飲食業未経験から先代の「のれん」を守りぬくまで/旦過うどん 女将・水上桂子さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
旦過市場の火災
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
梁:同じく、西日本新聞社の梁京燮です。甲木さん、旦過、好きですよね。
甲木:子供の頃から好きですよ。この前、お魚屋さんに薦められてマナガツオのお刺し身を買ったんですよ。お店の人から、「炙っても美味しいよ」と言われて、半分は炙って食べて半分は生で食べて、凄く美味しかったです。旦過へ行くと、そう言うことを教えてくれるんですよね。
と言うことで、今日は思いっきり旦過の話しをしますよ。それでは本日のゲストをお呼びしましょう。旦過市場の一番奥にあります、旦過うどんの女将さん、水上桂子さんです。よろしくお願いします。
水上:よろしくお願いします。
梁:よろしくお願いします。
甲木:実はですね、水上さんには5月に、ご出演して頂く予定だったんです。ところが収録予定の直前の4月に、旦過市場が火災に遭いまして、被災したお店はもちろんですけども、被災を免れた旦過うどんさんとか、他のお店も1週間ぐらい休業されました。その時はラジオどころではない状態でしたよね。
水上:そうでしたね。ずっと気をつけて日々過ごしてきたから、あの時はまさか火事になるなんてという感じでした。火事も凄くひどくて夜中に燃えてる時に見に行ったんですけど、涙が出そうになってあんな経験は生まれて初めてしました。全国からお客様が見舞いに駆けつけて下さってたんですよ。火事になった朝も、朝7時から電話やラインもすごい数でその対応をずっとしてたんですけど、やはりお客様に対して感謝ばかりでしたね。
甲木:被災した後の旦過市場は賑わってましたよね。
水上:そうですね。これを機に復興に向かって行けばいいなと思います。
旦過うどんを始めたきっかけ
甲木:実は、旦過うどんを始めたきっかけは、親族から継いだものではないんですよね。
水上:そうなんです。主人の父が前の旦過うどんの社長と相撲仲間で、その方に後継者がいなかったので、誰か継いでくれる人がいないかということになり、うちの主人が店を継ぐことになって、それが旦過うどんを始めるきっかけでした。
甲木:その時ご主人は、他の仕事があったんですよね。
水上:はい。主人は自分の仕事を辞めてうどんに専念して、私も玩具の店でパートで仕事をしていましたが、ちょっと手伝いにいくつもりが本業になってしまいました。飲食は初めてだったので分からないことがあるときは、前の旦過うどんのお母さんの家までおしかけて行って、あの時の私は、本当に一生懸命やっていたと思います。
梁:どうして本業になったんですか?
水上:先代の旦過うどんの社長が「絶対に、自分と他人だとは言うな」といわれていました。最初は、お客さんも旦過うどんのお嫁さんね、とか息子さんねという感じで営業していて、ひたすら隠していたんですけど、お客さんから、「うどんの出汁も、おでんの味もが変わったね」と言われて、お客さんの数や売り上げも減ってきました。主人も辞めろって言うけど、先代の旦過うどんのお父さんとお母さんから頂いた、のれんを畳む事は絶対にできないと毎日思っていて、今に至っています。
今まで旦過うどんを続けられた要因とは
甲木:お客様から、うどんの出汁やおでんの味が変わったと言われると、やはり先代の味に近づけるために、また習ったりしたんでしょうか。
水上:習ったり、舌で思い起こす感じで研究に研究を重ねていましたねー。私は主人の両親と同居なんですけど、家庭の事や、子供の事もありましたが、手伝ってくれたし、一番応援してくれたと思うんですよ。後、常連のお客様の中には、2日に1回は来て下さって、いろんなお客様にかわいがって頂いて、私ほんとに幸せだと思います。
梁:みんながいて、旦過市場がある感じですね。
水上:旦過市場は、人情の街だと思います。
梁:水上さんの話を聞いていると、まさに人情の話しですね。
水上:だから、ふらりと地方から一見さんで来られる方が多いですよ。中にはロックミュージシャンとか、俳優さんとか芸能界の方が結構来られるので、入ってきて「えっ!」という感じですね。
甲木:そうなんですね。では水上さん、来週は大物芸能人の話しお聞きしたいと思います。本日は、旦過市場にあります、旦過うどんの女将さん、水上桂子さんをお招きしてお送りしました。水上さんありがとうございました。
梁:ありがとうございました。
水上:ありがとうございました。
〇ゲスト:水上桂子さん(旦過うどんの女将)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)
(西日本新聞北九州本社)