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【北Q散歩】「メガネのヨシダ」猫広報部長の寅矢さん 天国に旅立つ

北Q散歩
“北九州の日常”のなかに見つけた素敵な「もの・こと」。ふと気になった、その「中の人」はどんな人なんだろう?「中の人」を知ることで「もの・こと」の見え方は違ってくる。「地域」を知るには「中の人」を知るべきではないか。北九州ノコト編集部とコミュニティメンバーが、あまり知られていない北九州の「もの・こと」を「中の人」を通して紹介していきます。

昨年末【北Q散歩】の中で、門司駅近くの「メガネのヨシダ」さんの広報部長のとら猫の寅矢さんに会いに行ったことを書きました(記事はこちら)。

その寅矢さん、先月1月21日に静かに永眠されていたことを知りました。12歳と何か月かの“猫生(にゃんせい)”を閉じ、天国に旅立ったのです。しばらく患っていた腎臓の病が進行し、亡くなる前は飼い主である店長の陣内博紀さんのお宅で点滴を打って治療していたそうです。

筆者が寅矢さんに会いに行ったのは、昨年の11月13日。「物静かで穏やかな猫さんだニャア」という印象でしたが、そのころには既に病と闘っていたのでした。スリムな姿でしたが、かつて一番重いときには8㎏あった体重が4kgに落ちたのも病気のせいだったのでした。

寅矢さんは2008年、お店のドアの前にうずくまっているところを保護されたそうです。その時、病気にかかっていましたが、病院に連れて行き手厚くお世話をした陣内店長のおかげですっかり治り、陣内店長のお宅に引き取られ、「寅矢」の名前をもらいました。

生まれて何カ月かの子猫だった寅矢さんがお店に「就職」して12年。これまで何度となく猫紹介の雑誌に登場したこともあり、地元北九州はもとより全国各地から面会に訪れるお客さんも多かったと言います。その数はなんと延べ約3500人。賢くて社交的な寅矢さんはお客さんを楽しませ、お店に人を呼ぶ「福を招く猫」だったのです。

お店で働く人、お客さん、多くの人々を和ませ、笑顔にした寅矢さんは、存分に「猫の恩返し」をしました。みんなに親しまれ、愛された寅矢さんは、今は天国で人気を集めていることでしょう。

ありし日の幸せな日々を伝える手づくりの仏壇にお参り

ご遺族がお店の奥にこしらえた寅矢さんの仏壇にお参りしてお線香を上げました。ありし日の元気な姿の写真が幸せな日々を伝えます。

寅矢部長とご自宅で12年間ご一緒に過ごされた陣内店長は、「実は昨年来ていただいたときから、具合が良くなかったんですよ。それで、あんまり長く応対ができなくて申し訳なかったです」と話されました。息を引き取るときは奥様が看取られたとのことですが、家族全員でしっかりと最期まで手厚く介護したことで、寅矢さんは心置きなく出発できたんだと思います。

今後、メガネのヨシダさんに行かれた方は、お店に飾ってある八代亜紀さんが描かれた寅矢さんの肖像画をご覧になって彼をしのんでください。

寅矢さん、天国でも愛嬌を振りまいて周囲のみなさんに可愛がられていることでしょう。

心からご冥福をお祈りします。

(コミュニティメンバー・久留仁譲二

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