
築古の元公営団地を再生「門司港1950団地」とは? 入居者がDIYで“世界にひとつだけの部屋”へ【北九州市門司区】
(アイキャッチ画像:門司港1950団地のB棟)
2025年6月、友人とともに門司港にある築古の団地を訪れました。場所は、JR門司港駅から山手に15分ほど歩いたところ。当時は老朽化した外観を眺めただけでした。
その後、「門司港1950団地」と名づけられ、新しい価値観で再生の道を歩んでいるらしいと聞き、約1年2か月後となる今年8月に再訪しました。
また、10月10日には、その名付け親であり、団地のオーナーでもある有限会社吉浦ビルの代表取締役・吉浦隆紀さんのお話を聴くため、団地からもほど近い門司図書館に足を運びました。
(門司図書館で開催された「ReBirth 門司港1950団地」のチラシ)オーナーと「門司港1950団地」との出会い
門司港1950団地があるのは、北九州市門司区畑田町(はたけだまち)。ここは元々、「畑田団地」と呼ばれてきました。
戦後まもない1950(昭和25)年に福岡県住宅供給公社が建てた県営団地で、A棟(24戸)とB棟(10戸)の2棟があります。

建物の使用期限があらかじめ「70年」と決められていたため、最後の入居者が2021年に退去し、畑田団地はその歴史に幕を下ろしたそうです。
その後、この物件は、入札方式で売りに出されました。1回目の入札では、誰も手をあげる人はいなかったそうです。期間をあけて再び、2回目の入札募集が行われました。
その2回目の募集で、SNSを通じて物件を知ったという吉浦さん。築70年超の廃墟のような外観に“一目惚れ”し、迷わず入札したといいます。見事落札し、2棟のオーナーになりました。
福岡市に本社を構える吉浦さんと、北九州との“縁”が生まれた瞬間でした。
団地とめぐり合い、2棟合わせて「門司港1950団地」と名付けるまでの吉浦さんのエピソードを聴くと、建物も人間と同じように“運命の出会い”があるのだな、と思わずにはいられません。
団地を解体せずに「築100年」を目指す
吉浦さんによると、国内で現在も使用されている最古の団地は「48型」と呼ばれる型式の団地で、築77年が5棟。門司港の団地はその次に古い「49型」で、全国に10棟も無いそうです。そして、それら歴史ある築古物件は、解体の運命にあるのが現状なのだとか。
そうした中、吉浦さんは「解体して更地にし、新しい建物を建てる」という従来のやり方を取らず、「建物は壊さずに、築100年を目指して生かす道」を選んだといいます。

廃墟のような物件を生かす方法は、「3年間限定で“1万円”で貸し出す(それ以降は3万円)」ということ、「現状渡しの部屋を自由に改装(DIY)してOK」という2つの条件でした。
物件を落札して、入居者募集を開始したのが2024年のこと。世の中では、紙幣のデザインが一新され、“1万円札”の肖像画は渋沢栄一に。吉浦さんは、そのユニークな試みを、家賃“1万円”と新札の人物にかけて「渋沢プロジェクト」と名付けました。
(2024年当時の入居募集チラシ)