良い1日のはじまりのきっかけに/「おにぎりとみそしる。」 猪俣日々希さん

(アイキャッチ画像はイメージ)

北九州モノレール「香春口三萩野」駅から程近い場所にあり、2022年4月にオープンしたばかりの「おにぎりとみそしる。」。今回は同店の店長・猪俣日々希さんに話を聞きました。

お店を経営する猪俣さんは市内に住む大学3年生。朝6時に開店し、食材にこだわったおにぎりと味噌汁を提供しています。

きっかけは友達とはじめた「朝活」

お店は複数のお店が並ぶリノベーション長屋「comichi」の1階、10号室に位置します。当店の営業時間は午前6時から午後2時までで、火曜日と木曜日以外は基本的に営業しています。

提供するものは名前にある通り、「おにぎり」と「みそしる」のみ。テイクアウトも可能ですが、「お客さんと話すことが好き」だという猪俣さんはイートインができる店作りをしており、カウンター席のお客さんとフランクに会話を弾ませていました。

お店を開いたきっかけは友達とはじめた「朝活」。

遊び半分で朝活と称してモーニングを回っていたところ、活動的で充実した1日を送れていることに気づいたそう。朝活をする中で小倉駅周辺は意外とモーニングのお店は少なく、さらにその中でも和食を提供しているお店が少ないと気づいた猪俣さんは「お米を使った朝ごはん屋さんをしよう!」と思い立ったそうです。

「おにぎり屋さん」ではなく「朝ごはん屋さん」をしたかったのには、猪俣さんの実家ではご家族が朝ごはんを家で食べる時間がなかったという背景もあります。

実は、「おにぎりとみそしる。」が入っているcomichiの10号室には以前は別のカフェが入っていました。現在は猪俣さんが通う大学の教員が借主をしており、そこに間借りしている状態です。

1階には醤油やかつお節などの食材を販売する物販コーナーも

1階には物販コーナーがあり、商品にも使っている醤油やかつお節などの食材をアンテナショップとして販売しています。おにぎりの具のおかかには、1925(大正14)年から続く門司の「株式会社オク」のかつお節を使用しています。

猪俣さんがこのかつお節がとれる出身地・鹿児島県に実際に赴き工場見学をした際には、指宿市に入ってちょっとすると、かつおが燻された香りがして「いいなぁ~」と感じたそうです。物販コーナーでは他にもドレッシングや油みその「まんま泥棒」を販売しています。

「いってらっしゃい」が言えるお店に

コンセプトは「働く世代」。

日々を時間に追われ「朝ごはんを食べる時間がない」人のために、朝の10分15分だけでも立ち寄って「よし、頑張るぞ!」という気持ちになってほしい。そんなお客さんに「いってらっしゃい」が言えるお店にしたい、と猪俣さんは言います。

そんな思いもあり、開店はなんと朝6時から…!

7時からでは仕事などに間に合わない人などもいることも考え6時にしたそうです。初めは「朝といえば6時」というイメージがあったそうですが、知人から「朝お店に行くね」と言われて実際には11時に来たことがあり、今では「その人の1日の始まりに」というイメージに変わったと笑いながら話してくれました。

今後の目標は、「街に溶け込むお店にする」こと。

物めずらしいお店ではなく、朝早起きできたら「あそこに行こうよ!」と言ってもらえるようなお店に。

カップルできたお客さんには「お、カップル?大学生ですか?ちょっと出会いだけ聞いていいですか?」と聞いちゃうほどフランクにコミュニケーションを交わすそうです。そんな光景が想像できそうなくらい、取材時にも明るい接客の様子が伺えました。朝から立ち寄ったお店でそんな風に話しかけてもらえれば、良い気持ちで1日を始められそうですよね。

そういったお客さんとのコミュニケーションもお店を経営する楽しみの一つだと猪俣さんは言います。ふつうは自分から出向いて話に行くところを、座っていたら人が来てくれるところもお店を始めてから嬉しいと感じたことだそうです。

経営する上で感じたこと

逆に大変だったことは「自分のおいしいが皆のおいしいじゃない」こと…!

実際に自分以外のいろいろな人から意見をもらうことで、『テイクアウトのおにぎりはパックをすることで水分で塩味が薄くなるため、塩味を濃くしてみる』などの学びに繋がることがあるそうです。しかし、お客さんの意見を全て取り入れることはできません。全てを取り入れるのではなく、必要なものだけを選ぶくらいの「図太さ」も経営する上で必要なのだと猪俣さんは言います。

そんな経営をする中での意思決定も、一人で経営しているからこそ軌道修正がしやすいそうです。関わる人が多いほど同意を得るまでのスピード感が遅くなります。

学生でありながらも店主として自身のこだわりを貫く一面が見えますね。

お金をもらうことはすごく緊張する…

おにぎりのお米の品種は8種類ほどを食べ比べて決められています。

実は猪俣さん、サービスや商品を提供した対価としてお金をもらうことはすごく緊張するそうです。お客さんからお金をもらうからにはその緊張がなくなるくらい自分が納得する食材を使ったり、納得できるものを作ったりして提供できるようにと思い、出来る範囲で知る努力をすることがお金をもらう側として必要なのだと語ります。

学生が営む「おにぎりとみそしる。」がこの街にどのように溶け込んでいくのか楽しみですね。

食材にこだわったおにぎりとみそしるのあるお店、ぜひ皆さんも朝少し時間に余裕のある日に行ってみてはいかがでしょうか?

最新情報は「おにぎりとみそしる。」インスタグラムで見ることができます。

■住所/北九州市小倉北区香春口1-5-21 10号室

※2022年6月17日現在の情報です

(ライター・abc.hikari)

関連記事一覧