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映画「レッドシューズ」完成!コロナ禍の北九州で撮影敢行/映画監督・雑賀俊朗さん

(アイキャッチ画像:写真中央がゲストの雑賀俊朗さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

見どころはボクシング以外にも…

甲木:おはようございます。西日本新聞社が素敵なゲストと一緒に北九州の歩き方をお話しする番組ファンファン北九州ナビゲーターの甲木正子です。

横山:同じく西日本新聞社の横山智徳です。

甲木:横山さん、以前ゲストに来ていただいた雑賀監督ですけど。もう映画「レッドシューズ」完成しましたよ。

横山:甲木さんもう見たんでしょう?ずるいずるい。

甲木:私はちょっと試写を見させていただきました。ということで、さっそく今日のゲストをお呼びしたいと思います。ファンファン北九州2回目の登場になります。北九州市出身の映画監督の雑賀俊朗さんです。よろしくお願いします。

横山:よろしくお願いします。

雑賀:よろしくお願いします。

甲木:はい、去年ですよね。北九州で全編を撮影した映画「レッドシューズ」。ついに完成しました。おめでとうございます。

雑賀:いやよかったです。完成して。

甲木:そうですね。で、あのキャストも続々なんか発表されてますけれども、ちょっとご紹介いただけますか?

雑賀:そうですね。撮影の時に当然主役の方はみんな知ることになると思ったので、撮影の前に朝比奈彩さんを全国で発表しました。その後、皆さんが知ってらっしゃるキャストがたくさんいたんですけど、映画ってだいたい上映の1カ月前か2カ月前ぐらいに、急にバーンとキャストを発表して宣伝をするんです。事前にあまり発表しないんですね。

横山:だから秘密にしろって言われたんですね。

甲木:私たちも前回知らないままだった。

雑賀:映画界の常識で、キャスト発表は上映寸前の方が宣伝効果盛り上がると言われているんです。ただ、僕らはそういう作戦ではなく。とにかく北九州市の皆さんと一緒にこの作品を育てていこうと思っていたので、他のキャストのお名前を発表させていただきますと、ちょっと早目に事務所に伝えました。時代もどんどん変わっていくので、昔みたいに新聞やテレビで一斉にバーンっていう集中的宣伝だけじゃなく、今ネットの時代でもありますので、徐々に浸透させるのには時間がかかる。で、早めに発表させていただきました。逆に北九州市の皆さんもキャストが早くわかる事によって、興味が増し、色々なコラボアイディアが出てくれるのを、楽しみたいなと思ってやってます。

甲木:はい、発表してください。

雑賀:まず主人公の朝比奈彩さん。真名美と言う女子ボクサー役です。その真名美のトレーナー兼ジムのオーナー役で、市原隼人さん。それから、真名美を支える弁護士役の佐々木望さん。そして、子どもを取り合う義理の母役で松下由樹さんです。

横山:松下由樹さんはきれいですよね。

甲木:ボクシングをする朝比奈さんと、その義理のお母さんの松下由樹さんと、女性の生き方みたいなのもなんかすごいこうシンクロしてみましたね。どちらもね、プロフェッショナルとしての仕事を目指すと思っている。で子育てをしているという共通点もあって…。

雑賀:人は気持ちは同じ方向を向いているんだけど、経験や経験則の違いで、上手くいかないことがあります。例えば先輩が後輩に自分の意見ややり方を無理やり押し付けたりとか、相手の気持ちを勘違いしていたりだとか、この人はこうだと先入観で決めつけていたりだとか…人のためと思って言ってることでも、本当にためになるかどうかは別として、気持ちだけがぶつかりあったりする。やっぱり人間って、人によって心の許容量が違うし、いろいろな意見や考え方やポリシーも違うので、相手を尊重しない限りぶつかってしまう動物なんですよね。

でもある瞬間や、あるキッカケで、相手を急に理解できるようになったり、相手の行動が許せるようになったりする。つまり、「人の考え方はそれぞれ違うけど、相手を理解しようと思うことで、許せたり、分かち合うこともできるんだよ」っていうことがこの映画の裏テーマにもなってます。なので、そこに女優2人の対決や、成長がある。ボクシングシーンだけじゃなくて、それぞれの女性の生き方や考え方…ここもちょっと注目していただけると嬉しいです。

甲木:女性ボクサーの物語とか、再起をかけた女性ボクサーとかいうと女ロッキーかみたいに思うかもしれないけど、そういうことではないんですよね。だから試写が終わったあと、ちょっと監督とロビーで立ち話をさせていただいた時も、ボクシング映画じゃないんですねっていう話をしましたけど、本当そうなんですよ。やっぱり生き方とか社会の問題とかですね。シングルマザーが子どもを育てるとか、そういう話も含まれているし。もうぜひ公開されたら、そういう見方で見てみると面白いと思いますね。

雑賀:僕らもこういう業界なんで、周りに「バツイチ」とか「バツ二」とか、離婚されたり、離別された、シングルマザーの方がたくさんいるんですね。その大変さをたくさん聞いてたので、この作品に反映させたいとすごく思っていました。そしてシングルマザーと言う女性の一つの生き方として、この作品を作りたいなと思いました。

コロナ禍での撮影作戦

甲木:そしてボクシングの試合会場のロケとかですが、あのラストシーンの総合体育館。本当だったら、北九州市の総合体育館を満員のエキストラで埋めて撮影するのがベストなんでしょうけど、緊急事態宣言でそんなにたくさんの人を入れられないから。あれ、ちょびっとしか実は入れてないんですよね。

雑賀:はい。苦労しました。あの裏話的なんですけども、緊急事態宣言が出ていた時期なので、苦肉の作戦を立てました。みんなで考えて、ちょっと撮影時間はかかるんですけど、カットやアングルを変える度に、エキストラさんに大移動してもらうっていう作戦です。結果、映画的にはたくさんの人がリングサイドにいるように見えています。

甲木:エキストラ応募。私たちみんなエキストラ応募したけど、みんな落ちちゃって…人数制限があるでしょう。でも映画見たらね。意外に入ってるように見えるから、これなんなんだと思ったら。移動してたんですね。

雑賀:本音で言うと、僕は地元出身なので、もっと地元の方々にたくさん関わってほしいなあと思っていたんですけど、そういう状況なんで、ちょっと人数制限させていただきました。でも、北九州市のエキストラさんは、大変撮影に慣れた方が多かったので、次のカットこっちから撮影します!と叫んだら、みんな素早く大移動してくれて、あのすごく助かりました。はい。

横山:でもそういう工夫も、やっぱコロナ禍の撮影ならではですね。

雑賀:ですね。まあ、たまにやることもあるんですが、基本やっぱりこの時期だからこそっていうのはたくさんあります。他のシーンもそのシーンやロケ場所に合わせて、いろいろな作戦を考えないといけないっていう、いつもより倍以上のエネルギーを使いました。はい。

甲木:そのロケ地探しも、保育園とか介護施設って、やっぱり、この時期に使ってもいいよって言ってくださる施設を探すのも大変だったんじゃないですかね。

雑賀:ロケ探しはロケハンと言うんですけど、普通ロケハンは北九州FCの方が紹介していただいたロケ地の中から、ここが良いって監督が選べばいいんですけど。今回は、選んだロケ地から逆に「この時期なので監督ごめんなさい」みたいな事もあって苦戦しました。それで今までの雑賀人脈と言うか、仲間のネットワークの中から、特別にお願いして場所を決めさせていただいたところもあります。

甲木:地元の人間が見るとね、あんまりネタばれしてはいけないんだけど、ある場所からある場所まで子どもが走るシーンがあるんですよね。ここからここまで子どもの足では絶対移動できない。瞬間移動したのかなと思うシーンもありました。

雑賀:それは映画のマジックといいます。北九州市の方が見たら「何ここで走ってるのに…次にここ走ってんだよ!」みたいな突っ込みはあるとは思いますが、今作品は全国や世界の観客の皆さんに北九州市は良い景色ばかりだねと言わせたかったので、北九州市の「いいとこどり」をしました。

甲木:はい、ちょっと裏話も含めて、楽しいお話をどうもありがとうございました。今日のところはいったん終了ということで、本日は北九州出身の映画監督・雑賀俊朗さんをお招きしてお送りしました。来週もよろしくお願いいたします。

横山:よろしくお願いします。

雑賀:はい。

 

〇ゲスト: 雑賀俊朗さん(映画監督)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞北九州本社)

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