ごちゃまぜで生きることで、お互いに笑顔や元気をもらえる/社会福祉法人 もやい聖友会 理事長 権頭喜美惠さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
夫の診療所を立ち上げるきっかけとは?
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
井上:同じく、西日本新聞社 井上圭司です。
甲木:本日のゲストは先週に引き続き、八幡西区の社会福祉法人「もやい聖友会」の理事長をなさっている、権頭喜美惠さんです。今日もよろしくお願いします。
井上:よろしくお願いします。
権頭:よろしくお願いします。
甲木:先週は、権頭さんの社会福祉法人の概要とか、ユニークな取り組みについて聞かせて頂きました。権頭さんは夢追塾で私との同期なので、“ごんちゃん”って呼んでますけど、今日はごんちゃんの人となりに迫ってみたいと思います。権頭さんは四国高知県のご出身なんですけど、なぜ北九州に来ることになったんでしょうか?
権頭:はい、まさか九州に住むことになるとは全然思ってもなかったんですけど、学生時代に夫と知り合いまして、夫は福岡県大川市出身なんですけど学生結婚をしてしまして、九州に来ざるを得なかったということです。
甲木:ご主人はお医者様ということですが、九州の病院でお勤めされていたということですか?
権頭:そうですね、知り合った頃は学生だったので、卒業して九州に来て、九州の病院に勤めていました。
甲木:ご主人はお医者様で、権頭さんは社会福祉法人を立ち上げられましたけど、何かきっかけがあったんでしょうか?
権頭:そうですね、最初からそういうことをしたいと思っていたわけではなくて、夫の診療所を立ち上げるきっかけとなったのがですね、私自身がずっと子どもの頃から引っ越しが多くて、なかなか落ち着かない人生だったんです。それで子どもが4人できまして、28歳の時、夫は大学の医局からあっち行けこっち行けと話がくるわけなんですけど、私は引っ越したくなかったんです。子どもたちには、やはり一つの場所で成長してほしいという気持ちから、どうしたら定住できるかと考えた時に、夫は医者だから、診療所を作れば引っ越しをしなくていいと思って、それで診療所を立ち上げました。お金も人脈も何にもない中でという感じでした。
コミュニティの拠点
甲木:これからやってみたいこととかありますか?
権頭:そうですね。高齢者、赤ちゃん、障害を持った方、地域の方、どんな人も縦割りでバラバラにしてしまうのではなくて、誰もが関われて、交われるようにしたいんです。そういう場を、今いろいろ作るための取り組みをしてます。その一つとして今、もやい聖友会が運営している「銀杏庵」という特別養護老人ホームの南側に公園がありまして、公園の隣にちょっとした空き地があるんです。もやい聖友会の所有している土地なんですけど、この土地は前は畑だったんですけど、今、畑を別の所に移しましたので、その土地に出会いの場を作りたいと思いまして、今でも子どもたちが遊んでたり、高齢者の方がお買い物の途中でゆっくりされていたりするんですけど、そこに夢を語るベンチを置こうと思いました。例えば子どもとおばあちゃんというような感じです。今の時代、知らない人に挨拶しちゃだめだとかありますが、そうじゃなくて、そこらへんに居る人はみんな知り合いになって、そして、そのベンチに違う世代の人が腰掛けて、お話をするわけです。
甲木:なるほど、それが出会いの場で、夢を語るベンチなんですね。その場所が銀杏庵とその公園の間の所ということなんですか?
権頭:そうなんです。ちょっと整備しないといけないんですけど、お金も少しかかるかなと思っておりましたところ、三菱UFJ銀行の北九州支店の一井支店長が、「全国で銀行の地域包括ケアに関わるようなことで頑張っている法人さんを推薦して下さい。そこに寄付しましょう」という取り組みがあるそうで、推薦して下さったんです。そして選定されて寄付を頂けることになりました。
甲木:そうなんですね。三菱UFJ銀行のお陰でベンチができるんですね。一井さん、この前、このラジオ番組のゲストに出て下さって、地域の役に立ちたいとおっしゃったんですけど、有言実行されているようですね。
権頭:お陰で夢を語るベンチが実現しました。
女優としても活躍
甲木:ごんちゃんは女優としても、活躍していらっしゃいますね。
権頭:はい、女優です。(笑)
甲木:この番組に何度もゲストでお越し頂いている雑賀俊朗監督の映画「レッドシューズ」にも、ごんちゃんは出演しています。
権頭:そうなんですよ。
甲木:銀杏庵がロケ地にもなっていますよね?
権頭:はい。映画のロケで、もやい聖友会の「銀杏庵 穴生倶楽部」が、映画「レッドシューズ」の主役の朝比奈彩さんが働く介護の現場になっていました。朝比奈さんも観月さんも綺麗な方ですよ。
甲木:お2人と共演されていますからね。
権頭:同僚の介護士の役です。
甲木:ポロシャツ着て、介護士の役をごんちゃんがされて、観月さんとお茶を飲んでましたね。
権頭:はい、出演させて頂いて、本当にありがたいです。
甲木:映画を見に行ってびっくりしました。「あっ、ごんちゃんだ」と思って。(笑) ご活躍されてるし、自身で銀杏庵をスタジオにして、ラジオ番組も持ってらっしゃいますよね。
権頭:はい、スタジオがあります。
井上:ハードウェアの部分ですけど、建物があって、土地があって、権頭さんが1人で建てられて、これを維持管理していくのに、どうやっておられるんだろうと思いまして。
権頭:よく聞かれますけれども、そもそも始めたときは、一銭の貯蓄もない、担保もない、そういう中で銀行さんが、若さを担保に貸してあげようと言って下さり、とにかく新しいことをどんどんやってるので、お金をいっぱい借りてやってるんです。でも私は今の仕事がとても楽しく、自分自身の生きがいでもあり、こういう仕事をさせて頂けるってすごく幸せなことだなと思ってまして、働いて借金の返済をしていきますけれども、車とか家とか欲しい時って、お金を借りて買うじゃないですか。それと同じで、私は自分が生涯やりたい仕事を買ったんだと、そう思ってます。
甲木:そんなふうに考えられるって、すごいですよね。本当に良いお話を聞かせいただきました。
権頭:こちらこそありがとうございます。
甲木:先週と今週2回に渡り、八幡西区で社会福祉法人「もやい聖友会」の理事長をなさっている権頭喜美惠さんに、お話を伺いました。どうもありがとうございました。
井上:ありがとうございました。
権頭:ありがとうございました。
〇ゲスト:権頭喜美惠さん(社会福祉法人・もやい聖友会の理事長)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、井上圭司(同)
(西日本新聞北九州本社)