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「洗える着物」をきっかけに/野田和代(きものぬ~ぼぅ店主)

日本の伝統的な服装として受け継がれてきた「着物」。

かつての日本では「着る物」として当たり前に身に着けていた和服ですが、現代においては、成人式や卒業式で着る振袖、袴、お祭りで着る浴衣など、和装する機会はあまり多くありません。

そのような中、着物に対する「高価」「敷居が高い」「着付けが難しい」という固定観念を払拭させようと取り組むのが、サンロード商店街に構える「きものぬ~ぼぅ」の店主・野田和代さん。

「普段着が着物」という野田さんの凛とした姿勢は、まさに日本の古き良き伝統を守り抜いているように見えます。着物への想いを聞いてきました。

「呉服」と「和服」は違う?

―お店の中に「呉服」という文字がどこにも見当たりませんが、「着物屋」と「呉服屋」は違うものなのでしょうか?
「着物と呉服店をセットに考える方が多いですが、うちは呉服屋ではないんです。知らない方が多いのですが、呉服店は昔から高価な絹物を扱うお店で、きものぬ~ぼぅは見てのとおり絹物は置いていません。数百万、数十万単位の商品は扱わない、和服屋ですね。1万円前後のものを多く扱っています」

―「きものぬ~ぼぅ」は着物屋なんですね。野田さんと着物の出会いはいつだったのですか?
「祖母が福岡市で割烹料理店を営んでいました。その流れで、小さいころからお正月は親族全員が着物、夏は浴衣を着て集まるのが当たり前でした。自分で着付けをするようになり、日本舞踊も習い始めたので、着物や着付けはしっかり身にしみ込んでいます」

“着物の入り口”にいる方のために

―着物が当たり前の環境だったのですね。「きものぬーぼぅ」を創業したのはどういった経緯だったのでしょうか?
「そもそもは、知人が『親戚の呉服屋を継ぎたい』と勉強を始めていて。でも呉服店は新規でお客さまを見つけるのは本当に大変なんです。だから『着物を着てみたい、だけど高いし着るの大変だし…』と着物文化の入口に立っている方に後押しができればと『洗える着物はどう?』と知人に提案したのが始まりです」

「提案はしたものの、知人は『呉服屋で、洗える着物を扱うことはちょっと…』と。だったら私が入り口としてそういうお店をやってみようかな、と考えました。ちょっと着物を着てみたい方、初めての方でも手軽に着物を買えるお店として、2006年にオープンしました」

―恥ずかしながら、洗える着物があることすら知りませんでした…
「洗えるか洗えないか、知らない方は多いです。クリーニングが面倒、着物を洗濯機に入れるのは怖いと思う方も、気軽に自分で洗えるよう、洗濯表示が入った着物を販売しています」

―「着物を洗濯していいよ」と言われても、洗濯することをためらいそうです(笑)
「お洗濯して大丈夫ですよ。気軽に着てもらいたいという気持ちは、開店当初から変わらず、常に思っていることです。入り口に安価なものを置いていても、奥に入ったら数十万、数百万のお店もありますよね。うちは奥まで入っても数万円のものしかないので安心してください(笑)」

―ちなみに知人の方は呉服屋を継がれたのですか?
「結局、知人は呉服屋を継がなかったんですよ(笑)私もびっくりです」

普段着が着物 洋服は落ち着かない

―お店のパンフレットに「60秒以内で着れる着物」が載っていますが、初心者でも60秒で着れますか…?
「一番簡単なものだと、旅館の浴衣のような感覚です。帯も結び方がさまざまで、簡単なものだったら60秒以内で着ることができます。成人式で着る振袖は、振りも長く重みもあるうえに、何枚も重ねて帯も力を入れるので大変なんです。着物と聞くと、振袖をイメージする方が多いのですが、振袖だけではないということを知ってほしいですね」

―着付けができない人も多いと思います。着付け教室などもされているんでしょうか。
「これまでに着付け教室を3回開催しました。ここで教える着付けは実用的な着付けで、人に着せるというよりも自分で着付けできることを目的にした教室です。日本舞踊をしているので、動き回っても食べてお腹いっぱいになってもきつくない、崩れづらく、日常生活がしやすい着付けを教えています」

―着物を着ると、すごく背筋がピンとした一日になりそうです(笑)
「私の場合は普段着が着物です。一日中、この格好で掃除なんかもしますよ!逆にTシャツやワンピースなんか着ると落ち着かないです」

―日本舞踊は幼いころから習っていたのですか?
「幼少期はバレエを習っていました。日本舞踊に興味を持ち、それこそ幼少期から日本舞踊を習っている方たちの中に入っていきましたが、日本舞踊の動きや所作を知らないまま始めたので、とても苦労しました。基本的な部分がすでにバレエとは全く違うものでした」

「バレエはリズムで合わせますが、日本舞踊はリズムに合わせるだけじゃないんです。場面によって、歌に合わせたり三味線に合わせたりと変わります。今でも苦労していますが、楽しんで踊っています」

「知らない」は恥ずかしい

―最近だと外国の方が日本で着物を着て歩いているのをよく見かけます。
「外国の方は着物にとても興味を持ってくれます。旦過市場へ観光に来る外国の方も多くなったので、よくお店にいらしていました。ところが、当の日本人が着物のことを知らない。国際交流をする上で、日本人が日本の文化を知らないというのは、いくら日本人が英語を話せて各国の文化を学んでも、日本と比較することができないと思うんです」

「下駄と草履、浴衣と着物の区別もつかない方は多いので、外人と関わる方には特に着物の文化を知っていてもらいたいですね。日本の文化なのに、聞かれてわからないというのは私だったら恥ずかしい。だからたくさんの人に伝えていきたいと思っています」

―恥ずかしながら私も今日、着物に対するイメージが大きく変わりました…!

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