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多彩な専攻分野を経験し、一筋の理想へ/ 北九州市立大学 地域戦略研究所 特任研究員・下田泰奈さん

(アイキャッチ画像:ゲストの下田泰奈さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

2018年から北九州市立大学で学生の地域実習活動を指導

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

井上:同じく、西日本新聞社 井上圭司です。

甲木:井上さん、先週のゲストの下田さん、面白かったですね。

井上:はい、面白かったですよね。お話しする一言一言が深くて。

甲木:“虫愛づる姫君”って言ったら、ちょっとジェンダー的にNGかもしれないんですけれども、古典の題材で言えば、そういう感じの方が、なぜ今、ジェンダーなのかっていうことで、続きの話をさっそく聞いてみたいと思います。本日のゲストは先週に引き続き、北九州市立大学 地域戦略研究所 特任研究員の下田泰奈さんです。下田さん、今日もよろしくお願いします。

井上:よろしくお願いします。

下田:よろしくお願いします。

甲木:先週は、下田さんの現在の研究テーマが“ジェンダー”と“アンコンシャスバイアス”というお話とか、レゴブロックを使ったワークショップなどについてお話を伺ったんですけれども、実は、ジェンダーを元々研究していた人ではなくて、昆虫を研究していた人だったということでした(笑)

下田:はい、学生時代ですね。(笑)

甲木:そこから化学メーカーに就職されたというところまでお話を伺ったんですけども、ここからジェンダーにどう繋がるのか、そこを解き明かしていただきたいと思います。化学メーカーで研究職から広報とかマーケティングに興味が出てきて職場異動したというのは、東京でのお話ですね。

下田:そうですね。東京都内で働いていました。

甲木:元々、ご出身はこちらですよね。

下田:そうですね、都内での化学メーカー勤務の後、縁あって福岡の企業に転職することができて、少し広報活動に関わらせていただくこともありました。

甲木:そこからまた大学に転職されるんですね。

下田:そうですね。2018年から、今いる北九州市立大学で働かせていただいています。前職で所属していたのは学生さんが地域に出て実習活動を行う地域創生学群なんですけれども、そこの実習の指導を主にさせていただいていました。

地域創生学群生と作成した広報誌

甲木:キャンパスの中で講義をするということではなくて、外に出るということですね。

地域創生学群での活動の様子

下田:そうですね。学生と一緒にプロジェクトの進捗を確認したりとかいう、授業のコマもあるんですけれども、地域のお祭りに参画したりですとか、こども食堂の運営に関わらせていただいたり、ラジオ番組制作ですとか、まちの活性化とか、オープンキャンパスを通して、高校生への周知を行ったりとか、本当に多岐に渡る仕事をさせていただきました。

地域創生学群での活動の様子

中学生の頃すでに、ジェンダーに関する作文で表彰

甲木:それまでの下田さんのキャリアというと、昆虫を研究して化学メーカーで農薬研究をして、広報マーケティングをされ、そのキャリアと、また学生と伴走して地域づくりをするとか、メンタリングなどとは全然畑違いですね。

下田:そうですね。常識が覆されたというか、毎日学ぶことも多かったです。環境を作っていくというところで、特に信頼関係を作るということと、地域に溶け込んでいくという点は意識して、足を運んで顔を見て話すということは、ずっと心がけてきたと思います。

甲木:それで、ようやくジェンダーを研究しようと思われたんですよね。

下田:そうですね。

甲木:これは学生さんの指導しながらでしょうか?

下田:そうです。博士後期課程に入学したのが昨年なので、指導しながら、博士後期課程に進学したというのが昨年です。

甲木:実は昔にさかのぼると、すごいエピソードが見つかって、私と下田さんは北九州市立男女共同参画センタームーブというところで、一緒に運営協議会の委員をやってるんですよね。そのムーブが昔、ジェンダー作文コンクールをやっていたんです。実は下田さん、そこに作文を応募して賞を取ってるんです。

下田:はい。だいぶん前ですけれども、“ムーブひまわり賞”というのをいただきました。

甲木:井上さんも読みましたよね。

井上:はい。すごくてびっくりして、こんな中学生がいるのかと思いました。

甲木:じゃあ、井上さんと私が感動した作文の最後のところを、井上さんに読んでもらいましょう。

井上:はい。「昔、黄色は男色だろうか、女色だろうか。と悩んだ私は少し成長した今、そのような分類にこだわらず、好きな色に黄色を加えたいと思う。青が昔から好きなのは変わってないし、赤だって好きだけど、黄色も選びたい。なぜなら、黄色という色は、私の中で“自分自身”という項目に分類される色だから。でも、黄色一色でも光はできるけど、その光は細く、はかない。そこで、ずっと前に男色や女色と分類したいろいろな色を自分色としてあらためて加えたい。そこには私が、昔色鉛筆をならべた時に見つけた虹色の階段ができ、光ができる。太く、強く、永遠に消えることのない大きな光だ」

甲木・下田:ありがとうございます。

甲木:なかなか中学生で、ここまで意識する人いなかっただろうと思います。だからこそ、ひまわり賞に選ばれたんだと思うんですけれども、中学の時から考えると長い月日ですね。

下田:そうですね。それこそずっと、思っていたのかもしれないですね。

進路を悩む学生に「まずはやってみて」

甲木:今、学生さん、就職が思うようにいかなかったりして、やりたい仕事に就けなかったとか、あるいは働き始めた後も、こんな仕事じゃなかったなとか、やりたいことが見つからないなど、悩んでいらっしゃる方が多いと思うんですけど、下田さんがご自分の経験から、何か声をかけるとしたらどんなことをかけますか?

下田:大それたことは言えませんけれども、学生さんとかに相談を受けたりしたら、「まずはやってみたら」と言うようにしています。まずやってみて、それでも違うなって思ったら、それはその人の学びになったんじゃないかなと思います。私が元々理系にいきたかったのも、白衣を着てみたかったというのがありました。一つ選択するときに、自分がワクワクするということを、今もすごく大事にしてると思っていて、ワクワクしたり楽しいと思わないと続かないと思います。

甲木・井上:ありがとうございます。

井上:先週のお話で、昆虫の脱皮からスタートしていますけど、下田さんご自身がいろんな職場を経験されていることは、これはまさに脱皮で、ある意味ギャップを乗り越えている、それが下田さんご自身が脱皮されて来たんじゃないかなと思いました。これから日本のジェンダーギャップを埋めるにあたって、社会がどう脱皮するかというのは、まさに下田さんが見出してくださるんじゃないかと思いました。

甲木:あと、論文をまとめるんですよね。

下田:そうですね、博士後期課程が昨年から来年まで3年間あるので、まとめようと思ってます。

甲木:論分の完成も、楽しみにしております。本日はありがとうございました。

井上:ありがとうございました。

下田:ありがとうございました。

 

〇ゲスト:下田泰奈さん(北九州市立大学 地域戦略研究所 特任研究員 )

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、井上圭司(同)

(西日本新聞北九州本社)

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