「北九州ロックフェスティバル」SDGsスピリットで参戦!

(アイキャッチ画像:会場となったミクニワールドスタジアム北九州)

平素はこのような光景が広がるスタジアム。設営でフェス会場へと変身したアリーナ席は、みんなが快適に過ごせるようにと、ブロックごとに余裕をもって広さが確保されていました。また、物販・飲食エリアやトイレの混雑状況が分かるよう、公式アプリを利用するとスムーズに動けるという工夫も。そして、スタジアム自体も「快適」そのものではないでしょうか。車いすの人もこうして安心した居場所があり楽しめること、トイレが清潔でユニバーサルデザインかつ温便座というのは、TOTOが本社を構える北九州市にあるスタジアムだからなのではと感じます。男子トイレに赤ちゃんのおむつ替え場所があるなど、子ども連れであっても来場しやすい、誰もが安心できる設計はお守りのように心強いものです。

スタジアムは海沿いにありながら向こう側に山が見えるという自然を感じられる一方、新幹線も停まる小倉駅から徒歩10分もかからないという絶好のアクセスも魅力です。

「循環するまちづくり」に思いを寄せて

隣の西日本総合展示場ではタイアップイベントがあったり、あさの潮風公園には屋台ブースがあったりしました。

持続可能な都市、消費と生産、というのもSDGsの一つです。飲食店では自然素材を使用した食器を使ったり、充電スポットでは稼働のために太陽光発電であったり、出店している各所でできることに最大限取り組んでいました。

ゴミの分別回収はもちろん行っていましたが、古紙をトイレットペーパーに再生、ペットボトルのゴミを小倉織とコラボしてグッズ制作を、なんて取り組みも面白そうです(しかも「来年の北九州ロックで活用!」というサプライズなコメントも見逃せないですね!)。家庭で使いきれない未使用・未開封食品を持ち寄ってもらい、要支援世帯や福祉施設へ寄贈する『フードドライブキャンペーン』も実施されていました。

「『SDGs』という言葉にとらわれないで」と言っていた泉谷さん。その言葉の裏にあるのは、型にはまらずに出来ることからやろうよ、ということだと筆者は受け取りました。循環社会の実現に「続ける」は必須。そのために大切なことだと思うからです。

御縁と御縁がつながって…

本フェスの発起人・泉谷しげるさんは「阿蘇ロックフェスティバル」の発起人でもあります。2015年から続く阿蘇ロックは2019年、熊本大地震・阿蘇山噴火の影響でその年は、ミクニワールドスタジアム北九州で開催。2017年に誕生したミクニスタジアムは音楽イベントを熱望してきたこともあり、阿蘇ロックが志そのままに場所を北九州に移して行われたのでした。阿蘇ロックでの出演をきっかけに泉谷さんから声がかかって、今回の北九州ロックフェスに出演となったアーティストも。

そのストーリーのような人と人とのつながり、心や志の交流に、筆者は静かに感動しました。自然災害もコロナ禍も思うようにはいかない。けれど、出会いが出会いを呼び広がっていく感じが、街づくりとして頼もしく思えてくるのです。MCのところどころで、泉谷さんのことを敬意と愛を込めて「オヤジ」と呼ぶSHOGOさん。泉谷さんも寛大に受け止め、嬉しそうに歯に衣を着せぬおしゃべりで観衆を魅了していました。

そのやり取りをほほえましく見ていた筆者ですが、見えないバトンを受け取った気がしました。ものづくりの街・北九州。一つ一つの誰かのストーリーがつながって今があるのなら、繋がった私たちも街づくりで新たなストーリーを紡いでいきたいと思ったのでした。

※2022年10月1日現在の情報です

(ライター・しまだじゅんこ)

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