらい、夏の茅の輪くぐりの時に、夜お参りする人にずっと上でお祓いをしてたんです。

甲木:すごいですね。

波多野:正直、夜7時から9時ぐらいまで毎年これをしないといけないのかなって、ずっと思ってました(笑)

甲木:そうだったんですね。ところで神職になる人は、やはり神職に付くための学校へ進学するんですか?

波多野:小さい頃は、神社での仕事を経験しましたが、高校生になり私は柔道部だったので、仲良くなった友人や周りに影響を受けて、神職にならなくてもいいかなとか、学校の先生になりたかったので、教員の免許を取って教師になるために、どこの大学に行けば良いかということも考えていました。それで、一般の大学に行こうと思いました。

甲木:手元の資料によると、九州大学 文学部に進学されたということですが、全然神職のような感じではないですね。

波多野:その時は神職のことは、全く考えてなかったですね。

甲木:大学では何を勉強されていましたか?

波多野:歴史です。当時九州大学では国史学科といっておりまして、日本の歴史を勉強しておりました。

甲木:大学を卒業する頃に、やはり神職かなと思い始めたんでしょうか?

波多野:そうですね。私の大学卒業の年というのは、就職の超氷河期といわれていて、法学部か経済学部じゃないと就職先が無いというような時代だったんです。それで、家が神社だったということで、国学院大学というところで、神職の免許が取れることは知っていたので、じゃあ1年行ってみようかということになりました。

甲木:なるほど。では氷河期でなかったら神職になっていなかったかもしれないですね。

波多野:そうですね。教員の免許は持っているので、氷河期でなければ多分教員試験を受けたかもしれないですね。

福岡市の筥崎宮で7年間修行

甲木:神職の免許をお取りになられて、その後はすぐ高見神社に戻ったわけじゃないんですよね。

波多野:はい。福岡市に筥崎宮という大きな神社がありますが、そこで勉強させてもらおうと思って7年間修行しました。

甲木:やはり神社の子どもはよその神社で修業するものなんですか?

波多野:そうですね。神社の子どもの場合もあるし、そうではない場合もあるので、ケースバイケースですけども、自分の神社に戻らないといけないという人は、3年で戻ったり、15年居たり人によってそれぞれです。

甲木:普段のお仕事はどんなことするのでしょうか?

波多野:神社のお掃除、お祓いなどが多いですね。いわゆる社務に当たるものです。

甲木:免許を取る時に実習でやったようなことを、実際に行うということですね。

波多野:そうですね。実習時のお祓いは、基礎の形ですけども、現実のお祓になると、ケースバイケースなので状況に合わせて、最善のものを選ぶということも必要になってきます。

野口:お祓いは、何パターンもあるということでしょうか?

波多野:1パターンですけども、何を大切にして行くということが抑揚のようにあるので、例えばお正月のように非常にタイトに時間が進んでいく時もあれば、夏場のようにゆっくりと進むような時もあるので、それによっていろいろ変わってきますね。

甲木:そうなんですね。お葬式とかお通夜も行かれるんですか?

波多野:はい。神道の葬式もありますので、筥崎宮に入って2、3ヶ月ぐらいの時、まだ何も分かってない頃に、突然通夜の申し込みがありました。私は当時、社務所に住み込みでしたので、「ちょっと波多野くん、通夜に今から…」といわれて、どうやってやるんだと思い、葬祭式の時に勉強した本があるので、それをもう一回見直して「これのことかな」と思いながら、葬祭詞と言われる祝詞を必死に作っていった記憶があります。そこで初めていろんなことが分かったので、あの経験はとても大きいです。先輩が言っていましたが、行かないと分からないことが多いということですね。私も実際、経験してそう思いました。その積み重ねが大事かもしれないですね。

異業種の方と幅広い交流を

甲木:波多野さんは、神職でありながら異業種の方とも非常に幅広い交流をされていて、先週のお話にもありました、神社アバターの開発会社の社長さんや大学の先生、会社員の方などいろんな人と交流を持っておられます。それは自分の視野を広げることを意識して、そういう世界に飛び込んでいるんでしょうか?

波多野:意識というよりは、たまたまこの仕事をしていて、いろんな方と知り合う機会が多いんだと思います。その中でそれぞれ責任を持って何かをされてる方は、信念みたいなものがあって、知り合いになる時にそういうものを感じるので、もっといろいろ教えてほしいという興味の方が先ですね。「こういう考え方もあるんだ」、「こういう仕事もあるんだ」、「すごくためになるな」とか、そういう気持ちが強いので、それを続けていくうちに、多くの方と交流することになりました。

甲木:ありがとうございます。野口さん、今日のお話いかがでしたか?

野口:ラジオなので皆さんにはお声だけですけれども、波多野さんの雰囲気が本当に素敵で、この間、甲木さんと高見神社さんにお伺いした時、なんて素晴らしい神社でしょうと思いました。特別な空気感があって素敵な場所だったので、ぜひ皆さんにもたくさん遊びに行っていただけたらと思いました。

波多野:ありがとうございます。

甲木:森に向かって行く感じがいいですよね。

波多野:そうですね。やはりそういう風に設計をしたんだと思うんです。施工は製鉄所ですけど、当時の内務省神社局が設計しています。

甲木:これからも高見神社のイノベーションを楽しみにしております。

波多野:頑張ります。

甲木:波多野さん、どうもありがとうございました。

野口:ありがとうございました。

波多野:ありがとうございました。

 

〇ゲスト:波多野光隆さん( 高見神社 禰宜)
〇出演:甲木正子、野口喜久子(西日本新聞社北九州本社)

 

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