プロレスを通して地元北九州を熱くしたい!/ダイナマイト九州さん(社会人レスラー)
ただのプロレス好きの集まりに始まり、今では趣味の範囲を越えて各地のイベントで引っ張りだこの人気団体が北九州にはあります。
今回はそんな社会人団体「がむしゃらプロレス」の個性的な選手たちの中から、ベテラン覆面レスラーのダイナマイト九州さんにお話を伺うことができました。
2006年6月にデビューしてから丸15周年を迎えてもなお謎多き選手ですが、その覆面の内側にはリング上の彼からは想像もできないような魅力がたくさん溢れていました。
始まりはささいなきっかけと好奇心
ーがむしゃらプロレスに参加することになった経緯を教えてください。
20代前半の頃、減量のために通っていたジムで知り合った人に、プロレス好きが集まるという居酒屋に誘われたんです。それが「プロレス居酒屋がむしゃら」との出会いでした。そこで「がむしゃらプロレス」の存在を知って、すぐに試合を見に行ったんです。試合だけじゃなく練習風景も見学させてもらったり、若さゆえの行動力で、どんどんのめり込んでいきました。そして気が付けば、その半年後には自分もリングに上がっていたんですよね(笑)。
ー元々プロレスをやりたいと思っていましたか?
プロレスを観るのが好きだったし興味はあったんですけど、実際に自分がレスラーになるなんて、当時は微塵も思ってなかったですね。最初は本当にお手伝い感覚だったので。でも一度リングに上がってみると、その気持ちの良さがなんだかクセになってしまって。リングにあがる経験なんて中々できないじゃないですか。しかも360度お客さんに囲まれて歓声を浴びるなんて、まさか自分の人生で起こるとは思ってもいませんでしたよ。
ーそんな急ピッチで話が進む中、ダイナマイト九州というキャラクターはどうやって生まれましたか?
この名前も覆面レスラーというキャラクターも全て、当時の代表だった矢野さんと選手会長だったバイオレンス井田さんが決めてくれたんです。大体みんな憧れの選手とか由来があったりするんですけど、とにかく自分はあれよあれよという間にリングにあがることになったんで(笑)。当時「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」というお笑い番組の中で、「ダイナマイト四国」というキャラクターが流行っていて、元を辿ればそこからです。実際に「ダイナマイト+地域の名前」っていう組み合わせでやっているプロレスラーの方は何人かいるんですけど、その頃はまだダイナマイト九州って名乗っているレスラーの人は存在してなくて、これもまた即決めでしたね(笑)。
リングの上ではユーモアを交えつつも練習では真剣そのもの
ー試合を観戦させてもらったんですけど、本当に皆さん本格的でレベルが高くて驚きました。あんなに激しい試合の中、何か大きな怪我をしたことはありますか?
試合中に膝の靭帯が切れたことがあります。でも特に何か技をかけたときとかではなく、何もしてなかったときで、自分でも気づいてなくて。膝に何かが起きたなっていう違和感はあったんですけど、アドレナリンが勝ってました(笑)。でも翌日精密検査を受けたらしっかり切れてて、衝撃でしたね(笑)。結局その後手術もして、そこから1年くらいは試合にも出られませんでした。だから怪我をすることは絶対ないとは言えないんですけど、そうならないために、練習には日々真剣に取り組んでいます。みんな昼間の仕事があってこそ活動を続けられているので、そこは一番気をつけているとこです。
ー仕事との両立に限界を感じたことや、やめようと思ったことはありますか?
ぶっちゃけ何回かあります(笑)。コロナになる前はイベントや試合やそれぞれの準備で休日が埋まるほどの忙しさで、あまりの目まぐるしさについていけなくなりそうな時もありました。他にもさっき言った怪我だったり、先輩との衝突だったりと、それなりにきっかけというか、いろいろ思うところもあったりで。でも今まで長い間やってきて、ありがたいことにプロのレスラーの方と試合させてもらったこともあるんですけど、それが物凄く刺激になったんです。やっぱりプロってすごいな!と思うのと同時に、自分ももっとこうしたい!ああしたい!と向上心が生まれたんです。すると気が付いたら、やめようかなっていう迷いよりも、何がなんでも爪痕を残してやる!って言う野心の方が大きくなってましたね(笑)。
必殺技は生クリーム泡立て?!
ーお仕事と言えば、ダイナマイト九州さんはすごくインパクトのある職業だと聞きました。
いえいえ普通ですよ。ごく一般的な菓子製造業です。小倉南区の端っこの方で、毎日ひたすら生クリームを泡立てています。足は怪我しちゃったけど、生クリームは泡立てられたのでよかったです(笑)。
ー小倉南区に『桃のばくだん』っていうケーキを売っている有名なお店があるんですけど、ダイナマイト九州さんの必殺技ヒップアタックとは何か関係がありますか?
関係ないですよ。全く関係ないです。『桃のばくだん』はおいしいらしいですけど、僕のヒップアタックはおいしくないですよ(笑)。
僕の必殺技は基本的にお尻技各種で揃えているんですけど、中でもこのヒップアタックはかっこよさと破壊力を兼ね備えていて、食らった相手は色んな意味で失神寸前です(笑)。
ーでは最後に、これからの夢、または目標を教えてください。
今はコロナ禍で思うようにイベントも試合もできないんですけど、落ち着いたらまたどんどん活動の幅を広げていきたいと思っています。とりあえず目先の目標は、4月17日の試合を盛り上げることです。本当は2月にやる予定だったんですけど、まん延防止が出た関係で4月に延期になっちゃったんで、久々のこの試合を何としても無事にやり遂げたいですね。
そもそも自分でもまさかこんなに長く社会人レスラーとしての活動が続くとは思っていなくて。若い頃は好奇心だけでやってきた気がするんですけど、今ではもう半分意地でやってますね(笑)。でもここまで来たらどこまでも戦ってやろうと思ってます!なのでこれからも応援よろしくお願いします!
その見た目と中身のギャップで人々を魅了する選手たち
プロレスリングという華やかな舞台の影には、「北九州をこよなく愛し熱くする」というキャッチフレーズのもと、夜な夜な集まって練習に明け暮れる選手たちの血の滲むような努力がありました。
一見おふざけで賑やかし担当(?)のダイナマイト九州さんも、実は誰よりも真面目でその大きな胸には熱い野望も秘めていて、知れば知るほど心を奪われてしまいそうです。
そして今年こそはがむしゃらプロレスの完全復活! 私も楽しみにしています!
試合やイベントに関しての最新情報は、「がむしゃらプロレス公式Twitter」で確認できます。
※2022年3月25日現在の情報です
(ライター・Kanae N.)