
フードリボンってなに? 北九州で子どもがいつでも食事できる場所「キッチンcafe あいちゃん」に行ってみた【北九州市小倉南区】
(アイキャッチ画像:「キッチンcafe あいちゃん」フードリボン掲示の様子)
「フードリボン」という取り組みを知っていますか?
実は、北九州市内にもこのフードリボンプロジェクトに参加している飲食店があります。

「キッチンcafe あいちゃん」は、小倉南区役所横にある小倉南消防署の向かいにお店を構えています。
実際に同店へ足を運び、店主・仲島さんに話をきいてみました。
「フードリボン店」の仕組みと広がる地域の支え
「フードリボン店」は、地域の飲食店が担う「新しい形の子ども食堂」のことです。

従来の子ども食堂のように、1週間に1回や月に数回など特定の日時で開催するのではなく、フードリボン店は普段営業している飲食店が日常的に食事を提供する「子ども食堂」です。なので、ほぼ毎日の開催が可能になっています。
地域の支え合いで実現する<フードリボンの仕組み>
フードリボンの仕組みは、地域の大人がフードリボン実施店で、1つ300円のリボンを購入することから始まります。
購入したリボンは店内に掲示され、そのリボンを子どもが利用することで、1食分の食事が提供されます。大人たちの“優しさの循環”によって、すべての子どもたちが地域の飲食店で無料の食事ができる──これがフードリボンの取り組みです。

北九州市にも、このフードリボン店が2店舗あります。そのうちの一つが、「キッチンcafe あいちゃん」です。
店主・仲島さんに聞く フードリボンへの想いと取り組み
「キッチンcafe あいちゃん」は、2024年11月に現在の場所にオープンしました。仲島さんの両親が、同じ場所で30年以上ラーメン屋さんを営んでいたそうです。
仲島さんに、フードリボン店としての活動について話を聞きました。

フードリボン店としての活動を始めた理由
仲島さんは、以前から子ども食堂をしたいという思いがあったそうです。でも、子ども食堂を毎日開催することは難しく、人手や場所、コスト面などさまざまな課題がありました。
食事は毎日のことなのに、子ども食堂では毎日の食事を提供することができない──子どもたちがいつでも気軽に利用できるようなシステムがあればいいのにと感じていたそうです。
そんな中、仲島さんはあるニュース番組で「フードリボン」を知りました。<営業時間内であればいつでも来店可能><利用頻度に制限はない>と知り、「自分がやりたかったことだ!」と感じたといいます。
さらに、<新たな準備が不要><毎日の食事の提供が可能><提供する日程や時間帯は店が決める>という点も共感。その後すぐに登録店舗として手をあげたそうです。

理由を問わず子どもたちが安心して利用できる場所
仲島さんは、「フードリボン店では、子どもが一人で訪れても理由を聞かれたり、登録書への記入を求められたりすることはありません」と話します。“利用する理由を聞かれない”という点は、子どもたちにとって大きなメリットです。
子どもたちの中には、シングルマザーの家庭で、母親が夜遅くまで働いており不在のために食事に来る子や、両親が共働きで一人で夕食をとることが多く、友人と一緒に訪れる子もいます。
子どもだけで行ったら何か言われるんじゃないか……そんな心配をせずに、誰もが平等に、理由は関係なく安心して食事ができる場所を提供しているのがフードリボン店です。

はじめは「知ってもらうこと」から
仲島さんはまず、親御さんに知ってもらうことから始めました。
その理由について「私も母親として、自分が知らない所で、無償でごはんを食べさせてもらうとなると、やはり心配です。安心して利用してもらうためにも、まずは親御さんに活動内容を広めていったんです。そこから徐々に、一度利用した子が友達を連れてくるようになりました」と話します。
そして、店を利用する来店者の目に触れる場所に自作のチラシを置きました。このチラシをきっかけにフードリボンの話をすることもあるそうで、そんな小さなことから少しずつフードリボンの輪が広がっています。
同店の壁にはボードが飾られており、子どもたちのメッセージとともに、たくさんのリボンが貼られていました。そばに置いてある瓶の中にも、たくさんのリボンが入っています。

フードリボンは、同店のお客さんや地域の人が購入するそうです。
また、近くに小倉南区役所があるので、区役所の職員がまとめて10個買ったこともあり、 「子どもたちの食事のためなら」と、快くリボンが購入されています。
フードリボンで食事をする子どもたち
フードリボンを利用する年齢は、各店舗で決めることができます。「キッチンcafe あいちゃん」では、中学生までの子どもを対象にしています。
学校が休みの日に利用する子どもが多く、土曜日の昼などは小学生の利用率が高くなります。また、連休や長期休暇の時は、やはり利用頻度が増える傾向にあるそうです。
フードリボンの利用日も店ごとに決めることができ、同店では営業中はいつでも利用可能。利用回数の制限もありません。

筆者が訪問した日も、中学生2人が慣れた様子でボードからリボンを取り、カウンターに着席して食事をしていました。
仲島さんによると、中学生は夕方の利用が多く、普段からよく利用する子どもたちの食の好みまで詳しく把握しているそうです。
食事はオリジナルメニューのプレート
フードリボンでの食事は、店のグランドメニューが提供されるわけではありません。各飲食店が300円分の食事として「オリジナルメニュー」を提供します。
仲島さんによると、「“賄い”を想像してもらえると分かりやすいかもしれません。ここでは、フードリボン用のプレートを準備しています。ごはんとお味噌汁、コロッケ、エビフライ、付け合わせ野菜までが固定の内容で、あと一品は日替わりで提供しています」とのこと。

訪問日のメニューを聞くと、「今日は生姜焼きです。ボリュームもしっかりあり、食べ盛りの子どもでもお腹いっぱいになる量ですよ」と教えてくれました。
支える現場の葛藤と工夫
子どもたちに食事を提供する中で、白米がなくなり営業を終了することもあるそうです。仲島さんは、一般のお客さんを優先するのか、それとも子どもたちを優先するのか、葛藤することもあるといいます。
最後に仲島さんは、「物価高の影響で活動を始めにくい飲食店も多いと思います。どれだけ良い取り組みでも、まずは知ってもらわなければ広がりません。一人でも多くの人に知ってもらえるよう、日々工夫を重ねていきます」と語りました。
