九州工業大学「ジムラボ」 企業と学生と地域を繋ぐコワーキングスペース【北九州市戸畑区】
本日訪れたのは、「GYMLABO(ジムラボ)」というコワーキングスペース。コワーキングスペースとは、共に仕事をする場所のこと。作業スペースとして編集部員もよく利用させてもらっています。
こちらの施設、なんと戸畑区にある九州工業大学内にあるんです。大学内にコワーキングスペースがあるのは珍しいということで、調べてみることに。GYMLABOの成り立ちや魅力に迫ります。
歴史ある体育館からのリノベーション
今回お話を聞いたのは、九州工業大学の先端研究・社会連携本部に所属する、花邉さんと岡野さん、そしてGYMLABOスタッフで編集部員とも顔馴染みの徳永さん、津守さん。まず早速気になっていたGYMLABOの成り立ちについて質問してみました。
「元々は体育館だったんですよ」という衝撃の言葉から始まったインタビュー。確かにここの施設名はGYMという文字が付いていたんだった…!と今さらながらに気づかされました。
GYMLABOは、九州工業大学の創立110周年を記念して体育館からリノベーションされ、コワーキングスペースになったのだそう。そういわれてみれば、GYMLABOは体育館らしく、開放感に溢れた空間になっています。丸い天井も体育館ではお馴染みですよね。
教員、職員、学生協働でのリノベーション
大学内の施設ということで、リノベーションには、教員、職員、学生が協働で取り組み、建設社会工学科の学生のみんなも関わったそうです。建築デザイン研究室(石塚直登助教)は建築、内装や什器の製作、環境デザイン研究室(伊東啓太郎教授・須藤朋美助教)は建物を囲むランドスケープを担当したそう。
例えば、ジムラボのロゴマーク、館銘板や受付のデザイン。
GYMLABO全体のデザインコンセプト(GYMLABOProjectホームページ, https://www.gymlabo.kyutech.jp/project/)に基づき、デザインしたのだとか。
案内表示も協働でデザイン。下の写真は階段のところに表示されている案内ですが、シンプルでかわいらしいです。
また、こちらは学生や卒業生がかかわったランドスケープ。緑豊かで、温かさや優しい印象を受けます。
学生と企業と地域のコラボレーションの拠点
大学内にあり、学生の手も借りながらリノベーションされたGYMLABO。やはり、大学内という立地から学生の利用が多い様子。そんな学生と地域の人たち、企業とのコラボレーションも行われているようです。
例えば、先日開催されたという七夕meet。九州工業大学と関係のある企業7社が参加し、チームビルディングや、学生と社会人合同によるワークとプレゼンテーション、さらには交流会なども開いたとのこと。
また、毎月行われているジムトークでは、設定されるテーマに沿って話をする機会もあるのだとか。実は、ジムラボは図書館のように静かさが求められる空間ではないため、気兼ねなく集まった人とコミュニケーションが取れる空間なのだそう。最近は高校生や卒業生など幅広い参加があります。
大学ならではですが、留学生も多いとのこと。先日も、海外大学の聴講生がGYMLABOに遊びに来て、在学生と仲良くなっていたようです。留学生のために設置しているこちらの世界地図も大好評。自分の出身地にピンを指して使います。
さらに、学生と企業とのコラボレーションもあるようです。例えば、今年の8月に予定されているGYMHACK。地元企業の課題を学生が解決するプログラムなのだとか。
このように、さまざまな機関との連携の拠点になっているGYMLABO。ほかのコワーキングスペースや大学施設と違うのは自由度の高さ。当日に企業の担当者がGYMLABOに来て学生と近い距離で交流をしたこともあるそう。オープンな交流の場所として一役買っているようです。
こだわりはディティールに 遊び心あるインテリアの数々
そんなGYMLABOですが、インテリアにもこだわりが。海外製のインテリアを多く取り入れているそうです。こちらの遊び心あふれるインテリアは犬の椅子。
GYMLABOには会議室(有料)もあります。部屋ごとにコンセプトを設けて、それに基づいてインテリアを選んだのだとか。
例えば、こちらの会議室。カフェをイメージした背もたれのない椅子で長時間の会議には向いていないですが、むしろ会議運びがスピーディーになると好評です。時間が節約できて体幹も鍛えられて一石二鳥です。
編集部員の一番のお気に入りは、伸びる電源タップ(下写真)。GYMLABOには近隣の高校生が見学に訪れることがあるそうですが、高校生にも大人気なのだとか。癖になってずっと触りたくなってしまいます。
響く『復刻ノオト』演奏
各所にこだわりがあるGYMLABOですが、なんとグランドピアノも設置されています。
こちらのグランドピアノは、1950年の九州工業大学創立50周年の際に設置されたものだそう。「ベーゼンドルファー」という、音楽の都とも名高いウィーンのピアノだそうです。しかし、長年にわたって段々と使われなくなってしまっていたのだとか。そんなピアノを、大学創立110周年に合わせて再生するプロジェクトが九工大内で立ち上がり、静岡の浜松まで持って行って修理をしてもらったのだそう。
そうして修繕されたピアノは、「人と人を繋ぐ」「九工大と地域を繋ぐ」「九工大と地域、過去と今、そして未来とつなぐ」ためのツールとしてGYMLABOに設置され、九工大の教職員・学生の合同チーム「復刻ノオト」が、ピアノを利活用するイベント等を企画・運営しているそうです。
平日は正午から午後1時まで、このピアノは誰でも使用することができ、ピアノの利用だけであれば一般の人でも無料です。
ピアノコンサートも開催
また、このピアノを使ってコンサートも行われています。取材日にもたまたまコンサートが開催されていたので、併せて取材させてもらいました。
取材日は「四季」をテーマにしたコンサート。それぞれの四季の代表曲ともいえる曲が演奏され、ピアノの音が施設内に響き渡ります。
復刻ノオトオリジナルTシャツにも注目です。コンサートに関する詳しい情報は、「九州工業大学 復刻ノオト」公式Twitterで見ることができます。
九工大学生以外もGYMLABO利用可能 高校生・大学生・専門学生は無料
このようにさまざまな魅力が詰まったGYMLABO。もちろん九州工業大学の学生以外でも利用することが出来ます。
一般(非会員)の利用時間は、平日の午前9時30分から午後6時30分まで。GYMLABO会員(※)になると、なんと午前8時から午後10時まで、土日祝日も利用できるそうです。
利用料金もリーズナブルで、コワーキングエリアは一般の人は1日500円で使うことが出来ます。学生であれば、なんと無料で利用可能!(利用の際には学生証の提示が必須)。また、高校生未満の学生は保護者の帯同が必要です。
GYMLABOの横には駐車場があり、無料で使うことが出来るのも嬉しいですね。
会議室やセミナールーム、カンファレンスルーム、さらに各種貸し出しグッズなどについては有料です。また、オープンスペースである「アゴラ」についても、有料で貸し切り可能とのこと。
(※)九州工業大学の会員制度である「産学官連携推進会(KyuTechコラボ)」に入会することでGYMLABO会員登録が可能
詳しい情報は、GYMLABO公式ホームページで確認できます。
■所在地/北九州市戸畑区仙水町1-1
■問い合わせ/TEL 093-884-3288
※2023年8月13日現在の情報です
(北九州ノコト編集部)