小倉銘菓「小菊饅頭」を継承販売開始 100周年を迎える老舗菓子店「つる平」【北九州市】
今年4月、北九州市小倉北区の老舗和菓子メーカー「藤屋」が廃業。小倉の銘菓として長年親しまれてきた、菊の焼き印の一口まんじゅう「小菊饅頭」も見れなくなるものだと思われていました。
しかし、北九州銘菓の「ぽんつく」や「小倉日記」などで知られる「つる平」が製造・販売を継承することを公表し、7月7日から販売が開始されています。
今回、「株式会社つる平」の代表取締役社長である原田茂樹さんに、「小菊饅頭」の継承に関してどのような思いがあったのか話を聞きました。
「会社がなくなってもお菓子は残すことができる」
藤屋が廃業するという話を人伝えに聞き、会社がなくなってもお菓子は残すことができるという思いから、小菊饅頭をつる平で引き継ぐことを提案したと言う原田さん。「是非お願いしたい」という返事をもらい、今日の販売に至ったという経緯がありました。
小菊饅頭は歴史のあるお菓子なので、「引き継いでもらって嬉しい」というファンからの声を方々で耳にしているそうです。
つる平での製造販売にあたって、小菊饅頭は時間が経つとお菓子が固くなるという弱点があったため、なるべく柔らかさを保つように改善も行われました。配合が少しでも変わると製法も併せて修正する必要があり、今までのお菓子から離れないようにするための苦労もあったとのこと。
「会社がなくなってもお菓子は残すことができるということで、これからの地域の文化の継承の一つの形としての可能性を感じます。また消えかかった文化の一つが存続できたということで、僭越ですが少しでも未来に対して希望を持てる社会に貢献できればとも思います」(原田さん)。
白あんと黒あんの2種類が入っており、白あんは白い無地の包装、黒あんはピンクの菊の花が描かれた包装となっています。
当面は12個入り1080円のみの販売ですが、今後は6個入り、18個入りの販売も予定しているそうです。
今年100周年を迎える「つる平」
北九州市民から親しまれている老舗「つる平」は、今年100周年を迎えます。大正12年、旧小倉市中島で饅頭店としてスタートしました。
昭和23年、小倉北区魚町に喫茶「つる平」を開店(現在は閉店)。その後、「小倉日記」や「ぽんつく」といったお菓子を発売し、昭和50年に曽根工場(現本社、小倉南区)を開設しています。
代表的なお菓子「小倉日記」は、小倉に所縁のある明治の文豪「森鷗外」を偲んで生まれたもの。膨張剤を使用せず卵の力のみでしっとり焼き上げる伝統製法を、今も変わらず守り続けているそう。
ふわふわの生地が優しくクリームを包み込んでいるお菓子「ぽんつく」も人気があります。カスタード、抹茶、バナナ味の3種類がありますが、期間限定でチョコレートや栗など四季折々の味が楽しめます。「ぽんつく」とは「間抜けなところがあるが、愛嬌があって憎めない人」を意味しており、かわいらしく、地元に愛され続けているお菓子ならではのネーミングです。
1000年続く会社を目指すプロジェクト
「つる平」は、現在、これから200年、1000年続く会社を目指し「千年プロジェクト」と称して、さまざまな計画を行っています。
今回の「小菊饅頭」の製造継承もその一環。他にも、千年愛される銘菓を目標として現在新商品を開発中です。また、千年続く仕組みを創造するべく、同じく100年を迎える小倉の「辻利茶舗」と宮若の「瀬川菓子舗」、110年をむかえる八幡の「ごとう醤油」とタッグを組んだ計画も進行中とのこと。
10月14・15日には、小倉城で開催予定のイベントで、100年の感謝の気持ちを込め、餅まきなどを企画しているそうです。
店舗情報など詳細は「つる平」ホームページで見ることができます。
※2023年7月20日現在の情報です
(北九州ノコト編集部)