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【ファンファン北九州#24】福岡を拠点に活動する唯一の落語家・橘家文太さん<後編>

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

北九州のにおいがする師匠・橘家文蔵との出会い

甲木:今日は前回に引き続き、福岡県で唯一のプロの落語家 橘家文太さんをゲストにお招きし、お話を伺います。よろしくお願いします!

文太:よろしくお願いします!

甲木:前回、東京に行ったというお話までお聞きしましたが、その続きからお聞きしたいと思います。

文太:東京に行って働き口もなかったので、キャバクラで3年ほど働きまして。当時、一生キャバクラで働こうと思っていなかったのでぶらぶらしてたら、新宿3丁目辺りを通りかかったときに、古い江戸時代のような建物が見えまして。提灯がぶら下がってたり、寄席文字で名前がずらっと飾られていて。いきなり新宿のビル街に、明らかに違和感のある建物があるので、受付の人に「ここ何やってるんですか?」って聞いたら「落語をやってるんですよ」って言われたんですよ。

その当時、落語の知識なんてゼロで、聞いたこともないですから「あ!笑点やってるんだ!」と思って中に入ったんですよ。(笑)そしたら、三味線の音楽と共に、座布団の上にちょこんと座ってボソボソ話し始めて。すると、客席がだんだん湧いてきて、最後は大爆笑している光景を目の当たりにした時、完全にカルチャーショックで。私自身も笑ってたんですよ。

甲木:面白かったんですね。

文太:その空気に呑まれたのか、訳も分からず笑っていましたね。その師匠も面白くて「これはすごいな!」と思いまして。そのあとに、うちの師匠・橘家文蔵が出てきたんですよ。最近では、落語界のあおり運転なんて言われてるんですが。(笑)その時、師匠を見て「うわ!北九州の人が出てきた!」って思ったんですよ。見た目がですね。(笑)「この人は信用できるな」と感じました。

甲木:同じにおいを?(笑)

文太:同じにおいと言ったらちょっと失礼ですが、同じにおいを感じたんです。(笑)それで、「橘家文蔵」っていうのがすごく頭の中に残ってて、落語も面白いし、橘家文蔵に興味が湧く。「この人はどういうふうに飯を食っているんだろう?」というのが知りたくて「ちょっと弟子入りしてみよう!」と。

勢い!直感!の弟子入り

甲木・横山:ちょっと弟子入りしてみよう?

文太:言い方があれなんですが勢いですよ!(笑)直感でうちの師匠・橘家文蔵の近くにいたいと思って、後日弟子入りのお願いに行きました。うちの師匠は寄席に出てたので出待ちをして、師匠が出てきた時に「弟子にしてください」とお願いをしました。

大体は、そこで断られるんですけど、うちの師匠は「いいよ。じゃあ、ちょっとついて来い」とそのまま喫茶店に入って。30分くらい話したんですけど、緊張して何を話したか覚えてないんですよ。(笑)ただ、一つだけ言われたのが「落語家になってもいいけど、親の死に目には会えないからな」って言われましたね。

甲木・横山:えー!?

文太:「それでもいいです」と言うと「じゃあ、うちの出入りは許してやる」と言われました。弟子にしてやるとかではなくて。それで、次の日から師匠の家に通うようになりましたね。師匠の家ですることというと、朝行ってお米を研いだり、洗濯物を干したり。

甲木:お手伝いさんじゃないですか。(笑)

文太:そういうのを永遠とやっていますね。(笑)

甲木:いつになったら落語を習えるんですか?

文太:そういうのを毎日ずっとやって4、5カ月後くらいかな。

甲木:そうですか!?

文太:前座の時、私「橘家門朗」という名前だったんですが、「門朗」という名前をもらうまでに3カ月くらいかかりましたね。私の場合、最初に弟子にしてやるって言われてないので、様子見の状態が3カ月くらいありましたね。

甲木:じゃあ、掃除が嫌で逃げだしたらもうダメ?

文太:名前ぐらい付けてやってもいいかと思って、付けてもらったんでしょうね。そこで、完全に認められたわけではないですが。名前付けられても「お前は様子見だな」ってずっと言われてましたから。ちゃんとはっきり師匠に「お前は俺の弟子だ」と言われたこと未だにないから。

甲木・横山:(笑い)

文太:今も様子見なのかもしれないですね。

甲木:北九州で様子見られてる?(笑)

文太:ずっと様子見られてる。(笑)

何も知らずに入った落語界。何もかもが新鮮

甲木:ご自身で落語家になるために覚えていくわけじゃないですか。何か師匠のお稽古の時間とかあるんですか?

文太:お稽古の時間という決まったものはないんですが、自分から「落語を教えてください」とお願いをしました。「まだ早い」と言われてた時もありましたが、5カ月くらい経って「じゃあ教えてやる」と言って頂いて。最初は10分くらいの短い話を、目の前で師匠がやって頂いて。「三遍稽古」なので、3日間に分けて3回やってくれるんですよ。

横山:同じお話を?

文太:はい。次の日もう一回やってくれるんですよ。

甲木:文太さん、それで「辛い」と「俺何でこんなことやってるんだろう…もうやめたい」とか思ったことないんですか?

文太:「辛い」とか「やめたい」とかないですね。自分が興味があって、好きで師匠の傍にいるだけですから。

甲木:やっぱり楽しい?

文太:楽しかったですね。何も知らずに入ってきてますから、そこが良かったのかもしれないです。何もかもが新鮮で。塗装屋とキャバクラしか仕事してきてないですから。全く違う世界なので。

今、落語カーのことで頭がいっぱい

甲木:今一人で九州にいますがどうですか?

文太:そうなんですよね。孤独ですけど、やることは一緒なので。落語を覚えて、それを人前で話して、笑って頂いて、気持ちよく帰って頂く。東京にいても福岡にいても、それは一緒なので。それよりも、私は今「落語カー」のことで頭いっぱいなのよ。(笑)

甲木・横山:(笑い)

文太:それに地元なので同級生に会えますからね。その部分は、東京より北九州最高ですね!楽しいです!

甲木:今度、黒崎ひびしんホール(八幡西区)で落語会が?

文太:はい。昨年の7月23日にやる予定だったんですが、コロナで延期になりまして。今年の4月4日に、黒崎ひびしんホールで「橘家門朗 改メ 橘家文太 二ツ目昇進記念落語会~第5回北九州つながり寄席~」をやります!出演者は総勢8名くらい。

甲木:豪華ですね!

文太:盛大にお披露目の会をやります!

甲木・横山:楽しみですね!

文太:一人一人、お祝いの口上を述べて頂く披露口上の時間もあります。これは、北九州では珍しくてなかなか観れないと思います。是非観て頂きたいです!

甲木:文太さんの落語楽しみにしています!

 

〇ゲスト:橘家文太さん(落語家)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞社北九州本社)

 

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