特別企画展「没後60年 火野葦平展」 北九州市立文学館で開催

今年は北九州若松出身の芥川賞作家、火野葦平の没後60年になります。それにちなみ、北九州市立文学館では、第28回特別企画展として、11月21日から「没後60年 火野葦平展-レッテルはかなしからずや―」が開催されます。

「糞尿譚」で芥川賞を受賞したのち、陸軍報道部に転属となり、従軍記『麦と兵隊』にはじまる「兵隊三部作」で一躍国民的作家となった火野葦平。しかし、それによって「兵隊作家」というレッテルを貼られることとなり、戦後、公職追放となりました。

解除後は若松と東京を往復しながら多くの作品を書き、晩年には自身の戦争責任と向き合った大作『革命前後』を発表しました。

今展では、北九州が誇る作家・火野葦平の生涯と文業を約200点の資料とともにたどります。また、会期初日に行われる開会記念講話をはじめ、関連イベントも多数行われる予定です。

※写真は原稿「鵯の日記」(初公開資料)。早稲田大学時代に出版社に持ち込んだ童話作品。出版には至らなかった。習作期の貴重な資料(写真提供:北九州市立文学館)

火野葦平プロフィル(1906~1960)

火野葦平肖像写真(写真提供:北九州市立文学館)

名・玉井勝則。若松の石炭荷役業を営む「玉井組」の長男として生まれる。早稲田大学中退。小倉中学在籍時より創作を始め、1938年、中国戦線従軍中「糞尿譚」で第6回芥川賞を受賞。その後、『麦と兵隊』にはじまる「兵隊三部作」で流行作家となる。戦後は一時、公職追放されるが、代表作『花と龍』など精力的に執筆。同人誌「九州文学」の中心的存在でもあった。60年、自宅「河伯洞」で自死。芸術院賞受賞。

開会記念講話

11月21日(土)午前11時~正午、北九州市立文学館で。講師は渡辺考さん(NHKエデュケーショナル特集文化部部長、プロデューサー、『戦場で書く 火野葦平の二つの戦場』著者)。演題は「葦平のまなざしの力~テレビ屋が見た小説家の真髄~」。申込不要。

学芸員によるギャラリートーク

11月28日(土)、12月19日(土)・26日(土)、2021年1月9日(土)、2月13日(土)、各回午後2時から30分程度。会場は北九州市立文学館。定員各回10人。各開催前日までに電話で申し込みを。

連続文学講座

◆第1回 2021年1月23日(土)午後2時~午後3時30分。講師は坂口博さん(火野葦平資料の会会長)。演題は「火野葦平の1930年代-中村勉との活動」。

◆第2回 2021年1月30日(土)午後2時~午後3時30分。講師は増田周子さん(関西大学教授)。演題は「火野葦平 1955年『アジア諸国会議』とその後」。

◆第3回 2021年2月6日(土)午後2時~午後3時30分。講師は稲田大貴さん(北九州市立文学館学芸員)。演題は「火野葦平展のつくり方」。

会場はいずれも北九州市立文学館。定員各回30人。各開催前日までに電話で申し込みを。

協賛上映 火野葦平原作「女侠一代」

11月28日(土)~12月11日(金)、小倉昭和館(北九州市小倉北区魚町4-2-9)で、火野葦平原作「女侠一代」(松竹、1958年)が協賛上映されます。松本清張原作「点と線」(東映、1958円)との2本立て。料金は1200円。協賛上映の詳細は、小倉昭和館(TEL093-551-4938)へ問い合わせを。

企画展名 没後60年 火野葦平展-レッテルはかなしからずや―
会場 北九州市立文学館(北九州市小倉北区城内4-1)
開館時間 9:30~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜(月曜が休日の場合はその翌日)、12/28~1/3
観覧料 一般500円、中高生120円、小学生60円
問い合わせ TEL093-571-1505

(北九州ノコト編集部)

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