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ガイコツと共に愛される京町商店街の整骨院 「創伸接骨院」の秘密【北九州市小倉北区】

(アイキャッチ画像:院長と骸骨)

小倉駅からほど近い京町商店街。昔懐かしい雰囲気をそのままにする商店街です。そこに「人体骨格模型」があるのを知っていますか?

人体骨格模型があるのは「創伸接骨院」の軒先。夜にこの場所を歩くときはなるべく目を合わさないように歩いてしまうほど、“ホラー”な雰囲気です。

今回は、そんなちょっとホラーな人体骨格模型を所有する、「創伸接骨院」の上村院長を直撃。「全力治療」と書かれた素敵なTシャツでお出迎えしてくれた上村さんに、お店の歴史や人体骨格模型を置かれた経緯についてお話を伺ってきました。

5年生存率は5パーセント? 小倉の街で生き抜いてきた接骨院

まずは接骨院の歴史について伺いました。

「創伸接骨院」を小倉に構えて15年ほどになるそうですが、現在の店舗は2号店。最初の店舗は上村さんの故郷でもある田川に開業。上村院長の弟さんと共に「株式会社上村」を設立し、自身の名前と弟さんの名前を組み合わせて「創伸整骨院」と名前を決めたそうです。

開業を決意したのには家族の存在が大きいのだとか。学生時代から開業を目指し、東京で修行をしていた上村さん。父が脳腫瘍になり、母からの要望で東京から帰郷。その後祖父の勧めもあり当時28歳で地元で開業しました。

2号店として小倉に店を構えた理由は「腕を試したかったから」。当時の小倉で一番大きかった整骨院グループの広報担当者から「小倉の駅前は他の場所と違って整骨院の5年生存率が大体5%です」と伝えられた上村さん。

整骨院の開業は一筋縄ではいかないもの。先生の技量不足と経験不足などが原因で、うまくいかないことが多いのだそう。東京時代、整形外科での厳しい下積み時代を経験した上村さんはレッドオーシャンのこの地で自分の実力を試したくなったのだと笑いながら語ります。

実際に小倉院がオープンしてから、上村さんが覚えているだけでも12の整骨院が無くなっていったのだとか。この15年で生き残っている整骨院は「創伸接骨院」を含めて数えるほどだといいます。

あの著名人も来店 愛される秘訣とは

創伸接骨院が地元で愛され続ける秘訣の一つは、地元と深く関わること。

開業以来、地元のさまざまな行事に積極的に参加。何かイベントがあった際の手伝いなど周りが嫌がることを率先して引き受けることで、地域の人々との絆を深めてきました。その甲斐もあってか、創伸接骨院は地域の一部となり、商店街の横のつながりを持てるようになったのだそう。

上村さんの地域とのつながりによって口コミが広まり、今では多数の著名人が訪れるほどに。旦過市場でハリウッド映画の撮影がされた際には、なんとハリウッドの俳優がここを訪れたこともあったとか。


また、お店には著名人の色紙が多く並びます。上村さんの一番のお気に入りは、「オーバーレブ!」という漫画の作者山口かつみさんからもらった物。若い頃から大好きだった漫画だといい、患者さんが上村さんのために連れてきてくれたそうです。上村さんの人徳を感じるエピソードです。

京町商店街のランドマーク

小倉の街に根を広げ、周囲と繋がることを大切にしてきた上村さん。もちろんお店の看板骸骨(?)もそれに一役買っているようです。

元々は院内に置いてあった骸骨を邪魔だからという理由で外に出していたのだそう。そうすると、みるみるうちに有名に。京町商店街のランドマーク的存在になりました。

編集部員が取材している途中にも、骸骨にひかれて立ち止まる人がちらほら。親子で散歩中のお子さんが骸骨に挨拶をしたり、通りすがりの外国人観光客が写真を撮ったりしていました。

また、“骸骨らしく”時折不思議なことが起こるのだとか。以前高校生が骸骨を盗もうとして、頭蓋骨を割ってしまうことがあったそう。その割れた頭蓋骨がいつの間にか誰かの手によって直されていました。

「シロヤ」のオムレットが頭蓋骨の中に入っていたことも。きちんとラッピングされた状態で入っていたのでびっくりしたそうです。

これからも街に根を張って

地域の人と共に歩んできた上村さんは、「今後も地域に密着していきたい」と語ります。最近は北九州や福岡県内のグルメを食べ歩くYoutubeチャンネルも始めたのだとか。

取材の中で印象的だったのは、店内にある募金箱。保護猫活動をしている人が「お店に置いてくれ」といって始めたところ、当の本人が回収に来ない。だったら「院長に愛の手を」と貼っておこうと、ジョークで始めたのがきっかけです。中には約1500円分の募金が。上村さんの愛され具合が伝わってきます。

ちょっとホラーな接骨院に行ったら、町の人に愛される陽気な院長に会うことができました。

※2024年5月9日時点の情報です

(北九州ノコト編集部)

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