【ファンファン北九州#23】福岡を拠点に活動する唯一の落語家・橘家文太さん<前編>
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
寄席のない北九州で何で落語家を?
甲木:おはようございます!西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
横山:西日本新聞社の横山智徳です。
甲木:横山さん、落語とか聞きますか?
横山:こう見えて聞くんですよ。毎年、「博多・天神落語まつり」(主催:西日本新聞社など)が秋にありまして、4年連続、奥さんと一緒に聞きに行ってます。
甲木:じゃあ、今日のゲストと話が合いそうですね。それでは早速、今回のゲストをお呼びしましょう!落語家の橘家文太さんです。よろしくお願いします!
文太:よろしくお願いします。橘家文太です。
甲木:文太さんは、落語協会所属のプロの落語家さんなんですよね。九州ではただ一人?
文太:九州というか、福岡では一人ですね。他のところでは、もしかするといらっしゃるかもしれないですが、福岡に住んで活動しているのは私しかいないですね。
横山:「出身です」という方はいてもですね。
甲木:普通、大阪とか東京にいる方が多いですよね。
文太:そうなんですよ。落語家は、大阪か東京の寄席の近くに住むのが当たり前なんですが、私は昨年8月に東京の家を引き払いまして、北九州に戻ってきて活動しております。
横山:すごい!
甲木:何で寄席もないようなところで活動してるんですか?
文太:私は北九州出身で北九州が大好きなんで、北九州と東京を半々くらいで活動したいなと思ってたんですよね。うちの師匠・橘家文蔵が「半々よりも、北九州一本でやった方が良いんじゃない?浸透してないところで、落語を広めるという活動をしなさい。」ということで、「わかりました。」と。
甲木:どうやって落語家として活動してるんですか?
文太:今は、知り合いの飲食店や、知り合いから紹介してもらって、企業さんからお仕事を頂いたりとかそういう活動をしています。
甲木:それにしても、浅草とか行くと毎日寄席があるのに、ここだと毎日落語ってないでしょう?
文太:ないですね。本当に月1、2回あるかないかぐらいで。
甲木:それは結構、落語家として食べていくのは大変なんじゃないでしょうか?
文太:そうですね。でも、落語家みたいな商売で、飯が食えてることがまずおかしな話で。(笑)
甲木:そんなもんなんですか!?
文太:ええ。だって、こんな人前で座布団の上で喋って、飯が食えるっておかしな話でしょ?(笑)
甲木・横山:いえいえ、そんなことないですよ!
文太:私は、食えなくて当たり前と思っていますから。(笑)
コロナで大変では?配信落語で大盛況、むしろバブル!?
甲木:そうはいっても、コロナで昨年から結構大変なことになっていませんか?
文太:うちの師匠・橘家文蔵が「人前でできないなら、オンラインで配信落語をやろう!」と。東京の中野区のスタジオを借りて、配信ライブを始めたんです。お客さんにチケットを買って頂いてやったんですけど、これが大盛況で!配信落語は規模が全国、そして世界ですから海外の人も観てくれてたんですよね。海外に住んでる日本人の方とかがチケットを買って観てくれて。
横山:無料で流したわけではないんですね?
文太:無料じゃないですよ。ちゃんとチケット代を頂いて配信して、多い時で800人くらい観てくださいました。
甲木:じゃあ、逆にコロナは良いところもあった?
文太:普通に落語会するよりも良かったんじゃないですか。(笑)だって、800人入る会場を借りようと思ったら、ものすごい金額になるじゃないですか。それを、あんな小さなスタジオでカメラ1台置いてるだけですから。
甲木・横山:(笑い)
文太:本当にその時期は、落語界の二ツ目の中で一番忙しかったと思います。
甲木・横山:へぇー!
文太:みんな仕事がなくて何もしていない中、私だけめちゃめちゃ仕事してましたから。
甲木:それは師匠が、そういうセンスがあったってことですかね?
文太:そうですね。先見の明じゃないですが、だいぶ先取りしてましたね。ファンの方にしたらたまんないですよね。
世界初の落語カー 出張寄席で九州縦断
甲木:ファンといえば、文太さんのファンの方が、文太さんが落語ができる改造カーを…。
文太:そうです。落語ができる車を作ろうと!私も福岡に寄席を作りたいという目標がありまして、車で寄席を作ったらいいんじゃないかという話になりまして。
甲木:車が舞台?
文太:中型の大きなトラックで九州を縦断して、道の駅とかあまり落語会などやっていない田舎の方にこっちから行こうと!
甲木:出張寄席?
文太:出張寄席ですね。
甲木:いいですねー!その車っていつごろできるんですか?
文太:車は造ろうと思ったらすぐできるらしいんですけど、いろいろ宣伝とかが完璧に終わって造り始めようとしてます。今年、自分のYouTubeチャンネルを始める予定なんですが、そのYouTubeチャンネルに、車を制作している様子を全部撮って上げていこうかなと思っておりますので、是非YouTubeチャンネルをチェックしてください!
横山:ちなみに、「落語カー」ってやっぱり世界初なんですか?
文太:「落語カー」って今まで聞いたことないでしょう?
甲木:ないです。
文太;たぶん初だと思いますよ。すごいことになると思いますよ。
横山:楽しみですね!
文太:私一人でやるわけではないですよ。東京から芸人さんを呼んで、複数人でやりますので。
甲木:寄席ですからね。
文太:はい。「落語カー」の寄席ですから、楽しみにしてください!
甲木:いろいろな芸が見れるんですね!
文太:はい。落語だけではなくて、太神楽だったり紙切りだったりそういう寄席の演芸をお届けしようと思っています。
甲木:それは、子どもにも人気が出そうですね。
東京のキャバクラで働きはじめた文太さんが、なぜ落語家に?
甲木:文太さんなんですが、最初から落語家を目指したわけじゃないんですよね?
文太:落語のことは一切知らなかったからですね。
甲木:最初は、塗装業をされていたとか?
文太:はい。八幡西区出身なんですが、そこのある中学校を卒業して、そのまま塗装屋に就職しました。そこで8年間くらいやってたんですが、23歳のときに東京に出て。別に落語家になりたいわけではなく、ただただ「東京でビッグになりたい」ってくらいの感じで。
甲木・横山:(笑い)
文太:東京に知り合いもいないですし、とりあえず家賃を払わないといけないので、手っ取り早くキャバクラで働こうと思って働き始めて。ある休みの日に、新宿に買い物に行くと……。
甲木:あっ!文太さん、この辺でお時間が…。
皆さん、キャバクラで働き始めた文太さんが、なぜ落語の道に入られたのかすっごく気になってると思うんですが、次回そのお話をお聞きしたいと思います!
〇ゲスト:橘家文太さん(落語家)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
(西日本新聞社北九州本社)