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【ファンファン北九州#10】北九州高速鉄道社長 斉藤淳さん<後編>

北九州高速鉄道社長・斉藤淳さんに聞く

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

斉藤社長って○○自動車の人だったんですか?

甲木:先週に引き続き、北九州モノレールを運行する北九州高速鉄道の社長 斉藤淳さんをゲストにお招きしお話を伺います。実は、斉藤さんはモノレールの社長に就任する前は、日産自動車の人だったんですよね。

横山:日産自動車の人だったんですね!

甲木:そうですよ!最初からモノレールの方ではないんです。共通点は「乗り物」っていうだけです。あのー、何でモノレールの社長になられたんですか?(笑)

斉藤:これはなかなか私もよくわからなくて。成り行きでなったっていう。(笑)

横山:成り行きで!?(笑)

私にとって乗り物の魅力って2つあるんですよ

斉藤:もちろん、市ともいろいろお話ししながらですね、「では是非やらしてください」という話になったんですけども。ただですね、先ほど共通点は「乗り物」だけっていう話がありましたが、その共通点が私にとっては非常に大きいんです。

乗り物の魅力っていうのは2つあって、1つ目は乗ることそのものの楽しさ、2つ目は乗ることによって得られる価値だと思っています。乗ることそのものの楽しさっていうのは、いつの時代でも乗り物って夢がありますよね。人間の次元を超えた力で、早く行けるとか、遠くに行けるとか、今まで行けなかったところに行けるとか、不可能を可能にする楽しさっていうのは乗り物共通だと思うんです。

あと、乗ることによって得られる価値っていうのは、乗り物で時間や空間が拡大しますよね。家族や仲間との楽しさも増える、生活が変わって人生が豊かになる。「乗り物を持つ楽しさ」と「乗ることによって得られる価値」っていうのは、モノレールに携わってからも継続して追及していて、「乗り物業」として目指す姿は一緒だと思っています。なので、私の中では自動車とモノレールは連続した中にあるんです。

甲木:なるほどですね。

斉藤:ちょっとカッコつけましたかね。(笑)

甲木:確かにそうですよね。自動車に乗ってもモノレールに乗っても、豊かな時間と空間を得られますよね。

自動車メーカーと公共交通機関の違い。そこから得るもの、創り出すもの

甲木:ただ、実際に社長になってみて、やっぱり日産という会社とはだいぶ違うと思うんですよね。日産はメーカーですし。やってみて面白いなぁと思われることとか、ご苦労なさった点は?

斉藤:民間のグローバルに展開しているものづくり会社から、地元に根付いている公的な交通機関・会社ということでだいぶ違います。公共交通は、どんな方にも快適にお乗りいただくことが必要だということを、移って一番感じました。ただ、それは裏を返せば、その条件を満たせば、社会インフラなので皆さまに乗っていただける。なので、こういう社会インフラをお客様や地域の方と一緒に作り上げるという楽しさを非常に感じています。

一方で、公共交通っていうのは、どちらかというとマスで考えますが、民間のものづくり会社っていうのは、一人一人のお客様にとっての価値っていうのを常に考えている。当然ながら、価値がないとモノを買ってくれない、買ってくれないと会社は潰れる。かつ、価値っていうのは非常に相対的なので、必ず競争相手がいるんですよね。そういう世界で仕事をしてきましたので、こういう民間の考え方を、公的機関でも公共の使命も守りながら入れ込むべきじゃないかと考えています。

ちょっと誤解を恐れずに言うと、公的機関ってお客様を大きな括りで考えて、お客様との距離が遠いのかなという感じがあったんです。なので、会社では「お客様にとっての価値とは何か」を常に考えましょう、お客様を起点として仕事をするということを言い続けています。あと、社長になってからですけど、お客様アンケートを毎年行って、それに基づいて駅員の対応改善、快適な駅づくりを行っているっていうのもそのためです。

甲木:公共的なインフラに、個人へのサービスっていう観念を持ってこられたということなんですね。

斉藤:そういうことですね。

北九州が好き!自然の流れで住み着いた一人です

甲木:もう一つ社長にお聞きしたかったのが、こうやって長く北九州にいらっしゃいますけど、実は岩手県盛岡のご出身なんですよね。でも、たまたま日産でこちらに来られて、そのままモノレール社長でしょ。もう、すっかりこちらに骨を埋める感じなんでしょうか?(笑)

斉藤:日産に入社した当時は、銀座にあった本社にいて。今は本社は横浜ですけども。日産の転勤で北九州の九州工場に来ました。普通の転勤のつもりだったんですけども、なぜか居ついちゃって。仕事の関係もありますが、私自身も北九州が好きになって、北九州に住み着いた人間の一人なんです。ただ、意識してそうしたわけではなくて、人とのつながりの中で自然と北九州にいるって感じなんですよね。

甲木:ご縁なんですかね。

斉藤:そうですね。

北九州と福岡の経済界の架け橋も

甲木:そして、福岡の経済界の方と北九州の人を繋ぐようなこともされているんですよね?

斉藤:これもたまたまですが、日産の時に北九州も福岡も両方行ってましたので、「じゃあ一緒に何かやろうか」ということで。よく北九州・福岡の違いって言いますけど、私自身は全然意識はしていないんです。外国の方から見たら、北九州と福岡って同じ経済圏なんですよね。そういう意味では、ことさら何か違うということで、構えて交流や懇談会をやるのは何か変だなって思って、気軽に集まってやろうってことで。これが結構盛り上がってまして。何か新しいいろんなものが生まれてくるんじゃないかなと思っています。

甲木:なるほどですね。モノレールの経営者としても5億人を目指しながら、こうやって北九州と福岡を繋いだりといろんなことをなさっていて、これからも北九州に長くいていただきたいなって。

住みたい沿線、乗りたいモノレールを目指して

斉藤:あの、今後の話として、「モノレールこれからどうするか?」といろいろ考えている中で、「住みたい沿線、乗りたいモノレール」っていうテーマを一つ決めています。人口減や少子高齢化というのは避けられない話なんですけども、その中でも、モノレール沿線には人が集まる沿線にしたいなと。よく「日本一住みよい街、北九州」って言われたり雑誌にも載ってますけど、その中で一番住みたい沿線にしたい!って。

甲木:なるほど!

斉藤:これが、これからの取り組みであり夢ですね!

甲木・横山:いいですね!

甲木:ちょっとドラマの舞台とかになっちゃうような!モノレール沿線のお家が。

斉藤:田園都市線ですね。あるいは、阪急宝塚線とか。(笑)

甲木:素敵ですね!

〇ゲスト:斉藤淳さん(北九州高速鉄道)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

※2021年4月19日現在の情報です

(西日本新聞社北九州本社)

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