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「洗える着物」をきっかけに/野田和代(きものぬ~ぼぅ店主)

今年はイベントが軒並み中止に

ー帯や着物の柄も、最近の流行というか、和柄というよりかわいらしい印象のものが多いですね。
「イチゴやバラ、英語でロゴが入っている帯なんかもあります。昔では考えられなかった色合いを使用したものもありますね。ピアスやイヤリングなどのアクセサリー、バッグにしても、現代に合わせたものが増えました。リュックサックもありますよ!ちりめんでできたリュックサックです。ユーモアのある柄や、自分がかわいいと思った柄を揃えています」

「草履もクッションがあるので、足が痛くなりにくくなりました。男性向けの商品もあります。もちろん、男性の着物も洗濯できるものですよ。昔の良い部分と現代の流行で、今の着物も進化しています」

―カップルで着物や浴衣デートをするハードルも下がりますね!今年はコロナの影響で着る機会が減ってしまいそうですが…
「お店で予定していたイベントも、全て中止になりました。花火大会やお祭りもほとんどが中止になってしまったので、浴衣の時期なのにさみしいですね。飲食店は少しずつ活気を取り戻しつつあるので、浴衣イベントなど提案しているところです。浴衣を着るだけでも、お祭り気分を味わってほしいという想いです」

着物に触れるきっかけづくりを

JJ Photo incさんの投稿 2018年10月26日金曜日

(画像は、2018年に行われた「北九州 きもので大集合」の様子)

―若い人に向けて着物文化を広げる活動などはされていますか?
「若いスタッフにカラフルなフライヤーを作ってもらったり、モデルに学生さんを起用したり、『私でも着れるんじゃないか』と思ってもらえるようアピールしています。コロナ禍以前は、もみじ狩りやビアパーティーなどを開催して、参加者のドレスコードを着物・浴衣にしていました。こういう機会がないと着ないからと参加される方もいます。華やかで楽しいですよ」

―着物に触れるきっかけ作りとしては、とても楽しそうです。
「着たいと思っている人は少なからずいるとは思うんです。だけど、きっかけがない。高価なものばかりではなく、ワンピースを買うような感覚で着物も購入できます。そこから、日本の文化に触れ、着物の良さを日本人に知ってもらえるような活動をしていきたいと思っています」

―「自分では買えない」「着ていくところがない」という固定概念を払拭できれば間口は広がりそうです。
「北九州きもの文化連盟の会員としても活動していて、過去には『北九州きもの大集合』という、市内の特定の場所に着物を着ている人たちだけで大集合するイベントを開催しました。会員と一般の方を含め200~300人が1か所に集まり、全員で記念写真を撮ります。着物を着るきっかけづくりだけではなく、着物姿を市民の方に見てもらいという気持ちもあります。そこから着物に興味を持ってくれる人がいればうれしいです」

着物に対するイメージを変える

 「価格は数千円から数万円」

「洗濯機で洗える」

「60秒以内でもできる着付け」

野田さんのお話は、私の持つ「着物」のイメージを180度変えるものでした。

きものぬ~ぼぅの店舗入口には「どうぞお気軽にお入りください」とあります。「よくある文言ではあるものの、本当に気軽に入ってきてほしい」と、野田さん。

見るだけ、触れるだけでもいい。北九州の人に着物の文化を伝えていきたいという強い想いで溢れています。

これからも、日本の民族衣装が廃れてしまわないよう、北九州から着物文化をなくさないよう、”着物の入り口”に立つ人の背中をそっと押してくれる存在でいてくれることに違いありません。

「たくさんのことに挑戦したい」と笑顔で話す野田さんの今後が楽しみです。

(北九州ノコト・大畠あずさ)

◆野田和代さんプロフィール
「きものぬ~ぼぅ」店主。梅光学院大学日本文学コース卒業。「服を着るのと同じ感覚で、普段からどんどん着物を着てもらいたい」という想いで始めた同店は、2006年に魚町銀天街の雑貨店2階にオープン。2012年にサンロード商店街へ移転。着物の文化を多くの人に伝えるべく、北九州きもの文化連盟の会員としても活動している。

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