『北九州悪くないっちゃ』自分の生まれ育った街を知ってほしい/ シングアーサーさん(レゲエアーティスト)
若者たちに大人気のTiktokで、『北九州悪くないっちゃ』のフレーズを歌った動画をバズらせたり、北九州市を拠点にしたプロフットサルチーム「ボルクバレット北九州」の公式ソングを担当したりと、2022年は何かと話題の多かったSING ARTHUR(シングアーサー)さん。ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今回は、八幡西区出身の彼ならではの地元愛と、ジャパレゲアーティストとしての熱い想いを惜しみなく語っていただきました!
夢中で駆け抜ければなんだって実現できる
ーまずは歌手になろうと思ったきっかけを教えてください。
小さい頃からものまね芸人のコロッケさんが好きで、よく真似して遊んでたんです。歌に興味を持ったのはたぶんその頃からなんですけど、学生時代にジャパレゲというジャンルを知って、そこからさらにどんどんのめり込んでいきました。
特に湘南乃風のHAN-KUN(ハンクン)が好きで、声質も似てるってよく言われてたからか、余計に楽しくなっちゃって。気がついたら「歌手になりたい!」と思うようになってましたね。多分それが2018年の冬頃だったと思うんですけど、2019年の6月にはもう初ライブをやっちゃうっていう、自分でもびっくりするくらい駆け抜けてました(笑)
ー歌手を目指すようになってから半年で初舞台ってスピード感がすごいですね。
はじまりはお酒の勢いだったんですけどね(笑)。歌手を目指すなら、とりあえず曲を書こう!と思って3曲くらい作ってみたけど、じゃあそこからどうする?ってなったときに、とにかくコネクションを広げよう!と思って、いろんなクラブで関係者っぽい人に話しかけまくってたんです。
その時に出会った人がHi-G(ハイジー)さんを紹介してくれて、そこからはもう本当にHi-Gさんにお世話になりっぱなしで。マネジメント兼ライブDJ兼プロデューサーっていう、ほとんどの業務をやってもらってます。
ーとりあえず曲を書こう!ってとこからすぐに作れちゃうのもすごいですよね。
レゲエの曲作りって少し変わってて、ゼロから作るわけじゃなく、riddim(リディム) っていう、簡単に言えばメロディなしのトラックみたいなのを使うんですよね。自分の場合は、好きなriddimをYouTube上で探して、そこにメロディと歌詞を乗せて、ライブ音源として使ってました。
日頃からフレーズが浮かぶとすぐにiPhoneのメモ機能で残すようにしてて、あとで見たときに分からなくならないように細かくグループ分けもしてるんですけど、それぞれ貯韻箱とか貯詞箱とかタイトルつけてるんです。あと不満だったり愚痴要素がある言い回しを入れるところなんかは、便所って名付けてます(笑)
※riddim=ドラムと特徴的なベースラインで演奏されるレゲエのリズム体
憧れの人からの思いがけないプレゼント
ー『SING ARTHUR(シングアーサー)』という名前の由来はありますか?
実はこの名前、湘南乃風のHAN-KUNがつけてくれたんです。歌うようになって結構すぐの段階で、HAN-KUNと共演というか、お話しさせてもらえる機会があって。
それまで自分は『あさしん。』って名前で活動してたんですけど、HAN-KUNが「アサシンは他にもいるし、言葉の意味自体にもあんまりいいイメージがないから」っていう理由で、その場で考えてくれたんです。
ー憧れのHAN-KUNに名付けてもらえるなんて、ものすごく豪華なエピソードですね。
そうなんですよ。自分はデビューするまでもしてからも、ありがたすぎるくらい良縁に恵まれてるなと思えることばかりで、何よりこんな自分を拾ってくれたHi-Gさんには本当に感謝しかないです。
でもずっと憧れてたHAN-KUNにも結構初期の段階で会えちゃったので、あまりの強運に怖くなることもあるんですけどね(笑)
地元愛が繋げてくれる人と人との縁
ーTikTokで話題の『北九州悪くないっちゃ』の誕生秘話も聞いていいですか?
特に秘話っていうほどのエピソードでもないんですけど(笑)。
北九州ってあんまりいい印象ないじゃないですか。昔から発砲事件だったり手榴弾だったり、そういうイメージがあるっていうか、他県の人には特にそういう風に言われちゃうんですよね。
でも実際は全然そんな怖い街じゃないわけで。ただ単純に、みんなにそれを伝えたいと思ったんです。他県の人には「へぇ!そうなんだ!」って思ってほしいし、地元の人には「分かる分かる!」って言ってほしいし。
だからめちゃくちゃローカルなところまで日々ネタにしてます。『北九州悪くないっちゃ』のメロディも頭に残りやすいように意識しました。
ーボルクバレット北九州の公式ソングを歌うことになった経緯も教えてください。
ありがたいことにこれは、ボルクバレット北九州の田村選手に直接声をかけてもらったんですよね。田村選手が元々ジャパレゲが好きだったらしく、YouTubeで偶然自分の動画を見つけてくれて、そこからSNSを使って連絡を取り合うようになりました。
立場は違っても「地元北九州を盛り上げたい!」っていう根本にある思いは同じだったので、すぐに意気投合できたんですよね。なので今はプライベートでも関係を続けさせてもらってます。
ーでは最後に、これからの夢または目標を教えてください。
すごくシンプルに言うと、成功したいですね(笑)。これからもっと頑張って、SING ARTHURの名を全国区にして、そしてなにか一つでも成し遂げてから、いつかは北九州に帰ってきたいです。北九州と言えばSING ARTHUR!と言われるくらい有名になりたいし、そんな自分が活躍することで北九州の良さをもっと多くの人に知ってもらえたらいいなと。
あとジャパレゲというジャンルをもっともっといろんな人に聞いてほしいなと思ってます。昔自分がジャパレゲを聞いて受けた衝撃を、みんなにも受けてほしいというか、自分も誰かのそんな存在になれたらいいなって思いますね。
歌詞への共感から生まれる親近感
この記事の執筆中、筆者はずっと彼の代表曲である『Step up lover』を聞いていたんです。彼の歌詞には共感できるフレーズが多く、グイグイと背中を押されるような刺激を確かに感じました。そして気がつけばそんな溢れるパワーを持った彼に自分を重ねて、心から応援したくなるんです。これこそが彼の魅力なんだと思います。
2023年は福岡での活動を続けながらも拠点を静岡に移すそうで、さらなる飛躍の年になるのではないかと筆者も期待しています。いつか北九州に帰ってきたときには、また楽しいお話をたくさん聞かせてくださいね。
1月14日(土)に「CLUB CUBE」(小倉北区紺屋町)で開催されるラストライブは、これからBIGになるSING ARTHURさんを間近で見られるラストチャンスになりそうです!
SING ARTHURさんについての最新情報は、公式SNS各所で随時更新されています。
※2022年12月29日現在の情報です
(ライター・Kanae.N)