地域に寄り添う花屋「Flower Design 花と木」 人情深さは昭和の魚屋さん【北九州市門司区】
門司区上馬寄(かみまいそう)にある花屋「Flower Design 花と木」。今年2月17日で2周年を迎えると聞き、店主の寺口小百合さんにお話しを聞いてきました。
スタイリッシュな店舗外観 色とりどりの花と木
同店は、けやき並木が続く道路沿いにあり、ローカルな街並みの中でスタイリッシュな店舗の外観が目を惹きます。
木枠の引き戸を開けた瞬間、色とりどりの花と木が目に飛び込んで心も身体も浄化されたような清らかな気持ちになりました。
店主・寺口さんの転機 そして、エキサイティングな毎日
18歳の時から花に関わる仕事をしていたという店主の寺口さん。「いつかは自分のお店を持ちたいな」と思っていたそうですが、40歳を過ぎた頃に「ふとこの人生で自分が亡くなる時、花屋として自分の店を持たなかったらきっと後悔するだろう」と考えるようになったことが、転機になったそうです。
そんなある日、母親から「良い物件を見つけたから、ここでお店を開きなさい」と背中を押され、お店をオープンしたと話してくれました。
寺口さん曰く、「花屋の日常は、毎日何が起きるかわからない」。
数多くある花や木、また1つの花にも様々な色や品種がある中で、お客さんはどんな花を求めているのかなどを考えると、仕入れは駆け引きでもあり、今でもハラハラドキドキするのだそう。
1年目、2年目と時を刻むにつれ、「お客さんのニーズに応えたい、満足度を上げたい」という気持ちがより強くなってきて、365日、店舗がお休みの日も仕入れの事を考えていると語ります。
日々の暮らしに花のある生活を
長く花と関わってきたという寺口さんですが、花屋を始めて「花って美しい!」と改めて感じるようになったそうです。
「花のある生活は心を豊かにし、1本からでも幸せを感じることができます。花を通じてみなさんに明るく幸せな気持ちになってほしい」と熱く語ってくれました。
また、昔から木々が好きだったということもあり、店内には色とりどりの花と共に大ぶりの枝ものが目を惹きます。
枝ものは動きがあるため、花を生ける時に活躍するそうで、同店のダイナミックな生け花は各種イベントや店舗でも好評のようです。
赤ちゃんから100歳のおばあちゃんまで 地域に寄り添う花屋
同店には老若男女問わず、赤ちゃんを連れたお母さんから100歳のおばあちゃんまで幅広いお客様が訪れます。小さなお客様が「花屋さんに会いたかった~」と言ってくれる瞬間に幸せを感じるのだそう。
お店の特徴を尋ねると、「昭和の魚屋さんみたいな感じです!」と笑う寺口さん。第一印象のクールさとは一転、とても人情深く気さくな人柄です。
この日も年配の常連さんと話をしたり、小さなお子さんの目線に合わせて対話したりと、花を通して心を通わせている場面が印象的でした。
「店に来てくれるお客さんは、お母さんであり、お父さんであり、娘であり、子どもであり…。お客さんと同じ目線に立ち、家族のように接したいという思いもあり、エプロンを付けないのもこの店の特徴」とのお話を聞き、筆者は沖縄の方言「いちゃりばちょーでー(一度会えば、兄弟)」の言葉が思い浮かびました。
地域にこんなに温かなお店がある門司の街の未来は明るいなと感じます。