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70歳の母を飲食店の看板娘に?/合同会社ポルト代表 菊池勇太さん

(アイキャッチ画像:写真中央がゲストの菊池勇太さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

門司港でゲストハウス「PORTO」(ポルト)をやっています

甲木:おはようございます!西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

梁:西日本新聞社の梁京燮です。

甲木:梁さんは下関出身だから、門司港はよく行くよね?

梁:そうですね。中学生のときは、自転車で人道を通って門司港に行ってました。

甲木:私は船で往復するのが好きです。門司港は本当に良いよね!やっぱり小倉とか八幡とは違う顔がある。

梁:シンボリックなとこですよね。

甲木:1番発展してたんだからね。

今日は、その門司港からゲストをお呼びしています。門司港の若手起業家 合同会社ポルトの代表 菊池勇太さんです。よろしくお願いします。

菊池:よろしくお願いします。

甲木:合同会社ポルトは何をしている会社かご紹介いただけますか?

菊池:はい。最初はゲストハウスの宿泊業から始めて、その後飲食店を2軒立ち上げ、そういったお店の企画やプロデュースもしたり、デザインの業務もしている会社です。

甲木:そのゲストハウスというのは、どんな人たちに泊まってもらうような?

菊池:門司港は元々、観光地でずっと栄えているんですが、ビジネスホテルやプレミアホテル門司港さんなどの大きい宿泊施設しかなく、こじんまりした旅館や民宿みたいなものがないんです。僕らのようなゲストハウスという業態は、最近徐々に知られてきていますが、ユースホステルとか昔のようなお風呂とトイレ共用で安く若者が泊まれる宿というイメージです。古く言うと、民宿みたいなスタイルで宿泊施設を営業しています。

甲木:でもすごいお洒落ですよね。

菊池:ポルトは、築70年ぐらいの旅館を改装して、昔の門司港ってこういう和洋折衷の建物いっぱいあっただろうなという建物の1つを使わせてもらっているので、ちょっと独特の雰囲気ではありますね。

梁:ちなみに、いくらぐらいで泊まれるんですか?

菊池:一人3000円~4000円ですね。

梁:良いですね。

甲木:キラーンとしたでしょう?(笑)

梁:キラーンとした!行こうと思って!

甲木:家族と?

梁:いや1人で行く!(笑)

菊池:楽しいですよ。1人で来ると。

「てるちゃんのバナナジュース」70歳の母「てるちゃん」が看板娘

甲木:他には、飲食業やデザイン業などいろいろされていますよね。飲食業は何をされているんですか?

菊池:「sicilia」というレモネードを売ってるキッチンカーと、「てるちゃんのバナナジュース」というバナナジュース屋さんを2021年の春に始めました。

梁:名前だけでめっちゃ個性的なんですけど。

甲木:てるちゃんとは誰でしょう?

菊池:てるちゃんは自分の母親です。名前が「てるよ」で、みんなから「てるちゃん」って言われてて。そのてるちゃんのバナナジュース屋さんということで、母親を看板娘にしたお店になります。

梁:お母さんが作るんですか?

菊池:母親も作ってます。でも、思ったよりシフトに入ってくれなくて。週2日3時間ずつぐらいしか入らないので。(笑)

梁:マネジメントが難しいですね。(笑)

菊池:難しい。名前は「てるちゃんのバナナジュース」だけど、てるちゃんがいない日の方が多いですね。(笑)

甲木:てるちゃんに会えたらラッキーみたいな?

菊池:てるちゃんは自分でそう言ってます。「私に会えたらラッキー」って。「私に会えたら今日は良いね」ってみんなに言いますね。

梁:ラッキーてるちゃんですね。

高齢者の雇用の場をつくりたい。てるちゃんはシンボル

甲木:他にもご職業があるのに、バナナジュース屋を始めたきっかけって?

菊池:僕の中で、高齢者の雇用を作りたいというのもあり、てるよもちょうど70歳なので、母親をそのシンボリックというか代表的な形にして。身内だったらコケても、そんなにダメージがないので。父親は印鑑屋をしていて、母親がその事務をしているので、父親が仮に病気で倒れたりすると、母親の仕事ってなくなるわけじゃないですか。それを僕が大学生ぐらいの時に考えたことがあって。

母親は年金も少ないですし、個人事業主の奥さんってだいたいそういう方だと思うんです。そういう人たちでも働ける職場を作らないとなっていうのは、門司港で起業するころから考えていました。ゲストハウスの宿泊業って基本的に家事なんですよね。掃除、洗濯、炊事など全部家事にまつわるものなので、そういう誰でもできる仕事で、自分の母親が働けそうな仕事だけお店としてやると決めていまして。それもあって、わかりやすくてるちゃんを働かせているというのが、お店をオープンした経緯ですね。

母の大きな愛情を父ひとりが一身に受けて…

甲木:お父さんのことも。

菊池:事前の打ち合わせでもお話ししましたが、父親がてるちゃんの愛情を一身に受けておりまして。(笑) 僕は、男ばっかりの7人兄弟の6男なんですよ。

梁:男ばっかりの7人!?

菊池:そのてるちゃんは、子育てを既に終えているので、愛情の矛先が父親ぐらいしかいないんですよね。コロナにもなって外出もなかなかできない父親は、ずっとてるよの愛情を一身に受けた結果、ストレスで胃潰瘍になるという。(笑)

甲木・梁:(笑)

梁:愛で胃潰瘍になったわけですか?(笑)

菊池:まあ、いろいろと管理がうるさくて。「あれしたんね、これしたんね」「お父さん、あれし、これし」って。それを一身に受け止めた結果、ストレスで胃潰瘍に。

梁:愛が大きすぎて。

菊池:十二指腸潰瘍と胃潰瘍を併発しました。「これはいかん」と僕も思って。仕事場も家もずっと毎日24時間一緒なので、どっかでちょっと父親を一人にさせてあげたいというのもあり、頑張っててるよをバナナジュース屋さんに入れているんですけど…。なかなか離れてくれなくて、週2の午前中だけってなっているんですよ。

甲木:もう、どんだけお父さんのことが好きなのかなと思いますよね。

菊池:凄いです。僕はてるよと一日も居れないので、父親はよく頑張って7日間を耐えているなと。(笑)

甲木:いやいや、夫婦愛が強いって良い話なのよ。(笑)

菊池:麻雀とか行かせてあげたいなと思って。意外と好きだったりするので。

梁:てるちゃんがいると行けないんですね。

菊池:コロナもあって行けなくて。高齢の人たちが集まるのもダメになったので。

甲木:お父さん行き場がないのよ。

菊池:町内会と称して麻雀とかしてたんですよね。お父さんたちはみんな。

甲木:でも、それすら今できなくなってるので。

菊池:てるちゃん、こういうラジオとか喜んでいるので、出演させて頂くとお父さんが空くので、是非お願いします。(笑)

甲木:いつかゲストに。(笑)

菊池:父親の胃のためにも。

梁:てるちゃんのお話がめっちゃ面白くて、冗談みたいですけど、考えている奥深さがすごいですよね。自分のお母さんを高齢者代表みたいにして、そういう雇用を作っていきたいとか、地元の文化に根差した仕事を作っていきたいとか。

甲木:リサイクルが早くて消費してしまう社会じゃなく、地元にあるストックを使いたいって。こんなふうにお話ししていますがとっても奥深い。32歳とは思えない。

〇ゲスト:菊池勇太さん(合同会社ポルト代表)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)

(西日本新聞社北九州本社)

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